しょせん賭事だろう――競馬の本当の楽しさを知らない、こんな方にお勧めします「ダービー馬をつくろう!5」レビュー(1/3 ページ)

セガの競走馬育成シミュレーション「ダビつく」もついに第5弾に突入。TVでもおなじみ、あの笑顔の競馬評論家、井崎脩五郎先生の出演で、ますます親しみやすくなって登場だ。

» 2006年01月27日 17時12分 公開
[立花裕壱,ITmedia]

もっと注目されるべき競馬ゲーム

 経営や育成などスポーツの戦略的な側面を切り口にして大人気のセガ「つくろう!」シリーズ。その第一歩は、1996年の「Jリーグ プロサッカークラブをつくろう!」(以下、サカつく)から始まった。2年後には「プロ野球チームもつくろう!」が登場。そして2000年、ドリームキャストで発売された競走馬育成シミュレーション「ダビつく ダービー馬をつくろう!」(以下、ダビつく)で、現状の3本柱が整った。

 つくろう! シリーズの代表格は、やはりサカつくだろう。新作のたびに話題となり、最近では「サカつく2002」や「サカつく3」がハーフミリオンを達成している。そのサカつくに比べて、ダビつくはもうひとつブレイクしきれない印象がある。中身のクオリティの高さからすると、いつ爆発的にヒットしてもおかしくないのだが……。

 元祖競馬シミュレーション「ダービースタリオン」(以下、ダビスタ)の存在の大きさも、ダビつくが伸び悩む要因だろうか。ダビスタの発売はファミコン末期の1991年。そこを基準にすればダビつくは明らかに後発で、未体験のファンには二番煎じと映るかもしれない。しかし、ダビつくは新しい方向性を打ち出して、シリーズを進化させている。“配合・育成にこだわる”ダビスタに対し、ダビつくは一言でいうなら“丸ごと競馬を遊ぶ”ものなのだと思う。

 本作、ダビつく5の具体的な紹介に入る前に、まずは共通するシリーズの魅力に触れておきたい。ポイントは3つある。

 1つ目は音声実況。ラジオNIKKEI(元ラジオたんぱ)競馬中継でおなじみの山本直也氏を起用し、迫力満点の音声実況を実現している。実況があるとないとでは大違い。菊花賞や天皇賞・春のような長距離レースでも、独特の節回しの実況があれば聞いているだけで不思議と飽きない。

 さらにダビつくでは、音声合成システムによって、プレーヤーがつけた名前も声で読み上げてくれるのが特徴だ。ゴール前、スターホースとともに愛馬の名前が絶叫されるのは、聞いていてなんとも気持ちがいい。手に汗握って観戦する、見て、聞いて感動するスポーツの側面が打ち出されている。

photo 実況がゴール前を盛り上げる! 写真は今回初収録の香港・沙田競馬場。実況は驚くくらいスムーズだ
photo 愛馬の名前は、アクセントと無声化を設定することでかなり滑らかに発音される。名前に迷ったらオートもあり

 2つ目は経営要素。普通、競馬育成ゲームで増設できる施設といえば、種馬を置ける牧場くらい。それがダビつくでは、実用的な施設の「坂路コース」、「ウォーキングマシン」、「病院」はもちろん、商業設備の「グッズショップ」、「カジノ」、「湧き水販売所」、遠征を補助する「検疫所」、「自家用機付き飛行場」、そして「当て馬厩舎」、「猫ハウス」なんてユニークなものまで、無数の施設が用意されている。

 これらの施設は、スペースに限りがあり、取捨選択を求められるのだが、ここが経営部分の面白さ。自分の牧場を生産重視にするか、馬の強化をメインに据えるか、はたまた副収入を狙って観光型牧場にするか……。お金が余ってしまうのがこのジャンルの宿命だが、本作では使い道が多いのがいい。

photo 各施設は3×4や4×4と大きさが決まっている。マス目に合わせて、なるべく効率よく施設を配置していこう

 そしてポイントの3つ目は多彩なイベントとなる。配合一筋45年のロクさんこと飼葉六三郎、牧場の事務担当の雪野美々(ミンミン)とおませな妹のまい、角刈りの青年ツヨシなど、牧場のスタッフはにぎやかだ。ダビつく5では、シリーズではおなじみのライバル・ノゾミ牧場も、大金持ちのムハムハ殿下をスポンサーに、プレーヤーに対抗する。牧場にTV局が来てクイズイベントが発生したり、怪しげな男が商談を持ちかけたり……と、多彩なイベントでプレーヤーを飽きさせない。競馬ゲーム特有のとっつきにくさがうまく緩和されている。

 本格的な配合や育成は当然のこと、競馬マニアとまでいかない人でもしっかり楽しめるのがダビつくのカラーと言えるだろう。実況、経営、イベントと、これでもかというほど中身が詰め込まれたソフトだ。

photo レースに初勝利すると開設されるノゾミ牧場。今回はイベントが発生するときは、目印のアイコンが出るようになった
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