食卓が幸せなのは、ごはんがおいしいからだけじゃない。
同じ方向を見るシロさんとケンジ
「いろいろあっても、夫婦だもんね」
「やっぱり、家族なんだなぁ……」
そもそも話の発端は、美容室の店長・三宅(マキタスポーツ)の浮気だった。三宅の妻、レイコ(奥貫薫)が一緒に美容室で働くことになり、そんな2人の姿に目を細めていたケンジだったが、上に記したもっともらしいセリフはすぐに反転する。レイコは三宅の不倫に気づいており、離婚する気マンマンだったのだ。
「ケンちゃん……大事な人に、絶対浮気なんかされちゃダメよ? 許すなんて、そう簡単にできることじゃないんだから」
夫婦も家族も壊れるときは簡単に壊れる。同性カップルは法的につながっていない分、もっと簡単かもしれない。それが痛いほどよくわかっているから、三宅夫婦の終わりの始まりを目の当たりにしたケンジはナーバスになっていたのだ。
ケンジの父親のエピソードも塗り重ねられる。酔って暴れて金をむしりとりにやってくるだけの父親は、血縁があるはずなのに、ただの「おじさん」になり果てていた。成長したケンジは堂々と別れを告げる。それ以来、父親はやって来なくなった。
「どんなに関係の深い人でも、許せない人と続けていくのは、しんどいよ」
不倫だけじゃない。どんな理由であれ、「許せない人」と一緒に暮らすのは、しんどいことなのだ。笑顔で囲む食卓なんて、到底望めないのだから。
「ふたりで、こーんなごはんが食べられるなんて、最高の休日。本当、幸せ。ありがとね、シロさん」
クレープを食べながら、こんなことを語り合っているシロさんとケンジが、同じ方向を見ているのが印象的だった。夫婦だろうと、親子だろうと、同性カップルだろうと、お互いを見つめ合うのではなく、同じ方向を見ていることが重要なのだろう。
今夜放送の11話は、小日向さんとジルベールが久々にそろって登場! シロさんの両親との話も見逃せない。0時12分から。

美容室の三宅(マキタスポーツ)の不倫が全てのきっかけ。夫婦だろうと、親子だろうと、同性愛カップルだろうと、同じ方向を見ていることが重要 イラスト/たけだあや
これまでの「きのう何食べた?」




大山くまお
ライター。「文春野球ペナントレース2019」中日ドラゴンズ監督。企画・執筆した『ドアラドリル』シリーズ発売中。
たけだあや
イラスト、粘土。京都府出身。






