石段と百ます計算と「ドンキーコングJR.の算数遊び」:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(2/2 ページ)
百ます計算とDSトレーニングと算数遊び
再び、百ます計算の話に戻るが、陰山校長とは別の観点から、百ます計算を推薦しているのが、東北大学医学部の川島隆太教授である。
川島教授の説では、複雑な計算をじっくり解くよりも、百ます計算のように単純な計算を数多くこなしていくほうが、脳の前頭前野が活性化されて良いらしい。
「ドンキーコングJR.の算数遊び」でも、ケタの小さな足し算、引き算を行なうことで、百ます計算と同様の効果が得られるのではないだろうか?
もっとも、短時間で数多くの問題をこなす百ます計算とは違い、「算数遊び」では1問ごとにJR.を動かして、つり下げられたチェーンを上り下りさせなければならない。
百ます計算と同じ効果が得られるかどうかは、ちょっとわからない。
ただ、このゲームでは、筆算の形式で問題を解いていく。
つまり、大きな数同士の計算も、各ケタごとに分割して計算することになる。
したがって、大きな数を計算するほうが、むしろ百ます計算に近い形になっているのかもしれない。
川島教授といえば、くもん出版から発売されている「脳を鍛える大人のドリル」シリーズの著者。
また、ニンテンドーDSの「東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング」(DSトレーニング)を監修した人物としてもおなじみだろう。
DSトレーニングの前にも、セガトイズの「脳力トレーナー」を手がけ、これもヒットさせている。
JR.がいちいちチェーンを上り下りする理由とは?
「ドンキーコングJR.の算数遊び」の惜しいところは、ちょっとゲームが単調な点。
「ドンキーコング」や「ドンキーコングJR.」は、バラエティに富んだ面構成が魅力だった。
それらと比べてしまうと、「ドンキーコングJR.の算数遊び」、特に計算練習モードは、どうしても単調さが目についてしまう。
また、数字を選ぶときに、いちいちドンキーコングJR.を、それぞれのケタに対応するチェーンのところまで移動させ、チェーンを上り下りさせなければならないのも気になる。
目の前に1〜0を並べておくほうが早いと思うのだが、なぜJR.はこういう、手間のかかる方法で計算をするのだろうか?
歩いたり、体を動かしたりすることで、脳が活性化すると一般に言われている。
これには「神経細胞が刺激される」「ドーパミンが出る」「ストレスが解消される」など、複数の理由が考えられている。
もしかしたらJR.は、1回1回歩いてチェーンを上り下りすることで、脳を活性化させて、計算に役立てようとしたのではないだろうか。
その論理でいけば、石段の上り下りで日々鍛えられた尾道の人は、すごく賢いことになる。
尾道は、町じゅう、坂と石段だらけ。
海と山に挟まれた土地なので、急斜面に市街地が発展したのだ。
景色はきれいなのだが、いざ歩くとなると、どこへ行くにも坂ばかりなので、けっこうつらい。
土堂小学校の前にも急な石段があって、ここを上らないと学校には行けない。
これだけきつい道を毎日通っていれば、脳の神経細胞もさぞかし刺激されることだろう。
実際、尾道にはときどき、不思議な能力を持つ人が現れる。
ラベンダーの香りをかぐだけでタイムトリップできる高校生とか、突然神様になってしまう中学生とか。
ホリエモンさんも本当は、そんな尾道の優秀な人材を発掘するために、広島6区からの出馬を決めたのかもしれない。
ドンキーコングJR.も、脳を鍛えるために、あえてチェーンを上り下りしながら計算をしていったのだ。
間違いない。
もっとも、もし本当に石段の上り下りが脳を鍛えるのであれば、陰山校長が赴任するより前から、土堂小学校はもっと話題になっていたはずだと思うが。
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