「ファッションではない」「大きいなりのかわいさもあるのに考えられてない」 続・ウェアラブルに辛口な女性たち:女性にぴったりのウェアラブルとは?(1/2 ページ)
3月17日、渋谷テックラボパークにて「女の子のためのスマートアクセサリー」と題して現役女子大生10人による新型ウェアラブル端末の発表会が開催された。若い女性が、本当に欲しがっているものが形として確かめられる、非常に貴重な発表会であった。
3月17日にリクルートテクノロジーズが開催した発表会で、女子大生がデザインした「女子による女子のための新型ウェアラブル端末」が披露された。発表会の模様は、ITmedia Mobileのリポート、「『Apple Watchはいらない』『買うなら1万円まで』――女子大生がウェアラブル端末への本音を激白」に詳しい。若い女性が本当に欲しがっているウェアラブルデバイスがどんなものなのか、形として確かめられる貴重な発表会であった。
ここでお披露目されたのは、バングル、髪留め、ネックレス、腕時計など、言われなければウェアラブルデバイスだとは分からないような、ふわふわキラキラした「アクセサリー」であった。スマートフォン側の専用アプリから通知を受け取ると、振動や光で通知する。ネックレスからバングルへなど、その日の気分やTPOによって持ち替えることも想定しているとのこと。
アプリとして用意されたのは「スマートライフ」と呼ばれるもの。起床時刻、外出時刻、天気予報などを通知する「モーニングアラーム」、授業の開始時間、休講情報、課題提出期限などが通知される「時間割リマインダー」、友達が近づいたら通知しチャットも可能になる「フレンド通知」、目的地に近づいたときや、逆に離れた場合に通知する「スマートコンパス」、ラーメンのみならず、炊飯が完了するまでの時間や、お風呂のお湯ためなど、自分が使いたいタイマーを複数設定、通知できる「生活タイマー」、現在地から自宅に戻るために乗らなくてはならない電車の終電時刻を事前に知らせ、最寄り駅までのルートなども表示できる「終電アラーム」といった6つの機能が用意されていた。
使い方としては、光や振動を感じたら、スマートフォンを取り出してアプリをチェックするという流れ。現在は通知内容までは区別できないが、ゆくゆくは光り方や振動パターンを変えることで、スマートフォンを見なくても分かるようにしたいそうだ。
これまでのウェアラブル製品は、機能面ばかりがフォーカスされているとして、女子大生が等身大の目線で、自分たちが欲しい製品をアプリとデバイスの両面でプロデュースしたのだという。
これらを初めて見たとき思い出したのは、前回紹介したBIJIN MODELSの座談会だった。あのとき、おしゃれで、普段着ている洋服に合わせやすい、アクセサリー感覚で身につけられるものが求められていた。まさに、そこで言われていたものそのものじゃないかと思ったのだ。
女子大生のウェアラブルは活動量計ではない
3月2日から5日まで、スペインのバルセロナで開催された、世界最大規模の通信業界の展示会「Mobile World Congress 2015」では、ウェアラブルデバイスを探してひたすらブースを歩き回ったが、こういうデザインは会場のどこにも存在しなかった。
今回発表された、女子大生デザインのアクセサリー型ウェアラブルデバイスの共通点は、加速度センサーをはじめとしたセンサー類は一切搭載しておらず、表示部も持たないこと。あくまでもアプリからの通知を受け取るだけである。
これらにはベースとなるデバイスが存在する。「Wearable Tech EXPO in TOKYO 2014」で参考展示された、女性向けデバイス「Lily」だ。スマートフォンとBluetoothで連動し、電話やチャットの着信、友達が1キロ以内に近づいてきたとき、スマートフォンの置き忘れ時などに振動やランプで通知するという。今回のデバイスは、このLilyのモジュールをベースにキットを用意し、組み込んでいるとのことだ。
アプリの機能にしても、デバイスにしても、活動量や睡眠を測定する機能が含まれてないことも非常に興味深かった。使い方は、通知を受けたらスマートフォンを見ている。つまり、主役はスマートフォンであり、ウェアラブルデバイスは、あくまでも人とスマートフォンの橋渡し役にすぎない。これまで自分が見てきたウェアラブルデバイスと比べると、あまりにシンプルすぎる。正直、「おしゃれだったら、光って振動するだけでいいの?」と思ってしまった。
女子大生は通知をスマートに受けたい
そこで、開発を担当したリクルートテクノロジーの ITソリューション統括部 アドバンスドテクノロジーラボでグループマネージャーを務める伊豆原大也氏に「通知だけでいいのでしょうか。活動量などの健康機能もまったく含まれていません。世間でいうウェアラブルとはだいぶ違いますね」と聞いてみた。すると「そうなんです。女子大生は活動量には興味なかったんです(笑) 彼女たちはアテンションをスマートに受けたいんです」という答えが返ってきた。
女子大生らと話をした結果、そういうスポーティなモデルがあることは認識しているが、欲しい機能はそれではないということらしい。必要なものとして挙げられたのが前述のアプリの機能だったというわけだ。「活動量が知りたくなったら、スマートフォンで分かりますから」(伊豆原氏)。そういえば美人モデルも「活動量計は必要ない」といっていたが、まさにその通りだった。
これまで自分を含めた周囲には「スマートフォンでできることをウェアラブルデバイスでやっても仕方ないだろう」という認識があった。終電の時間など、それこそ手元のスマートフォンでアラームを鳴らせばいいのではと思うだろう。
伊豆原氏は「終電通知機能がありますが、たとえば合コンのとき、相手に知られずにどうやって終電の時刻を知るか。目の前でスマートフォンをいじるのは失礼だからと、ブーツの中にスマートフォンを仕込んでアラームを鳴らしたりと、彼女たちは本当に涙ぐましい努力をしているんです」と教えてくれた。そういったことを髪留めなどで実現させましょうということで、今回こういう企画に繋がったそうだ。「ですから、アプリも生活するために便利な、学生目線の機能が中心です」(伊豆原氏)
若い女性が求めているのは「スマートフォンと利用者をスムーズにつなぐためのデバイス」なのかもしれない。
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