新型コロナウイルスの感染拡大にともなう緊急事態宣言が出されてから2日。自治体からの休業要請を受け、商業施設などが次々と臨時休業を発表するなか、営業を続ける飲食店は需要の高まりと人員不足で頭を悩ませています。大手飲食チェーン店の従業員に話を聞きました。
今回お話を聞いたのは、大手飲食チェーン店で働くBさん。Bさんが働く店舗がある地域は緊急事態宣言が出ていますが、店舗は今も通常時と同様に営業を続けているといいます。
ーーBさんの働く店舗では、外出自粛要請後は通常よりもむしろ売り上げが増えているという話を伺いました。
「はい。私が働いている店舗は、住宅地の近くにあることもあり、外出自粛要請後はテイクアウトやデリバリーの需要が増え、全体でも普段よりも高い売り上げになっています。
特にデリバリーは需要が高まっており、お昼時などピーク時には何十件と注文が溜まることもあります。他の飲食店や娯楽施設が閉まっているので、開いているお店に人が流れてきているのでしょうね。
逆に、観光地や大きな駅の近くにある店舗では、土日は通常の半分以下の売り上げになっているところもあるようです」
ーー売り上げが増えているということは、店舗の業務も増えていますよね。スタッフの増員などは行っているのでしょうか。
「お店は忙しいですが、スタッフの中には勤務を家族に止められたり、実家に帰省する人もいて、人員は足りなくなっています。
他の店舗では、帰国中に渡航制限がかかり日本に戻ってこられないという外国人スタッフが多く、営業が難しくなっているところもあるようです。
私の働いている店舗では、営業を続けるために、休業したり空いている店舗のスタッフに手伝いに来てもらっています」
ーー飲食業では、注文時などに顧客と向き合って話すシチュエーションがあると思います。マスクなどの感染対策についてはどうなっているのでしょうか。
「マスクは最初は任意で着用が可能になりましたが、今はスタッフ全員が着用するよう定められています。
マスクは会社から支給されているのでありがたいですが、現場で働く身としては初動が遅かったのではないかと思います。マスク自体の供給が追いつかなかったこともあるようですが、スタッフ全員がマスクを着用できるようになるまでは、毎日のようにお客様からご意見が来ていました」
ーー顧客としても、食料を手に入れたい気持ちと、どうしても感染が気になってしまう気持ちの両方があるのでしょうね。こうした状況が続くなか、店舗の営業を続けることについてBさんはどうお考えですか?
「社会人としては、社会における重要な役割として頑張っていこう、と思いますが、自分の一存で決められるなら、やっぱり休業したいと思ってしまいますね。忙しさや感染リスクもありますし、明日の営業はどうなるのか、いつ新しい対策が指示されるかなど、日々状況が変化するので、緊張した状態がずっと続いているからです。
個人的には、ライブなど、楽しみにしていたイベントが次々となくなっていくのに対し、仕事だけは忙しくなっていくので、モチベーションの維持も難しいなと思っています」
ーー食料は生きていくのに欠かせないものですし、手軽に買える飲食店が休業すると困る人が多いのも事実です。でも、働いている時間だけが自分の生活ではないので、この状況のなかでモチベーションを維持するのは難しいですよね。最後に、飲食店の利用者へメッセージがあればお聞かせいただきたいです。
「会社としても、現場としても、お客様に衛生面などでご不安を与えないよう、毎日のように新しい対策を考えて実施しています。また、利用してくださるお客様には全力で対応できるようにしています。
普段より商品の提供をお待たせしたり、売り切れでお買い求めいただけない商品が出ることもありますが、どうかご理解いただければと思います」
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