「大阪リサ」を知っていますか? 役所への申請書類に登場する架空の名前を調べてみたら…… ニッチすぎる同人誌が興味深い:元司書みさきの同人誌レビューノート
全国版にも期待です!
春の訪れも近づき、今までとは違った環境に進む準備をされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。新しい土地や人に触れるのはわくわくしますね。それぞれの土地にはいろんな人が暮らしていますが、今回の同人誌はそんな中でも街にそっと潜む“人物”に着目されています。
今回紹介する同人誌
『「大阪リサ」を知っていますか?』A5 24ページ 表紙、本文モノクロ
著者:青山正仁
さまざまな土地に出没? 「大阪リサ」さんの痕跡
タイトルでも掲げられている「大阪リサ」さんをご存じでしょうか。実はこのお名前、自治体の提出書類の見本に使用されている架空のお名前です。ご本の作者さんは仕事で届け出を行う中で、各地のちょっとした違いに気付き、大阪府の市町村の見本を比べてみることにしたのだそうです。
取り上げられているのは建設リサイクル法の届け出(様式第一号)です。ご本の冒頭では、届け出の持つ意味や、大阪府内の18の自治体の届け出見本を調べたこと、取り上げる項目について説明がなされたのち、いよいよ本文へ。おお! 工事を行う元受け業者さんのお名前が大阪リサさんです。大阪府も堺市も守口市も……場所は違えど、次々出てくる大阪リサさん。大活躍です。
同じとは限らない。太郎さんもいれば椎也さんもいる
しかし比べてみると、先に挙げた大阪府も堺市も守口市も元受け業者さんの名前は大阪リサさんで共通しているのに、発注者さんは大阪一郎さん、堺太郎さん、守口一郎さんと微妙に違います。この微妙な違いはあちこちにあって、リサイクルの元受け業者さんのお名前も大阪リサさんに限らず、寝屋川市は解体太郎さん、八尾市は解体椎也さんなどバリエーションが見られ、先に挙げた大阪府と全く同じ様式を踏襲しているのは3自治体にとどまったのだとか。
おそらく用紙の見本には定型があり、自治体ごとにアレンジされているのではと想像しますが、それにしてもまるまる同じ見本を示しても良いところなのに、各々の自治体で個性がにじみ出るものですね。地域を名字に使ったり、言葉遊びのようにしたり、意外と自由で、ご本の紙面は文字を転記したシンプルな画面ながら、作者さんも感じたという「ちょっとしたユーモア」がじわじわ浮かび上がってきます。
申請用紙から間違い探しのような楽しさを見つけ出す能力
ご本に示されているのは誰でも見ることができる自治体の申請様式見本なのに、いくつも比べてみれば、小さな部分が引っ掛かります。主任技術者名を大仙はにわさんにしている堺市には「はにわに特別なご縁がある土地かしら?」、発注者の氏名も元受け業者名も大阪府と同じなのに工事の規模だけ小さめに変更している豊中市には「120m2から100m2にした意図は?」と、何を思っての変更かと思いを巡らせてしまいます。
ご本は申請の解説書ではなく、事例が文字で示されたページが続きます。けれど、調べて並べられたからこそ見えてくるささやかな差、それは各地の小さな主張のようで、ひとつひとつを自分で発見する楽しさを感じました。この面白さに気付き、淡々と並べて見せるのはすてきな能力ですね。それぞれの土地の気配はほのぼのとさせてくれ、見本にこんなかわいらしさが潜んでいるの? と新鮮な気持ちになりました。
サークル情報
サークル名:鯉素庵
次回イベント予定:コミックマーケット106
今週の余談
今回のご本、なんと今後は全国版を予定されているそうで、果たしてどんなリサさんたちが登場されているのか……楽しみです!
みさき紹介文
公共図書館、専門図書館に勤務していた元司書。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えたあたりで数えるのをやめました」と語る。
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