日本人が安心してプレイできる本格和製RPG――「ブルードラゴン」東京ゲームショウ2006

Xbox 360の日本での起爆剤として期待されている、坂口博信氏プロデュースのRPG「ブルードラゴン」。先日、発売日が12月7日と発表されたが、東京ゲームショウ2006では完成版に限りなく近いものでプレイアブル出展されている。

» 2006年09月23日 01時58分 公開
[平澤寿康,ITmedia]

試遊機では2種類のセーブデータを選択してプレイ可能

 マイクロソフトが、「ファイナルファンタジー」シリーズの生みの親である坂口博信氏、「ドラゴンクエスト」シリーズのキャラクターデザインを担当する漫画家の鳥山明氏を擁し、日本市場におけるキラータイトルとして開発を続けてきた「ブルードラゴン」。今回東京ゲームショウのマイクロソフトブースでは、発売日を目前に控え、完成間近の形でプレイアブル出展されている。しかも、「ブルードラゴン」専用のクローズド試遊コーナーを設置し、17台という圧倒的な数の試遊台を設置するなど、まさに破格待遇での扱いとなっている。

 今回展示されている「ブルードラゴン」は、東京ゲームショウオリジナルバージョンではなく、開発中のゲームそのものが使用されている。各試遊機には、特定の場所から開始される2つのセーブデータが登録されており、来場者はその2種類のセーブデータを選択した上で、実際のゲームを進めつつ試遊を行うことになる。つまり、試遊とはいえ、実際の「ブルードラゴン」の世界を体験できるようになっているというわけだ。

 用意されている2種類のセーブデータは、1つが「巨大要塞内部からスタート」するものと、2つ目が「古代遺跡の森と名付けられたフィールドからスタート」するものの2種類。このうち、巨大要塞内部からスタートするセーブデータでは、ムービーによるイベントが中心となり、途中にボス戦や「メカットシューティング」と名付けられたミニゲームが体験できる。

 また、古代遺跡の森からスタートするセーブデータでは、フィールド内の散策や敵との戦闘が中心となっており、イベントはほとんど発生しないようになっている。試遊コーナーでプレイできるのは15分間となっているため、基本的にはどちらか一方のみを体験することになる。そのため、実際に会場でプレイする場合、ムービーシーンやボス戦を体験したいなら巨大要塞内部からスタートするセーブデータを、フィールド上での自由な探検や敵との戦闘を中心に、いわゆるRPGの醍醐味を体験したいなら古代遺跡の森からスタートするセーブデータを選択すればいいだろう。

「ブルードラゴン」の試遊コーナー。完全クローズドとなっており、外からプレイの様子は見えないようになっている
試遊コーナー内部には17台の試遊機が設置され、開発中のゲーム本体を利用した体験プレイが可能となっている

お約束はそのままに、新しい試みも盛り込まれる

 実際に、巨大要塞内部からスタートするセーブデータを選択してプレイしてみたが、ゲームの世界観は、まさしく鳥山明ワールドそのもの。原画の雰囲気がそのまま3Dになっているのはもちろん、グラフィック自体の質も非常に高く、ムービーシーンなどはまさに感動ものだ。また、プレイ画面とムービーシーンとの画質差も思ったほど開きがなく、違和感もそれほど大きくない。

 また、RPGとしてのシステムも、我々日本人が慣れ親しんできた和製RPGそのものとなっている。戦闘シーンはコマンド選択型となっており、優先順位の高いキャラクターから順にコマンドを入力していくというおなじみのもの。登場する魔法も、名前を見ただけでどういった効果か想像できるようなものばかりとなっており、この点でも親しみやすい。魔法や特殊能力を使った攻撃時に派手な演出が行われる点も言わずもがな。また、○ボタンで調べたり話しかけたりといった基本的な操作法に関しても戸惑うところはなかった。とにかく、和製RPGにおける“お約束”は、ほぼ間違いなく盛り込まれていると言っていいだろう。

 とはいえ、完全におなじみのRPGのシステムが踏襲されているわけではない。例えば、戦闘時のコマンド入力は、味方全員のコマンドを一度に入力する、いわゆるターン制ではなく、敵味方全員の優先順位に従って順番にコマンドを入力していくようになっている。そのため、コマンド入力と敵の攻撃が入り乱れることもあり、この点はやや異なる雰囲気となっている。ただ、戦闘画面上部に味方と敵のアイコンが優先順位順に並び、次にどの敵が攻撃してくるのか、次にどの味方キャラのターンになるのか容易に把握できるようになっているので、戦闘時の戦術は立てやすくなっている。また、特殊攻撃などはボタンを押したままでパワーゲージを貯めるような要素も盛り込まれるなど、新しい試みも用意されている。

 ちなみに、自由に操作できるシーンとムービーシーンとのつながりは、展示されているバージョンではやや間があき、ぎこちなく感じる部分もあるが、最終的にはそのあたりも調整され、ギャップを感じることなく操作シーンとムービーシーンがスムーズにつながることになるそうだ。

左の画面に映っているのが、メカットシューティングのシーン。照準を操作して敵を撃ち落とす

 巨大要塞内部からスタートするセーブデータでは、要塞内部を進んでボス戦をこなした後、小さな飛空挺のような乗り物に乗りこみ、空中でのシューティングが楽しめる「メカットシューティング」というミニゲームとなる。ミニゲームなのでそれほど難易度は高くないが、フライトシューティングに近い感覚で楽しめ、結構のめり込んでしまう。もちろん、きちんとストーリーに絡んでいるので手を抜かずにプレイしよう。

フィールド上の敵は見えている

 次に、古代遺跡の森からスタートするセーブデータでもプレイしてみた。こちらは、フィールド上を自由に歩き回ることができ、敵との戦闘も心ゆくまで体験できる。

 ところで、「ブルードラゴン」での敵とのエンカウントは、一般的なRPGのようなフィールド上でのランダムエンカウントではない。フィールド上には敵が見えており、その敵に接触することによって戦闘が開始されるというシステムになっている。この敵とのエンカウント手法は、オンラインRPGのそれに近いと考えていい。

右の2画面が戦闘シーン。ややわかりづらいが、優先順位に応じてコマンドを入力して行う

 ところで、プレーヤーが敵の視界に入ると、敵はこちらを見つけ“認識”する。そして、敵がプレーヤーを“強い”と判断した場合には、こちらに向かってくることなく逃げだし、逆に“弱い”と判断した場合には立ち向かってくる。また、ほぼ同レベルだと思われる場合には、こちらを“認識”だけして積極的に戦闘に向かってこない場合もある。目に見える敵でも、意図的に戦闘を回避したり、逃げる敵を追いかけて戦闘に持ち込む事も可能というわけだ。こういった部分は、いわゆる一般的なRPGとは若干異なる部分といえる。

既存RPGのいいとこ取り、安心してプレイ可能

 今回実際にブルードラゴンをプレイしてみて、これまで日本で親しまれてきた和製RPGのいい部分を中心に抜き出してまとめた、まさに“いいとこ取り”のRPGであるというふうに感じた。ゲーム全体の雰囲気は鳥山明ワールド全開で、美麗なムービーシーンと操作シーンの融合、戦闘中の派手なエフェクトなど、まったく新しいRPGであるにも関わらず、どこか懐かしく親しみのある雰囲気がそこかしこに感じられる。とにかく、期待を裏切られることはないと断言していい。それほどまでに出来は良く、十分に期待できるタイトルであると感じた。

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