ポリゴンに新しさを感じた頃「麻雀ステーション MAZIN〜麻神〜」:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/2 ページ)
実に1年2か月ぶりに、プレイステーションのソフトを取り上げます。「麻雀ステーション MAZIN〜麻神〜」(サンソフト)。麻雀牌と麻雀卓をポリゴンによって立体的に表現した、プレイステーションのローンチタイトルです。登場人物が全員濃いです。
格闘チックに気合いで麻雀
「俺と同じ卓についたことを後悔するんだな」
「おいらの江戸っ子の血が騒ぐぜい!」
「フン! ハァッ! デヤアッ!」
「うおぉ、この勝利をゼウス様にぃー!」
これらは、「麻雀ステーション MAZIN〜麻神〜」(サンソフト)に出てくる雀士が、上がったときの勝ちゼリフ。これだけ見ても、この雀士たちが、いかに濃いメンツかがわかるだろう。
勝ちゼリフだけではない。ツモや打牌のときにも、いちいち「フンッ!」とか「ハアッ!」とか叫ぶ。気合い入りまくりなのだ。
「麻神」のキャンペーンモードは、麻雀の神“麻神”が、世界の各時代の英雄に挑戦状を送りつけたという設定。10人の雀士が戦い、勝ち残った者が麻神への挑戦権を得る。
紀元前のアテネから来た戦士。15世紀のルーマニアから来た吸血鬼の少女。戦国時代の侍。アメリカ西部開拓時代のガンマン。プレーヤーが操作する主人公・伊吹勝也も現代人ではなく、戦後すぐの日本から来た学生だ。
現代人の雀士は2人。1人はアメリカの空手家で、もう1人は……ボディコンのお立ち台ギャル。
このゲームにおける“現代”というのはもちろん、ゲームが発売された1994年12月3日のこと(プレイステーション本体と同時発売)。
この年の夏にジュリアナ東京は閉店していて、お立ち台ギャルも“ちょっと前の流行”という印象があったような気がするが、今となっては“だいぶ前の流行”であり、ギリシャの戦士や戦国の侍と同様、過去の一時代を象徴するキャラクターとなってしまった。
各キャラクターが勝ちゼリフをしゃべることや、雀士に戦士系のキャラクターが多いことなど、当時流行していた対戦格闘ゲーム、特に「バーチャファイター」の影響がみられる。
主人公・伊吹勝也も、ツンツン髪に鉢巻きの日本男児と、「バーチャファイター」のアキラをほうふつとさせるキャラクターだ。
もちろん勝也にも勝ちゼリフがある。プレーヤーが上がったときに、気合いを入れて勝也がしゃべる、その勝ちゼリフは……、
「よし! 歯ごたえのねえやつだだで!」
主人公がかむなあ〜っ!!
牌もポリゴン、卓もポリゴン
「麻神」最大の特徴は何といっても、すべてがポリゴンで表示されたゲーム画面だ。
ポリゴンを使ったゲームは、スーパーファミコンの時代からあった。だがプレイステーションでは、ポリゴンによる描画を作りやすいというハード特性もあって、ポリゴンを使ったゲームが主流となった。
まだ業界トップになる前のプレイステーションでは、異色のソフトがいっぱいあって、独特のカオスな雰囲気をかもし出していた。
アーケードから移植のレースゲーム「リッジレーサー」(ナムコ)や、リアルタイム3DのRPG「キングスフィールド」(フロム・ソフトウェア)のように高い評価を得たものもある。
一方、主人公が実写の格闘ゲーム「ツインゴッデス」(ポリグラム)や、登場人物の顔が異様に怖いアドベンチャーゲーム「厄 友情談疑」(アイディアファクトリー)など、強烈すぎるゲームも多かった。
「麻神」は、その種のゲームのはしりといえるかもしれない。麻雀を打つキャラクターはもちろん、麻雀牌も、そして麻雀卓も、すべてがポリゴンで表示されているのだ。
ある意味、プレイステーションの機能を存分に生かしたゲームである。
すべてがポリゴンということで、さまざまな視点から卓を眺めることができる。実際のゲームでは、プレーヤーの手番ではもちろん手持ちの牌が表示されるが、打牌が終わると、下家、対面、上家の動きとその捨て牌が、次々とアップで表示される。
視点は切り替えではなく、プレーヤーの牌から下家の顔へ、さらに下家の捨て牌へと、なめらかに視点が移動するのだ。当然、ポンやカンが入ると、鳴いた雀士に視点が移動する。
さらに、視点の動き方はひと通りではない。相手の雀士が、あるときは正面からアップで、あるときは斜めから、またあるときは卓越しにロングでと、幾通りかのアングルで表示されるのだ。
こうした視点へのこだわりは、ゲーム内容とは直接関係ない。でも、プレイステーションというゲーム機の性能を、わかりやすく示すことになった。
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