ポスト「Halo」と目されるXbox 360キラー、日本版発売はいつ?――「Gears of War」Epic Gamesインタビュー東京ゲームショウ2006

日本国内のXbox 360ユーザーの間でも話題となっている新作「Gears of War」、その魅力を本作の開発を手掛けるEpic Gamesのアラン氏に聞いてきた。

» 2006年09月23日 06時00分 公開
[小林仁,ITmedia]
Epic Games・レベルデザイナー、技術アーティストのアラン・ウィルラード氏。本作ではディレクションを務めるほか、「2003」、「2004」、「チャンピオンシップ」。「2007」をはじめとした歴代Unrealシリーズのレベルデザインを手掛けている

 海外はもちろんのこと、国内メーカーでも次第に採用が進んでいるFPS・TPS用の3D描画エンジン「Unreal Engine3」を開発したEpic Gamesが制作するXbox 360の注目作「Gears of War」。北米版では11月12日の発売が決定しているが、東京ゲームショウ2006(以下、TGS)のマイクロソフトブースでは残念ながらプレイアブル出展は見送られ、トレイラーのみの出展となっているようだ。

 ただ今回、「Gears of War」のディレクターを手掛けるEpic Gamesのアラン・ウィルラード氏が日本に来日しているとのことで、マイクロソフト側から本作の最新バージョンによるデモプレイ解説、並びに最新情報をふまえたインタビューの席が特別に設けられた。今回はその模様をお届けしよう。

AIで動くチームメイトと連携しながら戦うキャンペーンモード

 今回、アラン氏がデモで解説してくれたのはキャンペーンモードについての紹介。プレーヤーは仲間の3人と一組で行動するマーカスを操り、将軍に出会って「前部隊が失った(敵に勝つための)デバイスを探し彼らに何が起こったのかを調査せよ」という任務を命じられる。シングルプレイであるキャンペーンモードの進行は“4人1組による部隊戦”――つまり、シングル・マルチにかかわらず本作は“部隊との協力プレイ”が基本となっている。ここで改めて紹介されたのは、本作最大の特徴でもあるカバーリングと、AI操作によるチームメイトとの協力プレイという概念だ。

 従来のFPSやTPSは、身を伏せる・塀を乗り越える(ジャンプ)・照準をつけるといった行動にそれぞれのボタンが配され、操作系は非常に複雑化している。「Gears of War」はこの部分に大きなメスを入れた作品で、「障害物に身を隠す」、「塀をよじのぼる」、「壁伝いに動く」、「前転・横転する」、「走る」といった様々なアクションが、Aボタン(+レバー入力)だけで行える“カバーシステム”と言う仕様が採用されている。要は周囲の状況に応じて自動的に最適なアクションをAIが判断する。この一種独特な操作感覚は一度慣れてしまうとかなり快適だ。

 E3バージョンではこのあたりの動きにアラが見えていたが、今回TGSで見せてもらった完成直前のバージョンは動きも非常にスムーズになり、まさに「壁に吸い付くような」操作感覚となっていた。もちろん、Bボタンのチェーンソーで敵を叩き切る爽快感も健在。ただ日本版では飛び散る血しぶきに周囲にころがる肉塊といった表現はあまりにダイレクトすぎるので、ある程度おとなしい表現にはなるかも……とのことだった(この辺りはまだ確定されていない)。

味方同士の連携こそが戦いにおいて大きな鍵を握る「Gears of War」。Unreal Engine3ではキャラクターのAIパターンのプログラムが大幅に進化しており、1人でもチーム戦の醍醐味が十分味わえる内容となっている

 敵との攻防シーンで見せてもらって興味深かったのが、敵が正面にいる時はチームメイトを囮にし、その間に自分は真横に回り込んで敵を挟み込むといった“チーム戦術”がシングルプレイでも有効に機能していたことだ。仲間のチームメイトはすべてAIで動いているが、敵の襲撃を受けた時はそれぞれが障害物にいったん身を隠し、徐々に反撃体制を築き互いに連携しながら再び前線を押し上げていく。もちろんこれは敵側も同様で、戦況が不利になれば守りを固めたり撤退する。

 人間同士の対戦のようなガチンコな状況にはならないが、その動きはかなり人間っぽい。開発チームは「チームで戦う面白さを味わってもらう」ことをかなり意識しているようで、Xbox Liveを使うと「2人でキャンペーンモードを戦う(こちらは確認できなかったが、おそらく2人がプレーヤーキャラ、残る2人がAIキャラという4人のチーム戦として戦うことになると思われる)」COOPプレイというゲームモードも用意されるという。なお人類の敵であるCocusは地下にいるらしく、“エマージェンシーホール”と呼ばれる穴を開け地上へ侵略してくる設定となっている。この穴をグレネードなどでふさぐことも、ゲーム目的のひとつとなっているようだ(ふさがない限りいくらでも湧いてくるらしい)。

マルチプレイモードは4対4まで! 中身の濃いチーム戦を堪能

新要素であるカバーシステムを使った戦術を味わってもらうため、レベル(マップ)デザインはチームメイト間の距離感をはじめ、かなり細かいディティールの部分にまでかなりこだわったようだ。この部分は、数多くのFPSを手掛けてきた経験が役に立ったという

 今回はオンラインプレイのデモは見せてもらえなかったが、「Gears of War」はキャンペーンモード以外にもストーリーモード(1人/2人同時プレイ)、そしてXbox Liveとシステムリングを使ったマルチモードが用意される。注目したいのは、最近のマルチプレイは16〜32人という多人数対戦がトレンドだが、本作のオンライン最大対戦人数は最大4対4の“8名”までしか対応しないという割り切りの良さ。この理由は、「本作はゲーム性が非常に戦術志向の高いゲームだからだ。少数のチーム制にしたことで、本作は緊張感の高いゲーム性を実現するため」(アラン)。

 全体を通して感じたのは、「Gears of War」の魅力は「Unreal Engine3」で強化された機能を使ったからこそできた新しいタイプの戦術系TPSになるな、という期待感である。逆に言えば、もし本作がヒットすればこうした“AIを駆使した次世代機ならではのタイトル”が、今後のFPSやTPSのトレンドになる可能性もあるということだろう。


 いつ頃日本で本作が遊べるかも気になるところだが(近いうち発表する、とは言っていた)、最後にアラン氏にXbox 360版「Unreal Engine3」の一問一答を載せて本項を締めくくることにする。

―― Xbox 360版「Unreal Engine3」のデキはどんな感じでなのしょう。

アラン おそらく、ゲームを開発するアーティストにとってはエンジンをそのまま使わせることができる(カスタマイズの必要なく使える)素晴らしいツールだと思う。レンダリング、AI、ライティング、ポストプロセス(霧の表現)といった新技術が導入されたのはもちろんだが、Xbox 360の「Unreal Engine3」は非常にパワフルなゲームエンジンになっており、大変満足している。



Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news189.jpg 「大物すぎ」「うそだろ」 活動中だった“美少女新人VTuber”の「衝撃的な正体」が判明 「想像の斜め上を行く正体」
  2. /nl/articles/2411/22/news014.jpg 川で拾った普通の石ころ→磨いたら……? まさかの“正体”にびっくり「間違いなく価値がある」「別の惑星を見ているよう」【米】
  3. /nl/articles/2411/22/news114.jpg 中村雅俊と五十嵐淳子の三女・里砂、2年間乗る“ピッカピカな愛車”との2ショを初公開 2023年には小型船舶免許1級を取得
  4. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  5. /nl/articles/2411/22/news032.jpg 「壊れてんじゃね?」 ハードオフで買った110円のジャンク品→家で試したら…… “まさかの結果”に思わず仰天
  6. /nl/articles/2411/22/news018.jpg 猫だと思って保護→2年後…… すっかり“別の生き物”に成長した元ボス猫に「フォルムが本当に可愛い」「抱きしめたい」
  7. /nl/articles/2411/22/news171.jpg なんと「身長差152センチ」 “世界一背が低い”30歳俳優&“世界一背が高い”27歳女性が奇跡の初対面<海外>
  8. /nl/articles/2411/22/news145.jpg 大谷翔平と真美子さん、「まさかの服装」に注目 愛犬デコピンも大谷家全員で“歩く広告塔”ぶり発揮か
  9. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  10. /nl/articles/2411/22/news184.jpg 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた