“LED REGZA”の進化を探る Z1シリーズ詳報(2/4 ページ)
コアLSIを2つ搭載した「次世代レグザエンジン Duo」
液晶パネルは、開口率が約10%向上した新型IPSパネルを採用した。表面処理は光沢のあるクリアタイプ。大型の47V型と55V型に関しては、斜めから見たときに黒が浮かないように改善したという。Z1シリーズでは、これにエッジ式のLEDバックライトを組み合わせ、制御エリア数は少ないもののローカルディミングも可能にしている。フレームの上下に設置したLED光源をブロックごとに点灯させ、その光を同じくブロックに分けた導光板で画面中央まで伝える仕組みだ。分割エリア数は未公開だが、その構造上、上下方向は2分割が上限となる。
バックライトの変更に合わせ、映像エンジンにはコアLSIを2つ搭載した「次世代レグザエンジンDuo」となった。基板に大きめのLSIが2つ並んでいるのが“Duo”の証拠。同時にリリースされた2シリーズは、コアLSIが1つの「次世代レグザエンジン」となる。
一方、従来は別チップだったスケーラーや超解像処理などの信号処理系はコアLSIに集積している。これにより、「バス幅の制限がなくなり、階調性の向上とリアルタイム・シーン適応処理を拡大できた」(東芝デジタルメディアエンジニアリングで次世代レグザエンジンを担当する住吉肇氏)。また従来は14bit処理だった3Dカラーマネジメントなどの高画質化処理も16bit処理に拡張。回路の演算誤差ノイズを抑え、さらに階調性や質感表現力が向上したとう。高画質化専用MePの処理能力も約2倍にアップ。「絵作りの自由度、拡張性が飛躍的に高められた」(住吉氏)。
映像エンジンが進化したことで恩恵を受けるのは、画質面だけではない。メインCPUの変更とクロック周波数の引き上げ(従来の333MHzから533MHzへ)で処理能力が向上し、例えば電子番組表の表示スピードが大幅に改善したという。また、NANDフラッシュメモリーの読み出し速度が約2倍に高速化しており、リモコンで電源を入れたときの起動時間は従来の約2.8秒から約1.8秒へ短縮されるなど、操作性にも大きく影響している。
CELL REGZAの超解像技術も導入
早くも第4世代となった超解像技術「レゾリューションプラス4」は、従来の再構成型超解像技術に加え、CELL REGZAで初めて採用された自己合同性超解像技術を追加している。これは、エッジ部の周囲から映像信号が近似した個所を抽出し、その画素を重ね合わせることで映像補正の精度を向上させるというもの。例えるなら、足りない部分を見つけたら、似たような場所からコピー&ペーストしてくるといった技術だ。
レゾリューションプラス4は、今回発表された3シリーズすべてに搭載されているが、Z1シリーズだけにおごられたのが、「デコード情報を利用した超解像技術」。これは、放送波のMPEG-2 TSをデコードする際に圧縮フレームごとの解析を行い、そこで得られた情報をレゾリューションプラスや階調クリエーションの制御に反映するというものだ。
空間型圧縮と時間型圧縮の両方を用いるMPEGでは、GOP(Group of Picture)と呼ばれる、ひとかたまりのフレームを1つの単位として圧縮が行われる。1つのGOPは約0.5秒間。このなかに3種類のフレーム(I/P/Bフレーム)が含まれ、それぞれに役割と特性が異なる。例えばグループの基準となるI(Intra Picture)フレームは、圧縮率が低く情報量は潤沢だが、ノイズなどの影響を受けやすい。また、前後にあるIフレームやBフレームから情報を復元することを前提としたPフレームは、もともと情報量が少なくぼやけがちだ。こうした違いから、超解像処理を行ったときに差異が強調され、映像にチラツキとなって現れることがあるという。
「新しい超解像技術では、デコード時にフレームタイプの情報や予測される圧縮ノイズのレベルを32段階で予測し、フレームごとに最適な処理を行う。これで超解像処理の効果を最大限に引き出せるようになった」と住吉氏。デコード情報の活用という点において、Z1シリーズはCELL REGZA以上の機能を持つともいえる。
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