「モナト エスプリ」は“ポスト・ラグナロクオンライン”を狙うNeoWiz Japanインタビュー(2/2 ページ)

» 2006年09月28日 14時45分 公開
[聞き手:麻生ちはや,ITmedia]
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――このゲームはアイテム課金ですね。

パク そうです。アイテム課金はゲーム内で普通に入手できるアイテムとのバランス、価格と持続効果の調整などが難しいのですが、弊社はそれで成長してきた企業ですし、ユーザーが本当に欲しい物、必要な物に関する情報はかなりつかんでいます。ゲーム内バランスを崩さないように配慮されたアイテムの提供に関しては、相当の自信があります。

――日本市場をそこまで意識して開発されるというのは、オンラインゲームのマーケットにおいて、日本はそれほどに魅力的、ということなのでしょうか?

イー 韓国のマーケットももちろん大きいですが、新規ユーザー層の開拓は終了し、今はメーカー同士が市場を奪い合ってる状況です。ところが日本は、オンラインゲームに関しては、市場がまだまだ少しずつ成長している過程で、次の2〜3年でさらにビジネスチャンスは増えると読んでいます。

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――しかしインターネットカフェに足を運ぶことに抵抗がないうえ、若者だけでなくある一定以上の年齢層や、または女性のオンラインゲームプレイ率が圧倒的に高い韓国に比べると、コンシューマ機が強い日本で、オンラインゲームの市場というのはそんなに成長が望めますか?

イー 確かにそうですが、3年前に私が日本を訪れた時に比べるとPCの普及率もインフラもはるかによくなっています。そういった傾向からして、今おっしゃられたような点については心配していません。

 また、韓国では年齢を問わず一般人までゲームというものが浸透していますが、実際に人気があるのはMMORPGではなくカジュアルゲームなんです。逆に日本ではMMORPGの方が根付いていますので、女性ユーザーへの訴求が望めると考えています。

 もちろん、そうなるためには「よいコンテンツ」があってこそです。日本のコンシューマーゲームのメーカーも徐々にオンラインゲームに目を向けつつありますし、競合は激しくなりますが、それによって市場が拡大していくことが大事だと、私自身は読んでいます。

――日本のオンラインゲームの普及率は、確かに3、4年前から急激に伸びましたが、今は正直横ばいのようにも見えます。それでもまだMMORPG市場がこれから育っていくとお考えですか?

イー 伸び率がなだらかになっているのはおっしゃる通りですが、オンラインゲームの認知度が上がった時点で急激に伸び、今は導入期を経て、再来年あたりにやってくる成熟期へ入る少し手前なのだと思います。長い目で見ていくつもりです。

 これは韓国の市場をベースに考えていますが、韓国ではMMORPGがまずコアゲーマーではない一般層にまで浸透し、その後カジュアルゲームが広まることで市場が拡大しました。日本も同様に、カジュアルゲームが一般ユーザーに広まるその兆候が見え始めた時に、成長傾向が少しずつ現れるでしょう。私はそれを来年下半期あたりと見ています。

――そのタイミングを逃さないために、今は種まきの時期といった感じで、コンテンツを増やしているというわけですね。

イー はい、まさにその通りです。弊社はその時期に備えてかなりの投資をしています。来年までは事業を展開するための基礎体力、土台作りと考えて、来年以降は「モナト エスプリ」を筆頭にもう1つ大きなタイトルもサービス展開していきます。

画像 「EA SPORTS FIFA ONLINE」

――その他のタイトルというのが、プレスカンファレンスでも発表された「EA SPORTS FIFA ONLINE」なのですね?

イー 「EA SPORTS FIFA ONLINE」に関して言えば、東京ゲームショウの期間中にユーザーさんに見ていただくのが、今後の展開にもよいのではと考えて、デモ機を展示しました。本当はもう少し早い時期にお見せできればよかったのですが、実は国内でのサービスを弊社が行うとは、まだ決定していません。

――韓国ではワールドカップの時期合わせてサービスが始まったので、日本で遅れを取ったのは少し残念ですね。

イー おっしゃるとおりですね。韓国ではワールドカップのブームに便乗して同時接続者数が10万人という数字を打ち出しまし、これは「World of Warcraft」、「Lineage」の記録をも抜きました。ワールドカップ終了後はユーザー数が落ちると思われていましたが、安定した接続数がありますし、成功していると言えるタイトルでしょう。日本でもオンラインゲームとして受け入れてもらえると思っています。

――日本でのサービス展開時期の目標などは、教えていただけるのでしょうか。

イー それについては協議中でして、まだ詳しくは申し上げられません。それ以外のタイトルについては、韓国の開発元としてアウトソーシングしている会社では、いくつか新タイトルも進んでおります。来年の下半期ぐらいには、その中から日本で受けいれられそうなタイトルを持ち込み、ローカライズしていくつもりです。

 実は韓国・NeoWizには今、「リネージュ」や「メイプルストーリー」を手がけた有名なスタッフを始め、かなり優秀なメンバーが、どんどん集まってきているんです。来年以降は日本でも彼らが製作した新タイトルをお目にかけられると思いますので、ぜひご期待ください。

――確かに次々と素晴らしいコンテンツを生み出すことは大切ですが、任天堂の岩田聡社長は「ユーザーの限られた時間をどう奪い合うかが今後の課題」と語られました。同社は携帯ゲーム機によって、それこそ移動中もどこでもゲームがユーザーの時間に食い込んでいけるわけです。PCゲームメーカーの中には、モバイルコンテンツと連動して、パソコンの前にいない時でも何らかのアクションが取れるシステムを採用しているところもありますが、やれることには限界があります。それについてはどうお考えでしょう。

イー もちろん携帯サービスとの連携は、今後大切になっていくでしょうね。ユーザーの時間を奪い合うということですが、例えばTVで考えた時、地上波しかなかったところに衛星放送ができ、ケーブルテレビが登場し地上波は駄目になるだろうと言われてきました。ところが実際にはお互いに成長しあっていますよね? ゲームも同様にアーケードゲームがあり、家庭用ゲーム機があり、そして今オンラインゲームが伸びてきた中でユーザーはどこか一箇所で止まるのではなく、異なるサービス間を行き来してくれるのではないでしょうか。そこで重要になるのが、キラーコンテンツの存在だと考えています。

――NeoWiz Japanのキラーコンテンツが、「モナト エスプリ」なのでしょうか。。

イー そのスタートですね。「モナト エスプリ」で日本のMMORPG市場を制覇しようというわけではありません(笑)。オンラインゲームは提供したらそれで終りではありませんので、日本と韓国の開発側と密接に連絡を取り、成功できるように努力していきます。

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――ただ、現在日本ではあまりに多くのMMORPGタイトルが、試す余裕もないほど次々に展開されています。その結果、ユーザー側が「MMORPGはもうお腹いっぱい」といった受け止め方をしがちです。「モナト エスプリ」のゲームシステムが素晴らしくても、とりあえず手にしてもらうためには相当なインパクトが必要だと思うのですが。

イー たとえば、韓国でMMORPGの新規タイトルを始めるにあたっては、100点満点中50点の出来具合ならばスタートしてしまいます。そして運営を続けながら徐々に改善をしていくというスタイルです。しかし日本ではそれは通用しません。

 「モナト エスプリ」も本当は9月からβテストなどの開始を予定してましたが、弊社の方でまだその時期ではないと判断したのです。物事なんでも満点ということはありえませんが、日本では最低でも70点の完成度で初めてサービス開始を考えます。

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