10円が大切だった時代の優しい物語はこうして生まれた:「放課後少年」インタビュー(2/5 ページ)
子供のころの10円って、ほんとに価値があるんですよ
――「昭和町」のイメージ、原体験というのはあるんでしょうか。
鴻上 完全にぼくの脳内ですね。地元は、ゲームの世界と似たような雰囲気を持つ田舎なんです。田んぼや裏山あり、小さな小学校がありという。イメージに近い写真素材を集めてきたりして、それを元に構成しています。
猿田 わたしは、“山も海も行きたい”ということにこだわりました。子どもにとって、遠出をして冒険をするというのは、かなりの成長要素なんですね。ちょっと冒険したくなる場所として、山と海は押さえたいなと。海はイベントで登場するので自由には行けないのですが、こういう想定をしてほしいというオーダーは出しました。
鴻上 そうですね。“冒険”という点では、山でのエピソードを入れいています。川が流れているのは、“ここから海につながっているよ”というイメージを持ってもらうためです。
猿田 高台から昭和風な町を見る、という光景はどうしても入れたかったんです。その中で遠くに海が見えて、“あそこに行ってみるか”というような。そこも含めてステージなんです。架空ではありますが、子どもたちが遊ぶ場所としてのイメージを集約しています。
あまり都会にはしたくなかったし、すごく田舎になってもどうかなと思っていましたので、自分たちが行ってみたくなるような、遊びたくなるような場所を抽出して凝縮したのが「放課後少年」の舞台ですね。
――話は変わりますが「放課後少年」をプレイしていると、10円の重みを感じますね(笑)
猿田 なかなか10円が手に入らないですよね(笑)。牛乳ビンを見つけて小遣いを稼ぐのも大変です。その辺は“昔ながら”というところですが、あれだけ10円というのは価値があったんだなあと思ってもらえれば。1ゲーム10円だったりするんで、「これが牛乳ビン2本分ですか?」みたいな(笑)。
――駄菓子屋のゲームもハマりますね。お母さんからもらったお小遣い30円を、全部突っ込んでしまったこともありました。
猿田 (笑)。そういう意味でも1ゲーム1ゲーム気合いが入りますよね。「宇宙旅行ゲーム」は怖いですよ。飲み込まれ方が半端でないので(笑)。
鴻上 開発の人間でもクリアするのはけっこう難しいんですよ。
猿田 昔のゲームは、あれくらいシビアだったかな、と思うんですよね。今のゲームってすごく簡単にできていて、誰でもクリアできるじゃないですか。昔はどちらかというと“お金を巻き上げよう”という感じで(笑)。子どもも知恵を働かせて攻略を考えていたという感じだと思うんですが。なのでそれくらいシビアじゃないとつまらないかなと思ったんです。このためかなり辛口になっています。ただし、それに見合った見返りはあるんですよ。ゲームの中の日数で28日間くらいは遊べるので、その中で何とかお金を作って、チャレンジしてもらえればと思います。
子供のころはこういう、シビアなゲームが多かったですよね(笑)。その当時の厳しさみたいなものも体験してもらえればと思います。単に昔の雰囲気を懐かしむだけじゃなくて、「この当時は大変だったなあ」とか、「お金も大事だったなあ」といったことを思い出してもらえるとうれしいですね。そういう時代だったなと思いますし。
昔のことを考えると、今って何でも楽になってるなあと思ったんです。懐かしさを楽しむのもいいんですが、そういう厳しい時代があったんだ、ということとか、その当時の価値観も大事かなと。そういう視点を入れて、このゲームは作られていますので。
鴻上 お金じゃないですからね。そこは譲れないところですね。
駄菓子屋はいろいろなことを教えてくれた場所だった
――あのころの駄菓子屋にはいろいろなものが売っていました。
猿田 子どもたちのコミュニティの最たる場所ですから。あそこに行けば友達はいるし、いろいろなものが売っていたので。情報交換だけでなく、そこで遊びも始まるし。すごい場所だなと思います。
――しかも10円、20円で十分に楽しめるという(笑)
猿田 そうでしょう?(笑)。1円から5円くらいのお菓子もあったりして。20円握りしめて遊びに行って十分に楽しめました。そういうことを毎日やっていたなと。とってもおもしろくて、あの場所ってよかったなとすごく思うんですよね。今はそういう場所がなくなってしまったじゃないですか。ほっとする、みんなが来る場所が駄菓子屋だったのかなと思います。
――でもなんで駄菓子屋には“おばちゃん”がいるんでしょうね(笑)
猿田 必ずおばちゃんですよね。お姉さんとか絶対にいない(爆笑)。いつも怒られたりしながら。その分、勉強にもなりましたけど。
鴻上 ゲームの中にも駄菓子屋のおばあちゃんと会話をする、という項目が入れてあります(笑)。
猿田 ちょっと話がしたくなるんですよ。子供のころは毎日、なんていうことはないですけど、おばちゃんと会話をしていましたから。おばちゃんも子どもの顔を覚えていて、「どこどこの何ちゃんはどうしてる」というのを全部知っていますから。
鴻上 エピソードとして、駄菓子屋のおばあちゃんが、遊びに来る子どもの親のことも知っている、というのも入れてあります。
猿田 昭和町はもともと古い町なので、ずっとそのおばあちゃんはいて、みんな子供のころから見ているよ、と。お父さんなど、上の世代もずっと見続けているんですね。“歴史の生き証人”という設定なんです(笑)。お子さんが、ご年配の方と話すことは今はあまりないかもしれませんが、昔は割と自然に話ができた場所でしたね。駄菓子屋は。作りながらこういったことを思い出してきて、懐かしくなりました。不思議ですね。
鴻上 おばあちゃんのキャラクターデザインは苦労しました。どんなデザインがいいのかアンケートを採ったんですが、駄菓子屋のおばちゃんは、怖い人と優しい人と2極化していまして。最終的にはやさしい方に持って行ったんですが……。
猿田 どちらもいますね……。わたしも子供のころは駄菓子屋が2件あって、両方いました。厳しい人の方が多かったかもしれないですけど。子ども相手なので、割と厳しく接してくれていたのかもしれませんね。「しっかりしなさいよ」と。子どもって悪さするじゃないですか(笑)。目を盗んでなんとかしようという方が多いという。あえて厳しくしていたのかもしれませんけどね。
鴻上 駄菓子屋は化かし合いでしたから(笑)。
猿田 そうそう。いかに目を盗むか、みたいな。子どもは作戦を立てますから。
先ほども鴻上が言いましたけど、本作を作るに当たってはアンケートを採ったんです。子供のころの思い出やエピソードなどをリサーチしました。アンケートから出てきたものを集約している形になっているので、駄菓子屋のおばあちゃんの設定も、そこから来ています。
鴻上 友達の設定もそうですね。どんな子が友達にいたのか、という。
猿田 いくらドラマ仕立てで決められたストーリーとなっているとはいえ、いろいろな方に遊んでいただいたときに、その当時の出来事を思い出してほしいんです。このため、アンケートでもらった意見を、各キャラクターに投影しているんです。ですので、少ない登場人物ですが、友達の中にいたようなタイプを盛り込みました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
-
元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
-
小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
-
築年数不明の平屋にある、ボロボロ床板をはがしてみたら…… 発覚したヤバい事実に「ビックリ!」「大丈夫でしたか?」心配と驚きの声
-
ママの足にくっつく生後7カ月の赤ちゃん、甘えてるのかと思いきや…… 計算された行動と「ちいこい後ろ姿がかわいすぎ」て目が離せない
-
「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
-
“作画軽減ガンダム”をガンプラで作成 → 使用パーツも最小限の再現ぶりに「完全に一致」「部品軽減ガンダム」
-
誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
-
21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
-
0歳赤ちゃん「(ママ来たっ!)」→喜びが抑えきれなくて…… 尊すぎるダンスが300万再生「心が浄化されていく」「朝から癒やされました」
- 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
- 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
- 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
- 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
- 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
- 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
- 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
- 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
- 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
- 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
- フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
- 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
- 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」