美しい背景画のコツ“空気遠近法”とは? 「なぜ、遠くの山は青いのか」を知って絵に生かす技術が興味深い

空気を描いて距離感を作ります。

» 2020年11月25日 21時00分 公開
[高橋ホイコねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 イラストレーターの吉田誠治(@yoshida_seiji)さんがTwitterに投稿した「空気遠近法の原理」がわかりやすいと人気です。背景画を描くときの参考になりそうです。

 2つの空気遠近法を紹介します。ひとつめはレイリー散乱。遠くの物ほど青く見える現象です。空気中の微粒子などによって起こる現象で、湿度が低い欧米では遠景が青く見えます。

 ふたつめはミー散乱。空気の濃いところほど白く見える現象です。空気中のチリや水蒸気など大きめの粒子によって起こります。湿度が高い日本では遠景が白くかすみます。

2つの空気遠近法の説明

 2種類の散乱による自然現象を見ていきましょう。レイリー散乱で、夕焼けが赤く見える現象を説明できます。昼は太陽の光が通過する大気の層が薄いので、青い光だけが散乱して青く見えます。一方、朝夕は大気の層が厚いので、散乱しやすい青い光は見る人に到達する前に散乱しきってしまい、見る人の近くでは赤い光だけが散乱します。

 雲が白く見えるのはミー散乱のためです。入道雲のような積乱雲は横からでは白く見えますが、下から見ると黒く見えます。さらに、雲の切れ目から筋のような光が差すチンダル現象も、主にミー散乱が要因となっています。木々の隙間、窓枠などから直線的に光が差して見えるのも同じ現象です。

いろいろな散乱の説明

 写真で確認してみると、遠景ほど青く見えていることがわかります(レイリー散乱)。さらに、空気が濃い(湿度が高く、チリなどが多い)ところは白っぽく見えます(ミー散乱)。

 どちらの散乱でもシルエットはほとんどぼけません。コントラストが下がり見えにくくなっているだけです。写真などで遠景がぼけるのはレンズ側の原理であり、空気遠近法とは別物です。

写真で見る空気遠近法

 距離感を出す手法は、空気遠近法だけではありません。吉田さんは密度を調整する方法も紹介しています。

 吉田さんは、多数のゲーム背景の他、コミックマーケット97の紙袋のイラストなどを手がけています。また、美しい情景を描くためのTIPSやメイキングを盛り込んだ画集『吉田誠治作品集&パース徹底テクニック』や、空想の家のイラスト集『ものがたりの家 −吉田誠治 美術設定集−』を潤筆しています。

画像提供:吉田誠治(@yoshida_seiji)さん

高橋ホイコ


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/09/news183.jpg JR東のネット銀行「JRE BANK」、申し込み殺到でメール遅延、初日分の申込受付を終了
  2. /nl/articles/2405/10/news144.jpg GACKT、「最上級グレードの外車」寄付も売り飛ばされ……“カスタムだけに3000万円”な元愛車の激安価格に「この値段なら買い戻すか」
  3. /nl/articles/2405/09/news162.jpg 「ずっと小児」 グランスタ東京の“母の日広告”に賛否…… 運営会社が撤去「違和感覚える方もいた」
  4. /nl/articles/2404/09/news169.jpg JR東日本、ネットバンクサービス「JRE BANK」を発表 JREポイントがたまるなどの特典も
  5. /nl/articles/1608/02/news135.jpg 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. /nl/articles/2405/10/news013.jpg 娘の部屋にあるゴツいメタルラック→パパが大変身リメイク! 驚きのビフォーアフターに「かわいい!」「細かいところまで!」
  7. /nl/articles/2405/10/news022.jpg ママもパパも双子赤ちゃんのお世話で手が離せないときは…… 赤ちゃんを見守る思わぬ“お姉ちゃん”が頼もしい
  8. /nl/articles/2405/10/news116.jpg 「ほんと凄すぎ」 加藤紗里、全身及んだ“人生で一番の大手術”から1か月……脂肪吸引で理想のスタイルへ「胸だけでかくて他は細い」
  9. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. /nl/articles/2405/10/news127.jpg 「ガチンコファイトクラブ」元2期生、現在は有名タレントの“マネジャー”だった……竹原慎二の“再指導”で約20キロ減「中途半端にやめやがって」
先週の総合アクセスTOP10
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評