“よくできたゲーム”と“面白いゲーム”の違いとは?――マリオの父、宮本茂氏の設計哲学(前編)(4/5 ページ)

» 2010年02月10日 08時00分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

いつまでもマリオしかやらないんですか

宮本 『スーパーマリオ64』や『ゼルダの伝説 時のオカリナ』などが3Dゲームの基本を作ったと言われます。そのころ僕は3Dの勉強をするためにPCの3Dレースゲームを見ていたのですが、自分のクルマが画面に描かれていないんですね。自分がコックピットから見ているということなので。

 僕らのゲーム感覚だと、マリオをコックピットに描かないと、そこにいるのが分からないと思うし、描くのが基本なんです。そこで描こうとすると、意外なことが分かりました。マリオを描くと、その分のポリゴン処理能力が必要になるんです。「マリオを描く分の能力を活用すれば、背景がもっと描けるんじゃないか」ということです。「そういう処理の限界に挑戦しながら、みんな作っているんだな」と思いました。

 また、それまでの3Dゲームでは、ある固定の視点からものを見ていました。僕らは演出をしたいので、そうではなく3Dゲームの中にカメラがあることにして、「そのカメラをどういう風に作るのか」ということが3Dゲームの基本になると思ったのです。映画の演出のように、プレイヤーキャラクターを客観的に見る演出がしたかったので、複数のカメラがあるということを軸に3Dゲームを作ろうと思いました。

 そこで『スーパーマリオ64』ではジュゲムというキャラクターがカメラをぶら下げている絵を作って、プレイヤーに「これからあなたはカメラを触るんですよ」ということを分かってもらい、カメラを動かしてもらう。

 それが『ゼルダの伝説 時のオカリナ』になると、剣で戦闘をする時にはカメラが背後に回りこんで、誰かにロックオンした状態でカメラが動くとか、塔を上っていくときには塔を中心にカメラがグルグル回って、どこにいてもプレイヤーキャラクターがちゃんと見えるようにするとか、複数のカメラを使うという仕組みを作ったんです。それが多分「3Dアクションゲームの基本を作った」と評価されるところだと思います。「自分がやったことがないことに入っていくのは、いろんな発見があってとても楽しいな」という時期です。

 マリオとゼルダばかりを20年近く続けていると、「いつまでもマリオしかやらないんですか」と周りから言われるので、「たまには違うキャラクターも作りたいな」ということで始めたのが『ピクミン』(2001年)です。「どうせキャラクターを作るなら、女子高生に受けたいな」と思って作りました(笑)。

『ピクミン』

 狙い通り結構受けたのですが、一番受けたのはCM用に作った音楽(『愛のうた〜ピクミンのテーマ』)だと思います。その音楽がすごくかわいいので非常に評価されて、それで海外も売ろうと思ったのですが、「何か意味分かんない」という反応でした。フランス語にもして(『VOS MEILLEURS AMIS - SONG OF LOVE』)、情緒があってすごくいいのですが、フランス人も「分からない」と言いますね。海外では「すごいモンスターがアリを食べるぞ」みたいなゲームととらえられています。

 僕は3Dゲームを作りながら、「映像を見るんじゃなくて、映像に触るんだ」というテーマを『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の時に決めていました。僕はアニメや漫画をやりたかったので『ゼルダの伝説 風のタクト』(2002年)は、「アニメの映像にも触りたい」ということで作りました。『マリオカート ダブルダッシュ!!』(2003年)はシリーズもので、新しいハードになると新作を出して2〜3年経っても売れ続けるというものです。

『ゼルダの伝説 風のタクト』(左)、『マリオカート ダブルダッシュ!!』(右)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小泉進次郎、生後3カ月の長女を抱く姿に「貴重なパパの顔」 2023年末には小泉元首相の“幸せじいじ姿”も話題に
  2. 庭にアジサイがあるなら知っておくべき!? 春になる前に急いでやりたい“大きな花を咲かせる”お手入れ術に反響続々
  3. 生まれたばかりの孫に会いに来た両親、赤ちゃんを見た瞬間号泣し…… 幸せあふれる光景に「一緒に泣いちゃいました」
  4. つんく♂、「僕の大好きな妻」と元モデル妻の貴重ショット公開 「めちゃくちゃお綺麗」と反響
  5. 小泉純一郎元首相、進次郎&滝クリの第2子“孫抱っこ”でデレデレ笑顔 幸せじいじ姿に「顔が優しすぎ」「お孫さんにメロメロ」
  6. 「ずっと手を触って」「強烈な口説きが」 グラドル、元K-1王者のセクハラ行為を“告発”→反論しバトルに 「引っ込んどけよロバは」謎の容姿罵倒で流れ弾も
  7. 2歳娘、帝王切開で入院するママの前では強がっていたが…… 離れてから号泣する姿に「いじらしくて可愛くて朝から泣いた」
  8. 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
  9. 長女と赤ちゃんの夜のルーティンが「可愛いしか言えん」 愛が強すぎな姉から逃げる姿に「嫌いじゃないのねw」「素敵な姉妹」
  10. 「ほんと愛でしかない」「心から尊敬します」 “6男7女の大家族”うるしやま家のスーパーママ、“15人分のお弁当作り”が神業レベルで称賛の声
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」