ナムコ初のRTSはオンラインゲームに一石を投じるかアジア オンラインゲーム カンファレンス2005(2/2 ページ)

» 2005年03月02日 06時01分 公開
[遠藤学,ITmedia]
前のページへ 1|2       

売れるオンラインゲームに共通する4つの要素とは

 次に「NSO」の世界観の説明が行われた。まずゲームに登場する国家として、正統派のSF国家「民主連邦」、第二次世界大戦をモチーフにした「軍事帝國」、欧米のRTSファン好みのクリーチャー系ユニットが存在する「神聖国家」、中国や韓国のユーザー好みの中国古代王朝をモチーフにした「封建王朝国」が紹介された。

 なぜこのような4つの国家を用意したのかについては、「RTS、オンラインゲームというのは国境のないタイトルですので、なるべくワールドワイドでできるもので」という意図があるとのこと。

 また、ナムコの「ゼビウス」や「ギャラクシアン」、さらに「エースコンバット」といったタイトルの世界観も織り交ぜられており、これにより「昔のファミコン世代のユーザーにも受け入れられるのではないか」と期待しているという。

photo ファミコン世代にはたまらない名作たちも関わっている。どのように関わっているかは、ぜひゲーム中で確かめてもらいたい

 さらに高橋氏は、「オンラインゲームは世間的にももっと認知されるべきものだ」という見解を示しながら、開発者側の悪い部分、「これまでのPCゲームというのは、家庭用に比べて非常に親切感が足りないと感じている」点にも言及してくれた。

 オンラインゲームをやっているユーザーは、ハードに対する、ネットに対する知識が人より高いという点で、比較的レベルの高い部類になるだろう。だからと言うわけではないが、開発者側も無意識的に「まぁ、あのプレイヤーたちだったら分かってくれるだろう」といった雰囲気があるという。

 高橋氏はそこを見逃すことなく、まずゲームのチュートリアルモードを徹底した。これはマウスの使い方や、ユニットの掴み方など、本当に基本的な、PCの扱いができれば動かせるような親切なものになっているとのこと。さらにRTSは戦略ゲームであることから、ユニットの使い方などが学べるシングルのシナリオモードも搭載し、遊びながら学べる環境を整えたとのことだ。

 そして、ちょっとアピールしたいと前置きしつつ紹介されたのが、デブリーフィングシステムというモード。このシステムを高橋氏は、「例えば1回の対戦が終わったときに、通常の場合は『良い試合だったね』といったような感じで、ロビーでのチャットが行われて終わるだけです。ただそうなると上手いプレイヤーが下手なプレイヤーにアドバイスする時間がない。そこで戦いを早送りで見られるモードになっています」と説明してくれた。

 また、上手いプレイヤーがいた場合、そのプレイヤーがどこを見ていたのか?さらに言えば、他のプレイヤーはどういった立場でプレイしてたのか?といったことが味わえるシステムになっているとのことだ。

 本システムを取り入れた理由に関しては、「新規のタイトルなので、プレイヤーのレベル差はないといいましたが、『NSO』が発売されてしまえば、いずれユーザーの購入時期などにより差ができてしまいます。それを最大限なくすために、こういったシステムを入れています」と述べた。

 ただ実際に人気が出るためには、製品の質自体が高くないと意味がないと高橋氏は語る。新しいシステムを入れたところで、ゲームが良くなければ誰も見向きもしてくれない、と。そこで数十万、数百万本売れているRTSを検証材料にして、売れているタイトルの4つの優れた点についての話へとテーマは移ることとなった。

 まず挙げられたのが「戦略性」。これはゲームを遊んでいる上で駆け引きがどれだけできるのかといった部分になる。「NSO」で一番気を使ったのがこの部分であるらしく、先に述べた「内政」と「戦闘」といったふたつの要素がこれにあたる。

 ただ、スターラインシステムによってこの問題は解決されており、それよりも悩んだのはふたつの要素のバランスだという。

「内政3:戦闘7にしてあります。なぜこうしたかと言うと、内政は基本的にひとりでもできる部分です。しかし、戦闘はオンラインゲームだからこそできる、他人との相互関係によって生まれるもの。ですので、その部分をより楽しんでもらうために戦闘を高くしています」(高橋氏)

photo 戦略性についての資料

 次に「自由度」については、「RTSをやられる人というのは、歴史が、戦国史が大好きといった人が多い。そうなると、自分が思い描くものを形にしたいと考えると思うのですが、そういったこともできるようにしています。なるべく多くのパターンがあるという意味で『自由度』は高めています」と語った。

photo 自由度についての資料

 3つ目となる「競技性」。まず例として、戦いも中盤になりパワーバランスが変わっている時、負けるプレイヤーが自分の手で投了してしまう、という問題が挙げられた。

 なぜこのようなことが起きるかという点について高橋氏は、「ゲームの終盤までプレイヤーの緊張感を持続させていないということなんです。『NSO』の場合、劣勢ならば劣勢なりに逆転できる要素を入れてあります。こうすることで、プレイヤーが最後の最後までゲームをプレイできるようになる。最後というのはもちろんゲームの勝敗が決するまでのことを指します。これが『競技性』です」と説明してくれた。

photo 競技性についての資料

 最後に「シナリオ性」についてだが、先にも述べたように「NSO」にはシングルでプレイできるシナリオモードが用意されている。全部で30時間ぐらいのボリュームになっているらしく、さらには「ナムコのSF世界」ということで、マニアならばニヤリと笑ってしまうようなシナリオも搭載されているとのことだ。

 オンラインゲームでありながら、シナリオモードも手を抜かないようにしている点について高橋氏は、「オンラインの対戦だと、プレイヤー同士のレベル差、もしくは勝った負けたというところで、確実な満足感を与えることは難しくなってしまいます。ですが、シナリオモードはひとりでプレイしますので、良いシナリオを作ればユーザーも満足してくれるだろうと。こういったことに気を使うことにより、発売後のセールスも変わってくるのではないかと考えています」

photo シナリオ性についての資料

 ナムコ初のRTSながら、細かい配慮と徹底した作りで制作が行われている「NSO」。MMO以外の可能性が見られなかった国内オンラインゲームではあるが、ワールドワイドの展開が予想される同タイトルが、その壁を崩してくれることに期待したい。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  2. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/25/news043.jpg 娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
  5. /nl/articles/2404/25/news129.jpg プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
  6. /nl/articles/2404/24/news018.jpg 1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
  7. /nl/articles/2404/24/news017.jpg メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
  8. /nl/articles/2404/23/news185.jpg 子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
  9. /nl/articles/2401/18/news015.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  10. /nl/articles/2404/22/news124.jpg ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」