膨大なクエスト数で“イヴァリース”の世界を堪能できる作品:「ファイナルファンタジー タクティクス A2 封穴のグリモア」レビュー(1/3 ページ)
前作より4年、待望の続編がニンテンドーDSで登場。手軽に遊ぶことができながらも、ボリューム満点の本格シミュレーションRPGで、異世界“イヴァリース”での冒険を楽しもう。
「イヴァリース」を舞台にしたもう1つの作品
夏休みを迎える目前の教室で、主人公ルッソはそれまでのイタズラの罰として図書室の整理を先生から命じられる。そこで見つけた古い本は途中から空白になっており、その最後のページには「空白を告げるもの、その名を告げよ」と書かれていた。ルッソは迷わずそこに自分の名前を書き込むが、その瞬間、本の中に吸い込まれてしまう。
──上記のようなストーリーで始まる「ファイナルファンタジー タクティクス A2 封穴のグリモア」(以下、FFT-A2)は、「ファイナルファンタジー」シリーズでおなじみのさまざまな要素を盛り込んだシミュレーションRPG「ファイナルファンタジー タクティクス アドバンス」(以下、FFT-A)の流れをくむ新作だ。
2003年に発売された「FFT-A」には、“ジャッジロウシステム”という特徴的なシステムが取り入れられている。これは、日付ごとに設定される“ロウ”という特殊なルールを破ると罰則が与えられるというもの。たとえば、アイテム禁止のロウが設定されている時にアイテムを使ってしまうと、アイテムを使用したユニットはイエローカードを受けてしまう。イエローカードを受けると、戦闘後にアイテムが没収されたり、能力値が下がったりと破ってしまったロウに応じたかなり厳しい罰則が待っている。場合によっては“プリズン”という牢獄に送られて一定数の戦闘をこなすまでは基本的に使用できなくなってしまうのだ。
このジャッジロウシステムの導入により、さまざまなロウに対応するためにそれぞれ違ったタイプのユニットを育てたり、あるいは、敵にも適応されることを利用して登場する敵の特殊能力を封じるといった、それまでのシミュレーションRPGにない部隊運営や戦略をもたらしたが、制限を受けることへの不満も大きかった。
シリーズの魅力はそのままにより遊びやすくなった育成システム
「FFT-A2」では、それまでのシリーズの基本的なシステムはそのままに、より遊びやすくなるように改良が加えられている。まずは、「FFT-A」シリーズの特徴でもある育成システムに関して紹介しよう。
「FFT-A」では、装備品にアビリティが設定されており、装備しているとその装備品に付加されているアビリティを使用でき、“AP(アビリティポイント)”が目標値までたまるとそのアビリティを覚え、以降その装備品を外してしまってもアビリティを使用することができるようになっている。ジョブチェンジできるジョブを増やす条件はジョブのレベルではなく、対応するジョブの覚えたアビリティの数になっており、ジョブチェンジできるジョブを早く増やしたい場合は、アビリティの性能を気にせずにAPの目標値が低いアビリティをたくさん覚えさせる、といった方法を採ることができる。
また「FFT-A」では、経験値は同じ1回の行動ごとに各ユニットごとに獲得する方式だが、APは戦闘終了時にその戦闘に参加しているユニット全員に入る仕組みとなっている。「FFT-A2」では、基本的な仕組みは「FFT-A」と同様だが、ジョブの中に、アビリティの数以外に特定のクエストをクリアする必要があるものが加わった。また、経験値もAPの入り方も変更になっており、経験値は戦闘に参加したユニットにレベルに応じた一定値と、戦闘中の活躍に応じたボーナス値が加算されるようになっている。また、APは戦闘に参加していないユニットにも全て同じ値が与えられるようになった。
これにより、レベルが離れすぎて使いにくいユニットも戦闘に参加さえすれば育てていくことができるようになり、前作「FFT-A」よりも育成しやすくなったと言える。また、レベルが上がった時のステータスのあがり方はそのときのジョブによるので、戦闘に参加させずにアビリティだけ覚えさせていき、成長率のいいジョブにジョブチェンジできるようになったら戦闘に参加させ、高いステータスのユニットに育てることを狙う、ということも可能になったわけだ。
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