「God of War III」はいかに作られたのか――キーマンたちへのインタビューSCE America Santa Monica Studioリポート(1/4 ページ)

3月25日に発売されたPS3「God of War III」の開発スタジオにお邪魔して、開発者たちに聞いてみた。

» 2010年04月07日 02時38分 公開
[戸村賢一,ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 いよいよ日本でも発売となった「God of War III」。そのお披露目でもあった2月24日の「God of War 3 Global Media Day」についてはすでにリポートしたが、その翌日に日本メディア関係者向けに、God of War制作が行われているSCE America Santa Monica Studioのガイドツアーも行われた。スタジオ見学だけでなく、ゲーム開発のキーマンへのインタビューも行われたツアーの詳細について、今回はリポートする。

SCE America Santa Monica Studioの全景。周辺に近代的なビルが多いなか、レンガ造りのクラッシックな外観は目立つ

 サンタモニタ市街から車で10分ほど走り、閑静な住宅街を過ぎるとSCE America Santa Monica Studioの建物が現れた。外環は煉瓦造りのクラッシックな建物なのだが、当然ながら中は近代的なインテリジェントビルに改装されている。このスタジオには、現在はGod of Warの開発チームと、海外作品のアメリカ向けローカライズを担当するセクションなどが入居していて、総勢で150人とのこと。各メンバーのパーソナルスペースはそれぞれ4畳半ぐらいあり、PCを何台も置けそうな大きな机と高性能なPCが用意されている。

 どのスタジオでどのタイトルが制作されるかは、プロジェクトの規模その他に応じてフレシキブルに変えているものの、God of Warシリーズについては第1作から引き続きSanta Monica Studioで作り続けられている。つまり、God of War誕生の地でもあるのだ。

 今回のツアーは、「God of War III」に制作に関わったさまざまな部門の中から、6部門の責任者をデスクまで訪ねてインタビューする、という形で進んでいった。以下はそのインタビューの模様である。

Patrick Murphy氏 Lead Character Artist

Lead Character ArtistのPatrick Murphy氏

 Patrick Murphy氏は、主人公のクレイトスを始めとするキャラクターデザインを統括している。この部門で作られたキャラクターを元に、アニメーションやゲームの動きなどが作り出されていく。


Patrick Murphy氏 一番好きなキャラクターはもちろんクレイトスです。PS2版(注:「God of War」、「〜2」のこと)のクレイトスは長くプレイされているため、それをPS3版で作ることは大きな挑戦で、PS2版を何度もプレイして“クレイトスらしさとは何か”を研究しました。クレイトスの特徴はまずプロポーションで、頭が小さく腕や足が長く、頭もヘルメットのような形をしていて、表情は常に怒っている……実際にはあり得ないわけですが、わざとそのようにしています。

 タトゥーもそうですが、遠くから見てもクレイトスだと分かるようにするために、かなり時間をかけました。PS2版でクレイトスに使用したポリゴン数は2000でしたがPS3版では23000に増えクローズアップシーン等もあるので、よりリアリスティックに描くことができました。また、以前は一部のキャラクターについてムービー作成を外注していたのですが、今回はすべてのキャラクターデザインをこのスタジオで作りました。一部キャラクターデザインが変わっているのはそのためです。

クレイトスを始めとした各キャラクターは、このようなT-ポーズをとった状態を基本にデザインされていく
アメリカで配布予定のmorpheus armour。単なるコスチュームではなく、パワーアップ機能もある。このデザインのほか、数種類のmorpheus armourが配布されている

Todd Papy氏 Lead Game Designer

Lead Game DesignerのTodd Papy氏

 彼が担当するのは、キャラクターのモデリングだ。キャラクターデザイナーが起こしたデザインを元に、キャラクターのリアルタイムな動きを作り出していく。

Todd Papy氏 最初は(キャラクターデザインが)Tポーズで届くので、そこに動きを付けたあとに、衝突判定の座標やアニメーションの動きのトリガーとなるポイントなどを付け加えていきます。(山を登るシーンを説明しながら)背景は数値計算でスクロールしていくので、アニメーションが止まったときに、それとマッチするように肩などの位置を調整していきます。

 3Dグラフィックスの作成にはMayaとZBrushを使用していて、ZBrushは通常のマッピング用に、MayaはUVマッピング用と使い分けています。God of War 3で初めてこの役職についたのですが、前作の3倍の大きさでタイタンのプロトタイプを作ってみたところサイズが合わず、結局サイズを6倍にしたり、といった苦労がありました。

ワイヤーフレーム状態のタイタン。この状態で、体の各ポイントに衝突情報など動きにかかわる情報を設定していく

 ちなみに、タイタンの身長は500メートルでクレイトスは2メートルです。またデザインの細かい部分については、アニメーターと常に調整しながら作業をしています。他のチームとの連係にはかなり時間を割いていて、「God of War III」のプロジェクトがスタートした際には2〜3週間集中してミーティングを行ったほか、開発中は1週間に2回、ディレクターのStigと(後述する)コンバットデザイナー、アニメーターなどを交えてミーティングを繰り返しました。(そうした意味で)デザインはデザイナーだけでなく、多くの人たちとの共同作業でした。


       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/14/news189.jpg 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  4. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  5. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. /nl/articles/2411/15/news009.jpg 高2のとき、留学先のクラスで出会った2人が結婚し…… 米国人夫から日本人妻への「最高すぎる」サプライズが70万再生 「いいね100回くらい押したい」
  7. /nl/articles/2411/15/news058.jpg 「腹筋捩じ切れましたwww」 夫が塗った“ピカチュウの絵”が……? 大爆笑の違和感に「うちの子も同じ事してたw」
  8. /nl/articles/2411/14/news023.jpg “膝まで伸びた草ボーボーの庭”をプロが手入れしたら…… 現れた“まさかの光景”に「誰が想像しただろう」「草刈機の魔法使いだ」と称賛の声
  9. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. /nl/articles/2411/15/news132.jpg これ自宅なの!? 浜崎あゆみ、玄関に飾られたクリスマスツリーのサイズが桁違い 豪邸すぎてパーティー会場と間違われたことも
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた