「マビノギ」開発陣に聞きました――今年中にジェネレーション3へ、そして……(1/3 ページ)
日本版での「ジェネレーション2」実装が7月21日に迫る中、韓国から「マビノギ」開発陣が来日。G2の詳細を解説すると共に、今後のスケジュールなどを聞いてみた。
「マビノギ」を一番最初に制作を企画したのが2001年だったのですが、その当時韓国国内でのゲームの流行のようなものがあって、すべて型にはまってきてしまっていたんです。同じようなものばかりがリリースされているというか。我々としては、それを打ち破りたかった。型にはまらない新しい形のMMORPGを製作したいという意見が内部からも多く出てきたこともあり、制作がスタートしました」と、企画・開発の総指揮をとった開発室長キム・ドンゴン氏は当時を振り返る。
型を打ち破るMMORPGとして世に出た「マビノギ」は、旧来のものとは明らかに一線を画していた。他のMMORPGを例に挙げるまでもなく、旧来のものは狩りをしたり戦闘をすることが主体であり、1つのパターンになっていた。しかし、企画段階から「マビノギ」はそれ以外の“日常”を大事にしようと考えていたとキム氏。冒険も“日常”があってこそ特別な存在になるんだということを念頭においていたという。
「既存のMMORPGは研究したが、それに影響されたことはない。ただ、作品の舞台となる世界観などを構築するうえで、北ヨーロッパの写真などからインスパイアされたものはあります。しかし、一番影響されたものを挙げるとしたら普通の“日常”を観察し、取り入れていることでしょうか」と語るように、日常をちゃんと描くこと――それが企画の狙いであり、クリアしなくてはならない大前提であったのだ。
現在、韓国では「マビノギ」がひとつの産業として捉えられており、“マビノギタイプ”と呼ばれる新ジャンルが生まれ、定着しつつある。例えば新しいゲームが発売されるのに、このゲームはマビノギっぽいと言われるのだとキム氏は自分の作品を誇る。
マビノギタイプと呼ばれる新作は、韓国でも増えてきているそうだが、それはあくまでビジュアル面ばかり――「システムまでが『マビノギ』に迫るようなクオリティには及んでいないのが現状です。カートゥーンレンダリングで描かれたキャラクターではあるが、システムは従来のゲームのままなんてザラなんです」と、残念そう。開発者本人としては、似たようなタイプのゲームが競い合って、大衆化することでさらに市場に受け入れられるようになることを望んでいるようだ。
ビジュアル面に関しては韓国よりも日本に照準を合わせていたと語るキム氏は、日本文化にも造詣が深い。尊敬する日本人は「マリオブラザーズ」原作者であり、最近では「nintendogs」を発売した宮本茂氏で、好きなJ-POPはハロープロジェクト全般とのこと。
日本文化をよく研究しているようで、「キャラクターなどのアニメチックなグラフィックスは、韓国よりも日本の方が受け入れやすいのではないかと考えていました。韓国ではアニメっぽくなると子供っぽいと捉えられがちなのですが、日本は全般的にそういうグラフィックスに関しては間口が広いようです」と分析する。
ゲーム産業も古くから発展しており、様々なプレイスタイルが受け入れやすい市場でもあり、きっと「マビノギ」もすんなり受け入れてくれるのではないかと予想していたという。ただ、日本ではもっと貪欲に取り組んでいきたいともキム氏は語る――「現在、日本語版はサービス開始からあまり時間が経ってなく、もっと多くの方にプレイしてもらいたいと思っています。サービスについても、今後は日本のユーザーが満足してくれるアップデートなどをしていく考えです」と、日本版での特別なアップデートなどがある可能性を示唆。
先にサービスをスタートしている韓国が、バージョンも進んでいるので今はまず、そちらに追いつかせることを優先している。バージョンアップが追いついた暁には、日本のユーザーのためだけのアップデートやコンテンツの追加も考えているのだという。
企画チーム長のイ・ヒヨン氏は「そのためにも日本ではアップデートのスピードを韓国よりも早くしています。短い期間で導入されていくことになるでしょう。7月21日には『G2』へのアップデートを予定していますが、半年かけて導入していった本国よりも、今後はさらに加速したスケジュールでバージョンアップは進めていくと思います」と今後のスケジュールを明かす。
それに言及してキム氏は――「韓国では今年6月に『ジェネレーション3』(G3)が実装されたばかりです。とりあえずはジェネレーションごとに半年の期間を予定しているのですが、そのあとについてはまだ未定です。それが“G4”とは限りません。もしかしたら“ほかのもの”になるかもしれませんよ」と、1つ区切りが今年中に決着し、新しいものになる可能性をほのめかす。
「とりあえずは韓国で実装されたG3については、今年中に日本でのアップデートができるよう取り組んでいます。開発チームの目標は、韓国、日本だけでなく、オープンβテスト中の台湾や、先日オープンβテストがはじまったばかりの中国の市場で評価され、各国共にバージョンが並び、均一のサービスが提供できるようになればと考えています。その後は各国に合わせたサービスを行えるようになるのではないでしょうか」と、やはり今年中に大きな動きがあるとのこと。
台湾でも盛り上がりつつある「マビノギ」は、今後アジア圏だけでなく、北アメリカやヨーロッパにも進出したいと開発陣の私見ながら野望を覗かせた。2005年末にはある程度アジアでのサービスが安定するとの見通しで、その後何らかの動きを見せると予想される。
メーカー主導のイベントが他のMMORPGよりも控えている現状については、まずはバージョンを追いつかせることに注力している結果で、それが落ち着き次第、韓国でも反応がよかったイベントを開催すると発言。
日本と韓国では少し「マビノギ」をプレイする上で違いがあったように感じていたという――「日本は静かですよね。チャットがあまり取り交わされていないように思います。仲間内での会話に終始していませんか? 韓国では全然知らない人同士がチャットするなんて当たり前の風景なんですが、日本人は恥ずかしがり屋なのか、それとも周囲に迷惑だと思うのか、一定の仲間ができちゃうとあとは閉鎖的な感じがするんです。何か静かにゲームを研究しているように思ってました」と、韓国ではコミュニティの一種として活用されていると語る。
「日本のオープンβテストの初日を覗いていたんですが、誰もチャットをしてくれなくてバグや不具合があったのではないかと慌てた覚えがあります。今は慣れてきたのか皆さん会話をするようになり安心しているのですが。『マビノギ』では会話がすごく重要なシステムになっています。ですからたくさん知らない人でも会話を交わしてほしいです」と、もっとコミュニティとして活性化してほしいと望んでいる。
「『マビノギ』は当初からG3である程度完結するように計画されていました。それはメインストーリーもそうですし、ペットシステムなどのシステム面でも。そして当初から期待していたのは、ユーザーによって『マビノギ』が再生産されることでした。例えばユーザーが『マビノギ』の中で話を作ったり、イベントを企画したりと、自らが率先して動かしていく……。こうなっていくことが『マビノギ』が『マビノギ』であるための最終目標だと思っています」と、これからの目標で話を締めてくれた。
キム氏はMMOは、ひとつのプラットフォームになりえるのだと我々に問いかける。RPGに限らず、いろんな人が集まる場として進化していく――。それが韓国だろうと日本だろうと限らず、交流できる場へと発展していくだろうし、進化していくべきではないだろうかと。
今後「マビノギ」は、インタビューでも述べているように、G3でひとつの完結を迎えようとしている。その後は新しいディレクターを入れ、今までの『マビノギ』とは違う、新鮮なものを提供する予定とのこと。新しい力で「マビノギ」はさらなる進化を遂げようとしている。
ちなみに開発チームは、「マビノギ」専用の名刺を各自持っており、それぞれ自分が使用するキャラクターが描かれている。韓国や日本ではよくあることだが、男性が女性(女性が男性)のキャラを使用したりするが、中国などではあり得ないことなのだという。そのため、名刺のキャライラストも変更しないと、変な人だと思われるんですと文化の違いを教えてくれた。
7月21日にアップデートを予定している「ジェネレーション2」とは?
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左からネクソン「マビノギ」開発チームdevCATの運営チーム長チェ・ムンヨン氏、開発室室長キム・ドンゴン氏、企画チーム長イ・ヒヨン氏。そして通訳もしてくれた日本ローカライズ担当のメン・ジスンさん