3月上旬、「ネット掲示板に“不正なプログラム”を書き込んだ女子中学生が兵庫県警に補導された」との報道が、ネットで大きな話題となりました(関連記事1/2)。兵庫県警の判断に賛否の声が飛び交うなか、プログラミングに関する著書もあるデータサイエンティストの加藤公一(@hamukazu)さんが、「みんなで逮捕されようプロジェクト」と題し、補導の原因となったものと同様のプログラムを公開し騒動に一石を投じました。

報道によると、そもそも中学生が書き込んだ内容は、クリックすると「何回閉じても無駄ですよ〜」などのテキストが表示されて閉じようとしても消えなくなる、「無限アラート」と呼ばれるプログラムへのリンク(URL)。古くからあるブラクラ(ブラウザクラッシャー)と似たいたずらであり、ネットでは「この程度で補導は行きすぎ」と指摘する声が上がっています。
※厳密には、当該プログラムはブラウザをクラッシュさせないため、ブラクラには当たりません

みんなで逮捕されようプロジェクトで公開されたのも、当該プログラムと同様に警告を延々と表示する無限アラート。「これは日本では『犯罪』と見なされます。それではみんなで(このプロジェクトを広めて)犯罪者になり逮捕されましょう!」と、刺激的な文言で紹介されています。


投稿は広く拡散され、「ループの終了条件を書かなかっただけで逮捕はキツい」「件の中学生と違って、プログラムも自作の場合、罪はどうなるのだろう」など、さまざまな反応がありました。兵庫県警をシニカルに批判するこの投稿の真意は何なのか、立案した加藤さん本人に話を聞きました。
加藤さんはプロジェクトの流れで、プログラムが書かれたTシャツまで製作している
日本のサイバー犯罪取り締まりの不合理さを世界に知ってほしい
――プロジェクトはどのような意図で始めたのでしょうか
加藤さん 日本のサイバー犯罪取り締まりの不合理さを世界に知ってもらおうと思い、まずは英語で書いて発信しました。タイトル以外の日本語の文面は、あとから有志の方が翻訳してくれたものです。
このように、最初から国内向けの発信は意識していませんでした。日本の世論に訴えようとしても、ITに詳しくない人にはなかなか伝わりにくいと思ったからです。だから、世界の開発者コミュニティーに訴えかける草の根運動として地道にやっていこうと考えていたのですが、一気に広まって驚いています。
――公開後の手応えはいかがでしょうか
加藤さん Twitterなどで反応をざっと確認したところ、エンジニアのかたは好意的に捉えていると感じました。「こいつ(編注:加藤さん)は即刻逮捕すべき」など、否定的な意見もそれなりにありますが、それも想定の範囲内でした。
――今回の補導についてどう感じていますか
加藤さん 補導そのものが適切であったかどうかはさまざまな他の要因も考えられるので、実際の状況を知らないと分からない面もあると思います。しかし報道されているように、alertの無限ループが「不正指令電磁的記録に関する罪」にあたると見なされて取り締まりの対象になったのだとしたら、それは大問題だと考えています。
――プロジェクトとして、今後考えていることなどはありますか
加藤さん 今回の件に限らず、開発者コミュニティーを萎縮させるような動きには声を上げていきたいと思います。
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