人とドラゴンが共存する世界――「RISE FROM LAIR(ライズフロムレア)」の物語をひもとく:Factor 5現地取材リポート その1(1/2 ページ)
昨年の東京ゲームショウでその一端を見せたプレイステーション 3ソフト「RISE FROM LAIR(ライズフロムレア)」だが、その全容がようやく見えてきた。開発会社であるFactor 5に取材することができたので、3回にわたってご紹介しよう。
ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンが発売を予定しているプレイステーション 3ソフト「RISE FROM LAIR(ライズフロムレア)」(以下、ライズフロムレア)。昨年開催された「東京ゲームショウ2006」でもプレイアブル出展されたので、体験した人も多いだろう。
「ライズフロムレア」で描かれるのは、現代から何世紀と離れた時代の、人とドラゴンが共存する世界での出来事。このゲームはどのように生まれてきたのか、またどのようにして作られたのか、制作会社であるFactor 5に取材することができたので、ご紹介していこう。
プレイステーション 3だからこそできた、クリーチャーが飛び交うリアルな世界
Factor 5があるのは、米国・サンフランシスコ郊外。市内からゴールデンゲートブリッジを渡り、車で30分ほど走った清閑な場所に会社を構えている。Factor 5の名前を聞いたことがある人はそれほどいないかもしれないが、ルーカスアーツと協業してプレイステーション版「スター・ウォーズ レベルアサルトII」やゲームキューブ版「スター・ウォーズ ローグ スコードロンIII レベル ストライク」といったゲームを開発してきた会社だ(ちなみに会社はルーカスアーツの近隣に位置している)。
「これまでたくさんのフライト系ゲームを手がけてきたが、プレイステーション 3はこの種のゲームにはパーフェクトなハードだ」と、Factor 5社長であるジュリアン・エッゲブレヒト氏は語る。エッゲブレヒト氏は、ゲームにモーションコントロールを取り入れるのが夢だったそうだ。「これを使えば、1つの操作系によって、さらにリアルなものとして体験できる。『スター・ウォーズ』シリーズでも、いろいろな飛行機に乗ることで“飛ぶ”ということを表現してきたが、今回は生物に乗って、ドラゴンが飛んでいるという感覚をモーションコントロールで表現している」(エッゲブレヒト氏)。
「ライズフロムレア」の舞台は、現代から何世紀と離れた時代。人々は1つの大国のもとで暮らしていたが、“信じるもの”の違いから亀裂が生まれ、「大分裂期」と呼ばれる時代が訪れていた。その世界を分けているのは、豊富な資源を元に発展を遂げる「アシリア帝国」と、自然と共存しながら、蒸気を巧みに操る「モーカイ族」という2つの勢力。それぞれの生き方や、信じるものの違いが、両者に大きな溝を生み、常に抗争を続けていた。
このタイトルでは、プレーヤーが操作するのはドラゴンそのもの。「Cellのパワーにより、これらの画像がリアルタイムでレンダリングできる。細かい部分からロングで写される情景まで、細かく表現が可能だ。光の表現についても、夕日や夕焼け、あるいは日の出の場面であっても、ゲームを操作している最中にユーザーは体験することができる」(エッゲブレヒト氏)。川を流れる水の流れや、海に浮かぶ船が動くことによりできる波しぶき。そしてドラゴンが船を攻撃したことにより起こる波紋など、すべては流体力学に基づいた物理計算によってリアルタイムにシミュレーションされている。
「搭載されているグラフィックスチップ『RSX』により、光を表現できるダイナミックレンジも、プレイステーション 2に比べて大幅に強化されている」(エッゲブレヒト氏)。ドラゴンが吐く“炎”も、ただのグラフィックではなく、リアルタイムにシミュレーションされている。このため、炎を発射して建物や船などに当たった場合にも、まるで炎がオブジェクトにまとわりついているかのような表現が可能となったわけだ。
また、このゲームにモーションコントロールを取り入れた理由についてエッゲブレヒト氏は、もともと設計した段階から使おうと考えていたという。「スター・ウォーズ」シリーズでプロトタイプを作ってはいたが、当時のプラットフォームでは採用されず、プレイステーション 3に希望を抱いていたとのこと。「ジョイスティックではある一定の範囲内でしか動作ができない。しかしモーションコントロールでは、広範囲に至る角度での設定ができるのがメリットだ」(エッゲブレヒト氏)。
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