11回目のプロポーズ――やっぱりオレ……「KOF」が好きッス:「ザ・キング・オブ・ファイターズ イレブン」レビュー(1/3 ページ)
2005年にアーケードに登場し人気を博している「ザ・キング・オブ・ファイターズ イレブン」がPS2に移植された。11作目の「ザ・キング・オブ・ファイターズ」は、前作「ザ・キング・オブ・ファイターズ2003」の正常進化版として楽しめる、ファンなら買いの一作だ。
「2005」じゃなくて「イレブン」なのです
「ザ・キング・オブ・ファイターズ」(以下、KOF)シリーズは、1994年にアーケードに登場した「KOF'94」を皮切りに、12年の長きに渡って続いている2D対戦格闘ゲームだ。「KOF'94」は当時のSNKタイトル(「餓狼伝説」、「龍虎の拳」、「怒」など)の人気キャラが集まった3対3の新機軸作品として注目を浴びた。キャラクターが一堂に会するお祭り的な要素は強かったが、各国(「KOF'94」ではそれぞれのチームが国の代表という設定で、当時は自由にチーム編成を組むことができなかった)ごとのストーリーやキャラ設定もしっかりとしていた。
ストーリーに関しては「KOF'95」でさらにディープなものになる。向こう3年をかけて語られるオロチ編がスタートしたのだ。主人公・草薙京とライバル・八神庵を中心に描かれたオロチ編は「KOF'95」、「KOF'96」、「KOF'97」の3部作で幕を閉じた。そして「KOF'98」は、ストーリーがない代わりに人気キャラ勢揃いのお祭り色の強いドリームマッチ的な作品だった。
「KOF'99」からは新章・ネスツ編に突入した。主人公は草薙京からK'(ケイダッシュ)にバトンタッチ。謎の組織ネスツの野望を描くネスツ編は、以後「KOF2000」「KOF2001」と続き、オロチ編同様に3部作モノとして「KOF2001」で完結した。その次にリリースされた「KOF2002」は、「KOF'98」と同じスタンスのシリーズ総決算的な作りで、非常に楽しめる作品となっていた。
そして「KOF2003」では、これまでの流れ通りに、3つ目の新しい物語が始まった。新主人公はアッシュ・クリムゾン。翠色に輝く特殊な炎を扱う謎多き青年だ。アッシュを中心に「KOF2003」で語られたストーリーは、オロチ編と因縁の深いものだった。ここまで実にKOF本編が10作品。毎年リリースされては2D対戦格闘ファンを夢中にさせてきた「KOF」シリーズだったが、2004年の正式なシリーズ続編のリリースは、残念ながらなかった(2004年には「KOF2002」をベースにした番外編的タイトル「THE KING OF FIGHTERS NEOWAVE」がアーケードで稼動し、翌年プレイステーション 2でリリースされている)。そしてファン待望の「KOF2005」は……と思ったら、「ザ・キング・オブ・ファイターズ イレブン」(以下「KOF XI」)が2005年にアーケードに登場。ナンバリング方法を変えて装いも新たに生まれ変わった新生「KOF」が誕生したのだった。
ナンバリングは改められた「KOF XI」なのだが、そのシステムは前作「KOF2003」を土台に細かく改良が加えられていて好感の持てる仕上がりになっている。また、ストーリーのほうも当然のごとく「KOF2003」の続編。今までの流れから推察すればアッシュ・クリムゾンを主人公にしたアッシュ編3部作の中間に位置する作品だと言うことができる。オロチの存在を絡めた物語はさらに深みを増し、大勢の登場キャラクターの個性も際立っている「KOF XI」は、ファンなら押さえておいて間違いないタイトルだ。
前作をベースにしつつも、新要素満載
アーケードで稼動中の「KOF XI」をプレイしている人なら、すでに前作「KOF2003」からどういった点が変更されているかはご存じだろうが、改めて紹介していこう。
「KOF XI」で新しく導入されたシステムといえば、まずは「スキルゲージ」。これは対戦中にたまっていき、最大2ポイントまでためることができるもので、特殊な行動をする際に消費される。スキルゲージを1ポイント消費する行動は「クイックシフト」、「通常技キャンセル緊急回避」、「スーパーキャンセル」、「ドリームキャンセル」、2ポイント消費する行動は「セービングシフト」と「ガードキャンセルシフト」だ。
これらをうまく利用することで、3対3の対戦を有利に展開させることができる。細かい仕様変更ではあるが、戦略には大いに影響を与えているシステムだと言えるだろう。特に超必殺技からリーダー超必殺技へと技をつなぐことができるドリームキャンセルは、一発逆転を狙える重要かつ面白い要素なので、積極的に狙っていきたい。
また、タイムアップ時に判定で勝敗を決める「ジャッジメントインジケーター」も「KOF XI」における新要素だ。画面中央上に、対戦中にどちらが優勢でどちらが劣勢なのかを示すインジケーターが表示される。優勢なプレイをしている側に傾くインジケーターがタイムアップ時にどちらに傾いているかで勝敗が決まる、というものだ。
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