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銭湯イラストレーター、enya honami(塩谷歩波)さん(@enyahonami)がお気に入りの銭湯をイラストで紹介する「えんやの銭湯イラストめぐり」。第14回は番外編! フィンランドの公衆サウナ「SAUNA ARLA(サウナアルラ)」を紹介します。

SAUNA ARLA内部図解(クリックで拡大表示します)(作:enya honami)
作者プロフィール

塩谷歩波 honami enya/イラストレーター
1990年生まれ。東京都出身。小杉湯所属。
インテリアコーディネーターの母と描いた住宅パースから建築の道を志す。早稲田大学建築学科に入学、地方都市の研究を経て建物と人の営みについて興味を抱くようになる。2015年、住宅設計で著名な某設計事務所に就職するも、過労により身体を壊す。休職中、医師の勧めで始めた湯治から銭湯の魅力を知り、喋らずとも温かみを感じられる銭湯という場がいつしか心の支えに。設計事務所で目指していた「誰かの居場所になる建物」としての役割を、銭湯が既に担っていたことに衝撃を受け、「銭湯に恩返しがしたい」と始めた都内の銭湯図解がネットで話題となる。2017年小杉湯に転職、ポスターや店内のデザインを担当している。好きな水風呂の温度は15度。
連載一覧
・第1回:“銭湯神”ヨッピーも太鼓判 高円寺・小杉湯が「交互浴の聖地」と呼ばれる理由
・第2回:源泉100%の「美肌の湯」でツルツル肌に! 下町情緒漂う蒲田の名店「はすぬま温泉」
・第3回:モダンなデザインで楽しむ“非日常”の銭湯 千駄木「ふくの湯」
・第4回:露天スペースが超充実! サウナ好きなら絶対に行くべき穴場銭湯「ゆ家 和ごころ 吉の湯」
・第5回:都内最大級の露天風呂は開放感満点! 下町の銭湯好きが集まる名店「寿湯」
・第6回:冬場はキンキン! 屋外プールが魅力の充実銭湯「アクア東中野」
・第7回:ダイナミックな露天岩風呂が魅力 三鷹「のぼり湯」は体重計にも注目!
・第8回:これは事件だ 銭湯マニアがざわついた、銭湯界の超新星「萩の湯」は何がそんなにすごいのか全力で解説します
・第9回:銭湯猫のタタミちゃんがお出迎え 川口のオシャレ銭湯「喜楽湯」にみんなも来るニャ
・第10回:えっと、ここ銭湯ですよね? 1万冊の漫画が壁にびっしり! 立川「梅の湯」のこだわりに震えろ
・第11回:しょ、昭和だああああ! 赤じゅうたんの宴会場が風情たっぷり「蒲田温泉」は焼きそばがうまい
・第12回:女性サウナーは今すぐ行くべき! 南千住「湯どんぶり栄湯」を今一番オススメしたい理由
・第13回:スカイツリーを見上げながらハンモックでゆらゆら…… 押上「大黒湯」の露天風呂が全力で人をダメにしにきている件
SAUNA ARLA(フィンランド・Kallio)

外観。通りに面した重い鉄の扉が目印!

シャワー室(洗体室?)とサウナ室。重ねられたバケツに銭湯の桶を思い出す
SAUNA ARLA
住所:Kaarlenkatu 15, 00510 Helsinki, Finland
電話番号:+358-9-719218
営業時間:15:00〜21:30(水〜金)/14:00〜21:30(土・日)
定休日:月曜・火曜(※夏季は長期休業期間あり)
えんやメモ
- 外気浴はマイナス5度! フィンランドサウナの魅力
- ヘルシンキの銭湯? 公衆サウナ「SAUNA ARLA」
- セルフロウリュの熱々サウナ。サウナ後は極寒の外気浴へ
- ARLAの多才なオーナーKimmoさん
外気浴はマイナス5度! フィンランドサウナの魅力

今回は番外編ですね。なんでまた急にフィンランドへ?

フィンランドに住んでいる、コーディネーターのこばやしあやなさんとの出会いがきっかけです。こばやしさんはフィンランドの大学で、日本の銭湯とフィンランドの公衆サウナの類似性についての論文を書いていて、講演で日本の銭湯の事例として小杉湯を紹介したいと連絡してくださったのが始まりです。

右がこばやしあやなさん。小杉湯浴室にて

日本の銭湯と同じように、フィンランドの公衆サウナも最盛期にはたくさんあったのですが、家庭用サウナが広まったことで一時は消滅の危機にありました。ところが、建築家や有志の人々の働きで、近年公衆サウナが見直されつつあるんだそうです。

確かに日本の銭湯とちょっと状況が似てますね。

銭湯に携わる身として、それはぜひ「現地に行きたい!」と思って。あと何よりフィンランドはサウナの本場なので、一度ぜひ本場のサウナを全力で楽しんでこようと思って行ってきました。

ちなみにいくらくらいで行けました……?

2月に行った時は往復10万以内でいけましたよ。

あ、でもそれくらいで行けるんだ!
※ちなみに夏季は倍近く(15〜20万)するそうです

片道10時間半くらいでした。成田から直行便も出てるので、思ったよりも行きやすかったですよ!

現地には何日くらいいたんですか?

6日滞在して、ホテルのサウナも含めると9つのサウナに入りました! 1日最低2回は入ってたので、途中で一度疲れすぎて具合悪くなりました(笑)。

フィンランドで泊まったホテルのサウナ室

タンペレの公衆サウナRajaportti Sauna

実際、現地のサウナに行ってみてどうでした?

温度は低めですが、どのサウナも自分でロウリュ(サウナストーブに水をかけて蒸気を発生させること)ができるようになっていてうれしかったです。あと、水風呂がないので基本的にサウナと外気浴のみなんですが、海岸沿いのサウナではそのまま海に飛び込めて最高でした!

ヘルシンキの公衆サウナLOYLY

サウナ後はバルト海に飛び込める

確かに、SAUNA ARLAのイラストにも水風呂ないですね。あ、でもそもそも外気が水風呂並に寒いのか。

2月に行った時は、外気はマイナス5度でした。

マイナス5度。

ちなみに海は表面が凍っていますが、氷の下の海水は0度です。

この気温だと水中の方があったかいのか……!

さすがに入った瞬間体中が痛くなりましたが、海から出た時の爽快感や、自然と一体化した達成感はすさまじかったですよ。
ヘルシンキの銭湯? 公衆サウナ「SAUNA ARLA」

さて、「SAUNA ARLA」ですね。いろんなサウナがある中で、ここを選んだのは?

こばやしさんから、ARLAはちょうど日本の銭湯と同じような大きさだと聞いて。

向こうの公衆サウナがちょうど、日本で言う銭湯みたいなポジションなんですかね。

常連さんや地元の方がよく来るそうなので、だいたい銭湯みたいな立ち位置だと思います。あと銭湯と同じく番台があります。ここでお金を入ってから入場します。

番台。赤い壁が特徴的

小窓にはミニトマトのサービスが

ちょっと形は違いますが、脱衣所にロッカーがあるところも同じです。ここで裸になって、サウナ室前のシャワー室(洗体室?)で体を流してからサウナ室に入る流れです。
※こばやしさんによると、シャワーもあるけど現地では洗面器に水をためてかけ湯で体を洗う方がどちらかというと一般的らしい

脱衣所。縦型ロッカー前の腰掛けがとても便利

シャワー室。左上の棚は常連さんの洗面道具

ちなみにARLAのサウナ室はちょっと暗いんですよ!

サウナ室

暗っ! 日本のサウナとはまた違う暗さですね。

真ん中の焼却炉みたいなのがサウナストーブです。あとテレビはないですよ!

「海外の人が日本のサウナに入るとテレビがあってびっくりする」というのはよく聞きますね(笑)。

テレビは日本のガラパゴス進化といわれてます(笑)。あと、フィンランドのサウナはかなりにぎやかでした。

中でみんなおしゃべりしてるんですか。

日本でいうと、銭湯の浴槽でおしゃべりする感じですね。

それは日本とだいぶ違いますね。
セルフロウリュの熱々サウナ。サウナ後は極寒の外気浴へ

あとARLAのサウナは、ロウリュ水に白樺エキスが混ざっていて、ロウリュをすると白樺の香りがサウナ室に充満するのが最高すぎました。

うわーいいなあ。サウナの温度はどれくらい?

70度ぐらいだと思いますが、ロウリュで湿度が上がるのでぬるいとは感じなかったです。むしろ熱い! 床も熱くなっちゃうので、足置き用のスノコがありました。

中央のスノコを足置きに使う

イラストを見ると中に段がありますよね。座るのはこの一番上?

そうですね、天井がとても近く感じました。他のサウナも座るところは高かったです。

Rajaportti Saunaのサウナ室。2階部分が座るところ

わざわざ座るところを高めに作ってるあたりガチ感ありますね(サウナ室は天井近くに座るほど温度が高い)。サウナであったまったら、シャワー浴びて外で休憩ですか。

シャワーは浴びずにそのまま外気浴です。外がものすごい寒いので汗はすぐに乾いちゃいます……。

マジですか(笑)。休憩スペースはやっぱり屋外?

もちろん屋外です! 雪が降るなかでの外気浴は最高でした……。

SAUNAと書かれた敷居の奥が休憩スペース

この寒さだからこそ、水風呂なしでも心地よいんだと思います。

日本でこのスタイルはかなりハードル高そうです(笑)。フィンランドの人たちはみんな外気浴が当たり前な感じなんですかね?

普通にされていますね。町のど真ん中のサウナの前でも、皆さんタオルを巻いて外気浴していました。

女の人も……?

もちろん! そこで変に意識する方が恥ずかしいという考えなんですよ。

ヘルシンキの公衆サウナKotiharjun Sauna

サウナじゃない普通のお風呂はあるんですか?

お風呂はないですね。サウナとシャワーのみが一般的です。
※こばやしさんによると、老舗サウナだとシャワーよりかけ湯の方が一般的かも、とのこと

えええ、風呂好きとしてはちょっと困るところですね。

私も最終日あたりはお風呂が恋しくなってしまって、帰国直後小杉湯に直行しました(笑)。
ARLAの多才なオーナーKimmoさん

オーナーのKimmoさん

オーナーはどういう方なんですか?

オーナーのKimmoさんは、元ミュージシャンで、議員さんで、映画を撮られていたりとめっちゃ多彩な人です。この秋からはアルラ以外のサウナ運営もはじめるそうです。

情報が多い。そんな人がなぜサウナのオーナーに?

サウナ好きの仲間と、ヘルシンキやニューヨークにノリでポップアップ的にサウナを置いたら、思いのほか反応があったんだそうです。それで、海外でも”サウナ=フィンランド”が浸透していたことに感動したそうで。

そんな時ちょうど、SAUNA ARLAが閉鎖の危機にあって、それを受け継いだのが始まりでした。

そういえばフィンランドの公衆サウナも衰退しかかっていたって言ってましたね。日本も銭湯がどんどん減ってるし、確かに日本の銭湯と似てるかも。

そうなんです。遠くの国なのに同じことが起きていてそこも面白かったです。

番台のKimmoさん。Kiitos!(ありがとう)
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