1話好発進、山下智久「インハンド」。寄生虫に向かって「セクシーだねぇ〜」山Pの振り切ったド変態演技にゾクゾク

寄生虫だーいすき! 山Pが振り切っていてサイコー!

» 2019年04月19日 11時00分 公開
[北村ヂンねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 朱戸アオ原作、山下智久主演の金曜ドラマ「インハンド」(TBS系・金曜22時〜)が放送開始された。


インハンド Wツッコミ+ボケ。キャラクター設定はいい雰囲気で好発進 イラスト/北村ヂン

 のっけから「ウォウォウォウォ〜! ドッチャンチャン!」というワイルドな音楽をバックにジャングルを探検し、象と仲良しな姿を見せつける山Pが登場してズッコケた。

 まさか、ドクター・ドリトル的な動物だ〜い好きキャラになってるんじゃ……!? と心配したが、直後に象のウンコから寄生虫をほじくり返したり、菜々緒のウンコを採取しようとしたりとド変態っぷりを発揮していて一安心。

 ド変態な山P、ドSな菜々緒、気弱な濱田岳という3人の組み合わせが絶妙で、Wツッコミ+ボケなテンポのいいやりとりを見ているだけで楽しい。特に、薄ら笑いを浮かべながら顕微鏡の中の寄生虫をのぞき、「セクシーだねぇ〜」とつぶやく山Pのド変態演技は、思いっきり振り切っていてサイコー!

 「ヌマエラビルはマイナス196℃の液体窒素にさらされても、32カ月冷凍保存されてもびくともしないで生きてるんだぞ、少しはその生命力を見習えよ」など、何かと寄生虫に例えるツッコミは、まったく共感できなくて今後も楽しみだ。

 このようにキャスト陣やキャラクター設定はいい雰囲気なのだが、ストーリー展開に関してはちょっと駆け足すぎた印象だった。


インハンド ド変態な山P、ドSな菜々緒、気弱な濱田岳。3人の組み合わせが絶妙 イラスト/北村ヂン

第1話のあらすじ

 科学機関や医療機関で起こるさまざまな問題に対処する「内閣官房サイエンス・メディカル対策室」の牧野巴(菜々緒)の元に、「都内の病院でシャーガス病の感染者が出た可能性がある」という匿名の告発状が届く。シャーガス病とは、吸血性昆虫のサシガメに刺され、トリパノソーマという原虫に感染することで発症する。原虫が体中の内臓に入り込み、心機能低下によって死に至ることもある難病だ。

 牧野は、天才的な頭脳を持つがド変態だというウワサの寄生虫学者・紐倉哲(山下智久)に協力を要請。告発状を送ってきた医師・高家春馬(濱田岳)の協力も得て調査を進めていく。

 シャーガス病にかかった患者は、10年前に「チチクチオイル」に混入したトリパノソーマによって、消費者がシャーガス病に感染するという事件を引き起こした関係者ばかりだった。江里口新(風間杜夫)は、「アレルギーに効く」という触れ込みを信じ、アトピー性皮膚炎に悩む娘にチチクチオイルを使用していたところ、シャーガス病にかかってしまい、娘はそれを苦に自殺してしまった。

 チチクチオイルがトリパノソーマに汚染されている可能性を認識しながら、「きちんと精製すれば問題ない」と判断しトクホ認定した厚労省の官僚。生産管理がずさんで、トリパノソーマを混入したまま製品化してしまったオケヤ食品の社長や工場長――。

 江里口は、重大な事件を引き起こしておきながら刑事罰が与えられていない彼らを罰するため、サシガメを養殖し、寄生虫でいっぱいのトリパノソーマ水を作ってシャーガス病に感染させていたのだ。

憎むべきは人じゃない……のか!?

 この、チチクチオイルによる食害事件は、1980年代に起こった薬害エイズ事件をモチーフとしていると思われる(ちなみに「チチクチ」は架空の植物)。薬害エイズ裁判では、HIVウイルスが混入している可能性を認識しつつも、積極的に感染を防止する策をとらなかった「不作為」が刑事責任に問えるかというのが争点となっていたが、本作では「“わざと”ではないが、明らかに過失のある者に罰を与えるべきか?」を問いかける。

 「わざとサシガメを混入させたわけじゃない。決して悪人だったわけじゃないんです。みんな、ちょっと弱かったというか……弱くて愚かだったんです」

 「自分は見ていただけ、何もしていない、だから悪くない。そういう風に考えているヤツらに“何もしない”という罪を教えるにはどうしたらいいんだ。罰を与えて、自分の罪を思い知らせるしかないだろ!」

 人の良さそうな高家が説得しようと試みるが、江里口の心にはまったく響かない。

 そこで紐倉は、「憎むべきは人じゃない、シャーガス病そのものだよ」と訴えかける。……いや、その通りではあるんだけど、それで被害者遺族が納得できるかなぁ〜? さらに、娘がポンペ病という難病にかかったことをきっかけに研究に没頭して特効薬を発明し、製薬会社まで作ってしまったジョン・クラウリーの逸話を持ち出して説得する。

 「じゃあいつか、アレルギーに役立つ薬、作ってよ!」

 ただ、ジョン・クラウリーは娘の病気を治すというモチベーションがあるけど、江里口は娘、死んじゃってるしな……。


インハンド 山Pの薄ら笑いもサイコー。ロボットハンドをまさかそう使うとは! イラスト/北村ヂン

副読本として原作も読もう!

 ドラマでは「何もしなかった」者たちへの復讐に燃える江里口を、なんとなーく人情に訴えかけて説得していたが、原作では、

 「人間は弱く愚かです。ですからそれを前提としたシステムを作るべきなんです」「人間の本質的な愚かさに罰を与えても悲劇は防げません」

 と、手を挟まないよう両手でボタンを押さないと作動しないようにしたプレス機の例などを挙げ、一歩踏み込んだ形で「弱くて愚かな人間」への対応を説いていた。

 原作漫画1巻分のエピソードを1話でまとめていたため、どうしても細かい心理描写や解説がざっくりしてしまっていたドラマ第1話。例えば、トリパノソーマ水をぶっかけまくられていた官僚が元気いっぱい天下りをしていたのを「シャーガス病にならなかったの!?」と疑問に思った視聴者も多かったのではないだろうか。このへんも原作では、発症初期に投薬治療を行えば回復の可能性は高くなると説明されている。ドラマを見て興味を持った人は、補足説明として原作版も読まれることをオススメしたい。

 ちなみに、ドラマ第1話にあたるエピソードが収録されているのは『インハンド プロローグ1・ネメシスの杖』だ。

北村ヂン

文章からイラスト、漫画、映像まで、あの手この手でインターネットのみなさんのご機嫌をうかがうハイパーメディアライターTwitter

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/03/news002.jpg 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 同情せざるを得ない衝撃の光景に「私でも笑ってしまう」「こんなん見たら仕事できない」
  2. /nl/articles/2405/02/news023.jpg 【今日の計算】「2+7×9−3」を計算せよ
  3. /nl/articles/2405/02/news004.jpg 80代一人暮らし女性の“その都度が大事”なキッチンお掃除術 毎日少しずつ……の習慣に「尊敬しかない」「すごくやる気をもらえます」と称賛の声
  4. /nl/articles/2405/01/news013.jpg IKEAの新作カーテンが「家中これにしたい」ほどすてき!→どうやって付けているの? 垢抜けインテリア術に視線集中「すっごいかわいい」「色味が最高」
  5. /nl/articles/2402/15/news019.jpg 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  6. /nl/articles/2405/01/news131.jpg なんでそうなった? のこのしまアイランドパーク園内看板の名称が「俺は間に合わなかったがトイレはあっちだ君」に決定
  7. /nl/articles/2405/01/news128.jpg 「笑い止まんないw」 少女漫画風の顔をメイクで再現したら……? 衝撃の“おもしれー女”が爆誕 「笑うと怖!!」
  8. /nl/articles/2402/21/news158.jpg 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
  9. /nl/articles/2405/02/news106.jpg 【今日の難読漢字】「鱸」←何と読む?
  10. /nl/articles/2405/01/news092.jpg “スケスケ成人式コーデ”が物議のモデル、「3度見される服」を披露 「コレは見ちゃうわ」「洗っても大丈夫なのか」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  2. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  3. しぶとい雑草“ドクダミ”を生やさない超簡単な方法が115万再生! 除草剤を使わない画期的な対策に「スゴイ発見」
  4. 天井裏から変な音がする→スマホを突っ込んで撮影したら…… 映った“とんでもねぇ”モノに「恐ろしい」「何これ」と騒然の196万表示!
  5. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  6. 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  7. 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  8. 顔の半分は童顔メイク、もう半分の仕上がりに驚がく 同一人物と思えない半顔メイクが860万再生「凄いねメイクの力」
  9. 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  10. スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評