「ピクミン」も作っています――任天堂ラウンドテーブルで語られたこと

「面白いものができたと思えたら発表します」――宮本氏が面白いと思えたから発売される「Wii Music」をはじめ、3つのタイトルを紹介する任天堂のラウンドテーブルがロサンゼルスで行われた。

» 2008年07月18日 04時24分 公開
[記野直子/ITmedia +D Games取材班,ITmedia]
もはや毎年恒例となった任天堂のラウンドテーブルには、任天堂の江口氏(写真左)と宮本氏(写真右)が登場。時にユーモアを交えながら、質問に答えていた

 北米ロサンゼルスで開催中の「The 2008 E3 Media & Business Summit」において現地時間の7月16日、任天堂の開発者によるラウンドテーブルが催された。ラウンドテーブルでは、先に行われた任天堂のメディアブリーフィングで発表のあった「Animal Crossing:City Folk」(邦題:「どうぶつの森Wii(仮)」)と「Wii Sports Resort」、そして「Wii Music」について紹介。登壇したのは、任天堂専務取締役の宮本茂氏と情報開発本部の江口勝也氏。江口氏がまず「Animal Crossing:City Folk」と「Wii Sports Resort」について、そして宮本氏からは「Wii Music」について語られ、質疑応答となった。

ニンテンドーDS版からのデータ引継ぎも可能な「Animal Crossing City Folk」

江口勝也氏

 冒頭、江口氏から「どうぶつの森」シリーズ最新作となるWii用ソフト「Animal Crossing:City Folk」について、Wii対応となることで前作ニンテンドーDS用「おいでよ どうぶつの森」に比べて格段にボリュームがアップし、ゲームキューブ用「どうぶつの森+」のハロウィンなどのいくつかのイベントが復活すると紹介した。イースターやカーニバルなどが新規に追加され、アイテムも増量。WiiConnect24を使用して配信された新アイテムを、追加することもできるようになるとのこと。デザイン機能も強化され、シャツであれば前後、両腕とデザインをそれぞれ変えることができるようになる。

 また、村のほかに、プレイヤーたちの共有の場としての“街”が新たに加わる。ここには、劇場やオークション会場のほか、おなじみのカトリーヌの美容院やグレースの高級ブティックが設置されるらしい。WiiConnect24を通じてプレイヤーが街に来るとWiiフレンドへデータとして送信され、そこでどういう行動を取ったのかが分かる仕組みになると江口氏。

またあの村へ遊びに行ける
そして今度は街も登場
Tシャツは前後と両腕のデザインが変更できる

記念写真を記録できる

 メディアブリーフィングでも紹介された「Wii Speak」にも言及し、センサーバーの上に置くだけで、遠くの友達と一緒に遊んでいる感覚になれるし、同じ部屋にいる誰もが会話できると、従来の遊びと違うアプローチができることに触れた。コミュニケーションの強化でいえば、記念写真として撮影したものを、SDカードに記録する機能も追加されるとのこと。

 江口氏は、Wi-Fiに接続できないユーザーのために、ニンテンドーDSにWiiのデータを入れて、友人の家のWiiに持って行けるようになると説明。アイテムの追加配信なども、DSステーションなどからニンテンドーDSへデータをダウンロードして、家のWiiに持ってくることができるようになると対応策を考慮している。ただし、ニンテンドーDS版にあったように、いっしょに遊んでいて誰か1人でも電源を落とすと、全員が村から追い出されるといった問題については解消できていないと答えた。

「Wii MotionPlus」を活用するために生まれた「Wii Sports Resort」

 スナップを利かせて投げたフリスビーを犬がキャッチする「Disc Dog」、水上オートバイのハンドルに見立ててWiiリモコンとヌンチャクを水平に構えて操作する「Power Cruising」、Wiiリモコンを刀に見立ててケサ斬りをする「Swordplay」と、メディアブリーフィングでデモンストレーションした「Wii Sports Resort」の収録ゲームのうち3つを改めて紹介。開発段階だが、最終的には10個以上は競技が収録される予定だ。

 なお、「Wii Sports Resort」に同梱される「Wii MotionPlus」について(単体でも発売される)質問が及んだ江口氏は、加速度センサーだけでなく、より高確度で角度の変化を読み取れるところが特徴と説明。メディアから、「Wii MotionPlus」が加わることで、ゲームの難易度が上がるのではないかという危惧が寄せられたが、そこは開発側としても認識しているとのこと。「あくまでも広い世代でいっしょに遊んでもらうために、できることは挑戦しつつ、ただ入口は入りやすく、遊ぶうちに深く」を心がけているのだそうだ。

「Wii Music」はおもちゃみたいなソフト――でも、ビデオゲームより面白いおもちゃ

宮本茂氏

 このゲームには特に目的もなければ、スコアや評価もない。ゲームソフトというよりは、楽器を奏でられるおもちゃのようなソフトになのでは? そんな質問に宮本氏は、笑顔でうなずき、「それでいて、ビデオゲームよりおもしろい」と自信をのぞかせた。

 Wiiリモコンを指揮棒代わりに登場した宮本氏が「Wii Music」をE3で紹介して2年。ようやく「音楽の楽しさ」を提供するソフトが発売されることになった。50曲ほどの収録曲と、60種類の楽器を完ぺきに弾きこなすことはまず無理がある。宮本氏は楽譜をパーフェクトに演奏することの面白さを肯定しつつ、誰でも楽器を奏でる気分になれることを重要視した。それは、ジャズ奏者が例え楽譜を間違えても、コードさえ押さえつじつまを合わせ、最後には音楽にしてしまうようなアドリブ感であり、そこをWiiがサポートできるという確固とした信念にほかならない。

 「Wii Music」は、演奏する楽曲を選択すると、基本6人の編成が組まれ、それぞれの役割を担うことになる。プレイヤーが選んだパートのメロディラインだけが消え、演奏しながらどの編成がいいかを組み替えることも可能だ。宮本氏はこの組み合わせを考えるだけで夜更かしすることもあるほどはまるとのこと。アレンジやテンポを調整しながら、最終的に演奏したものは、ミュージックビデオを作成でき、そのデータをWiiConnect24で交換することもできる。なお、追加配信などは現時点では考えていないようだ。

 開発途中に、メンバーの子供たちを集めてモニターテストをしたことがあるのだが、ずっと話さずに遊んでいたと紹介。「小学校の音楽の授業は、半分これをやればいいんじゃないか」と、やればやるほど楽しめるソフトであることをアピールした。ただし、ドラムは、「Wii Fit」で使用するバランスWiiボードをフットペダル代わりとするのだが、本格的なためすぐにとはいかないものの、レッスンモードを忠実にこなせば、数週間でドラムがたたけるようになるという。実際に「Wii Music」でミュージシャンが増えることを願ってやまないと宮本氏は締めくくった。

 最後に江口氏は、「どこかに向けたゲームではなく、ジャンルにこだわらずに作っていきたい」と発言。宮本氏は、自分が面白いと思えるものになったら発表するとことわりを入れながらも、「ピクミン」も開発してはいると語った。

 全体的にゆったりとした中でのラウンドテーブルは、開発者がメディア向けとはいえ、少数の人間と対して、直接目を見て語ることができる貴重な場である。意外な質問も飛び出し、思わず苦笑する場面もあったりと、実に和気あいあいとしたものだった。実際、メディアブリーフィングで発表されたタイトルは、すでに発表されていたものばかりだったが、任天堂がじっくりと――それこそ“面白いと思えるもの”になるまで突き詰めた自信のあるものばかりだろう。新たな驚きと楽しさと、そして笑顔を見る日まで、発売を待つこととしよう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2502/11/news009.jpg 鮮魚店で瀕死の“巨大ガニ”を購入→家に連れて帰り、お風呂場に放ってみると…… まさかの展開に「こわっww」と800万表示
  2. /nl/articles/2502/12/news018.jpg 雑草ボーボーの荒れ地に“牛3頭”を放牧→2週間後…… まさかの光景に「感動しました」「いい仕事してますねぇ〜!!」
  3. /nl/articles/2502/12/news033.jpg 5歳のときにトレーニングを始めた女の子→3年後…… 現在の姿が「ハハハすごすぎる」「めちゃくちゃ尊敬」と250万再生【海外】
  4. /nl/articles/2502/12/news022.jpg 古いタオルを手で裂いていくだけで→「すごい…」「意外!」便利アイテムに! 生活の質“爆上がり”アイデアが話題
  5. /nl/articles/2502/12/news007.jpg 「夢見たディスプレイ」空中浮遊するガンダムのプラモデル、その仕組みは…… “122時間”かけて作った超大作が40万再生「マジで感激」
  6. /nl/articles/2502/12/news013.jpg 海外で暮らすパパとビデオ通話中、1歳娘がとったけなげな“行動” 大反響から約1年後……家族の現在を聞いた
  7. /nl/articles/2502/11/news025.jpg ←夫に出すやつ 自分で食べるやつ→ 目を疑うレベルの“落差”に爆笑「わ〜おw」「なんかとんでもないのいた」
  8. /nl/articles/2502/11/news033.jpg 妻「“157センチ、43キロが理想”と言う夫に、かわいいと言われたい」→プロに依頼したら…… 「エグッ!」「黒木瞳さんかと」
  9. /nl/articles/2502/12/news028.jpg 伸び放題になった実家の庭木→50代女性が2日間どんどん切ったら…… “見違える光景”に「さすがですね!」「明日は我が身」
  10. /nl/articles/2502/11/news012.jpg 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. パパに抱っこされる娘、13年後の成人式に同じ場所とポーズで再現したら…… 「お父さん若返った?笑」「時止まってる」2人の姿に驚き
  2. 古いバスタオルをザクザク切って縫い付けると…… 目からウロコの再利用に「すてきなアイデア」【海外】
  3. 14歳のとき、親友の兄と付き合うことになった女性→13年後…… “まさかの結末”に「韓国ドラマみたい」【海外】
  4. リンゴを1年間、水の中で放置→顕微鏡で見てみたら…… 衝撃の実験結果に「これはすごい」「息をのみました」【海外】
  5. 海釣り中、黒猫に「ちょっと来い」と呼び出された釣り人 → 付いて行くと…… 運命のような保護から2年、飼い主に話を聞いた
  6. “駐車場2台分”の土地に、建築家の夫が家を建てたら…… “とんでもない空間”に驚き「すごい。流行る」
  7. 「なんだこの暗号は……」 マクドナルドの“大人だけが読めるメッセージ”が410万表示「懐かしい〜」「読める人同世代w」
  8. 着陸する戦闘機を撮ったはずが…… タイミングが絶妙すぎる1枚に「一部の専門家には貴重な一枚」 投稿者に話を聞いた
  9. ズボラ母が5人分サンドイッチを爆速で作ったら…… 目からウロコの時短テクと美しい仕上がりに「信じられない」
  10. 【今日の計算】「7−2×0+9」を計算せよ
先月の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  4. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  9. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  10. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議