10円が大切だった時代の優しい物語はこうして生まれた「放課後少年」インタビュー(3/5 ページ)

» 2008年01月25日 00時00分 公開
[聞き手:今藤弘一,ITmedia]

アンケートを採ったら、みんな「普通の子」だと思っていた?

――プレイしていて、“ステレオタイプの気持ちよさ”というか、主人公の友達を見て、「ああこの子は絶対にいる」という感覚を持ちました。

猿田 ストレートですよね。割と明確に性格分けができていて、かなり特徴を持っています。

鴻上 「あなたはどんな子どもでしたか」というアンケートで、全員一致していたのが「普通の子でした」という回答でした。そんなわけはない(笑)。まあそれもあって、主人公は何の特徴もない、普通な感じにしたんですが。でもみんなそう思っていたんだなあと。かなりの発見でした。

――自分は絶対に普通で、まわりにこういうやつがいたと思っているのに、ほかから見るとかなり特徴的な子どもに見えていたという。

猿田 自分だけは普通の人だと思っていたんですね。でも、みんな普通じゃなかったですもん(笑)。

――子供のころは、委員長みたいなやつもいるし、好き嫌いで給食を残すやつもいるし、ガキ大将は2パターンくらいいるし、そいつらがお互いいがみ合ってたし、みたいな。

画像

猿田 おもしろいくらい構図が出来上がっていたというか、どこでも同じパターンでしたね。こういう思い出を投影してもらえるようなイメージを、キャラクターの中に含めてはいます。ですのでアンケートは役に立ちましたね。みんないろいろな思い出があるので、ドラマの中に思い出を入れていって、いろいろな人に楽しんでもらえればという。

 「放課後少年」は、どんな方にでも手に取っていただけるようなゲームだと思っているんです。昔を懐かしんでプレイする人もいるでしょうし、今の若い人が遊んだときにも“こういうシンプルなゲームはおもしろいな”と思ってくれるでしょうし。レトロブームから入って、昔のものに興味がある人もいるでしょうし、昔の風景なり、遊びなりに興味を持つ人もいると思いますので。

 わたしとしては、35歳くらいになった方が親子で遊んでくれるとうれしいですね。「お父さんの時代はこうだったんだよ」と、お子さんに教えていただけるようになれば。親子で楽しんでいただけるようなものになればいいなという願望もありましたので。

――ミニゲームは子どもの方がうまいと思いますよ(笑)

猿田 確実にうまいでしょうね。タッチペンの使い方が全然違いますから(笑)。

鴻上 キャラクターとしてもお父さんがいますが、プレイヤーが主人公としてプレイしながらも、お父さんにも自分を投影してくれたらいいなと。子どもからリスペクトされる瞬間を気持ちよく感じてもらうのもいいんじゃないか、という意味も含んでいまして。

猿田 自分は子どもになりきって遊ぶんだけれど、お父さんの方も気になると思います。家族を支えているお父さんというのはどういう立場だったんだろうと。わたしが子供のころのお父さんという立ち位置は、今とは随分異なっている気がします。そういう意味では、家族の結びつきが全然違っていましたよね。そういうところを思い出していただく意味でも、お父さんからの視線は意識して作りました。

鴻上 自分の都合からくる“引っ越し”という決断を子どもに伝える気持ちは、ひょっとしたら分かる人には分かるんでしょうね。わたしも子供のころは引っ越しが多かったので、そのころは親に「くそう、なんでやねん!」と思っていましたが(笑)、大人の視線では「なるほど」と思うこともありますから。

――ただ、うちのオヤジはこんなに優しくなかったですね(笑)。強権的で。

画像

猿田 ほとんどのお父さんは優しくなかったかもしれませんね。なので、ちょっとやさしくしてみました(爆笑)。昔の通りだとちょっと今はつらいな、というのもあるし、子どもにはもう少しやさしく接してみるとどうなんだろうという所も含めて、かなり落としました(笑)。

――自分の願望ですね(笑)

猿田 厳しかったのは、今ではよかったとは思ってるんです。怒るところは怒っていいと思うんですが、もう少しやさしくてもよかったかなと(笑)。

 それにしても、絶対に怒られてましたよね。手を上げられるのも普通でしたし。先生もそうだし、オヤジもそうだし。“体で覚えろ”的なものも多かったですが、それをやると今の時代には通用しないので……。こういうことをリアルに体験すると、親子の関係もいま以上に明確に出せるかなと思いましたが……。

鴻上 そこはさすがにちょっと……。ですので、頑固オヤジから怒られるシーンもあるんですが、追いかけてくるのにとどめています(笑)。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/10/news163.jpg 「えーー」「衝撃!」「食べれるんですか!?」 大沢たかお、“まさかの食事風景”にファンびっくり 「明日は雪かな」
  2. /nl/articles/2412/09/news077.jpg 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. /nl/articles/2412/09/news063.jpg 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  4. /nl/articles/2412/11/news042.jpg 「脳がバグるw」 妹の結婚式で乾杯音頭をとる兄、二度見必至の“完璧な正装”に「なんでやねんwww」「良いお兄さん」
  5. /nl/articles/2412/11/news006.jpg 毛糸でポコポコ模様を編んでいくと……「私史上いちばん可愛い!」完成品に称賛の声殺到! センス爆発のおしゃれアイテムが「目を奪われました」と話題
  6. /nl/articles/2412/11/news133.jpg ゴミ収集所をあさっていた保護猫、今でもギュウギュウだった首輪の跡が残り…… やす子が溺愛する猫の“衝撃のご褒美”に反響
  7. /nl/articles/2412/11/news074.jpg 「最新のガンダムです」→円熟味あふれるガンプラの登場に笑い 「ある意味うそは言ってないw」
  8. /nl/articles/2412/11/news014.jpg 初心者「ぶどうは紫で丸いっぱい描いとけば完成でしょ!」→“絵の先生”がちゃんと描いたら…… “段違いのクオリティー”になるコツが目からウロコ
  9. /nl/articles/2412/11/news012.jpg 「破格ですね!」 セカストで9900円→即買いした“メーカー不明品”に「超掘り出し物……!」と驚きの声
  10. /nl/articles/2412/10/news042.jpg えっ、これのどこが……? 「オシャレに見せかけたオタク部屋」の写真が「理想」「住みたい」と喝采浴びる 投稿者に話を聞いた
先週の総合アクセスTOP10
  1. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  4. 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  5. 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  6. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  7. 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  8. 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  9. コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  10. 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」