まさにSense of wonderなアイデアを発掘。ゲームの伝統に縛られない、個性的な9作品を一挙紹介!:TGS2010【センス・オブ・ワンダーナイト 2010】(1/5 ページ)
東京ゲームショウ ビジネスデー最後のプログラムとして、9月17日に国際会議場で行われたセンス・オブ・ワンダーナイト。ゲームの伝統に縛られず、創造的、実験的なゲームを紹介するイベントで、今年が3回目の開催となる。今回は9作品を選考委員が選出し、プレゼンテーションが行われた。
ゲームデザインに新たな領域を作り出し、実験的なゲーム開発者へ将来にチャンスを与えること。今までのゲームデザインとは違った特色が光る。
見た瞬間、コンセプトを開いた瞬間に、誰もがはっと、自分の世界が何か変わるような感覚「Sense of wonder」を引き起こすようなゲームを発掘すること。それがこの「センス・オブ・ワンダーナイト」の主旨だ。今回で三回目になる本イベントの冒頭では、司会の新 清士氏が「三回も開催できるとは思ってもいませんでした。この成功は、毎回たくさんの人に来ていただくこと、それから、全世界の方がこのイベントを非常に面白いイベントだと評価していただいたことです。また実現のために、CESA事務局の方々、東京ゲームショウの事務局の方々にもお礼を申し上げたいと思います」と挨拶。イベント会場自体は満席で、国内外の多数のメディアも来場している。このような好評を得て三回目の開催を成功できたことに、新氏はとても嬉しそうな笑顔だ。
本イベントは「Ustream」でライブ中継されているおり、さらに「Twitter」のハッシュタグ「#sown2010」で、「センス・オブ・ワンダーナイト」関連のつぶやきを見ることができる。今回は会場の参加者全員に「振るとピコピコ音を発するハンマー状の何か(正式名称は不明)」が配られており、「Sense of wonder」を感じた人はこれを拍手の代わりに振るシステム。「Ustream」、「Twitter」からの参加者は、“pico pico”と書き込むことで、現地会場と同じように「Sense of wonder」を表現できた。このピコピコ音は、各作品のプレゼンテーション中などに音量を測定し、Youtubeにアップするとのことで、これはどの作品のどのような部分で、どのくらいの人たちが「Sense of wonder」を感じたのかを記録するためらしい。
続いて審査員の紹介。今年から新たに加わった、おにたま氏、今回来日が出来なかったIndependent GamesのSimon Carless氏に代わり、Game Developer magazineのBrandon Sheffield氏、ABA Gamesの長 健太氏、バンダイナムコゲームスの高橋慶太氏、ベクターの片山崇氏、エンターブレインの杉内賢次氏、そして司会も勤めている新 清士氏の6人でコメントを交えつつ進行していく。
新氏は「いろんな意味で、どの作品を選べばいいのかかなり悩みました。今はゲームの意味自体が凄く変わる時期に入っている。これはどうゲームとして考えていいのか、これはゲームとして広がる可能性があるのか、そういった事を考えながら見させていただきました」とのこと。はたして、今回選ばれた9作品はどんな「Sense of wonder」を感じさせてくれるのか、順番に紹介していこう。
愛の具現、奉仕の心。仮想恋愛の経験値はもういらない?「ラブプレス++ 〜俺の嫁にマッサージ〜」
一体どんなゲームが発表されるのか非常にワクワクしていた筆者だが、一つ目からいきなり、破壊力が抜群に大きいものが出てきた。タイトル名は「ラブプレス++ 〜俺の嫁にマッサージ〜」。どこかで聞いたことのある名前だ。製作者は神奈川工科大学情報メディア学科 白井研究室の方々。
メンバーの一人である横田氏がプレゼンテーションを始め、挨拶を終えると「皆さん、恋愛シミュレーションゲームは好きですよね? 僕は大嫌いです!」と一言。その理由は「クリック・ボタンのみで進む紙芝居」、「何回でもコンテニューできる別の世界のゲーム」、「結果的にたまっていくのは、違う世界の経験値」と、今の恋愛シミュレーションゲームをバッサリ。そこで現在の恋愛シミュレーションゲームは一体何を伝えたいのか、ということを考え、恋愛を「恋」と「愛」の二つに分割し「愛」の表現として「ラブプレス++ 〜俺の嫁にマッサージ〜」を開発するに至ったそうだ。愛を表す一つの形として「奉仕の心」を取り入れ、「嫁」に対する愛を全身全霊で表現する新感覚エンターテイメント。横田氏はそう解説する。
ここまでの話だと、真摯に愛を考え、奉仕の心として表現するなんて、慈愛に満ち溢れた感動的な話に聞こえる。しかし、実演が始まると、いい意味で印象は覆されることになる。この「ラブプレス++ 〜俺の嫁にマッサージ〜」のマッサージをする本体には、感圧センサーのようなものが取り付けられているらしく、マッサージをしていると、声優があてたキャラクターボイスが発せられる。横田氏は全身全霊の愛をもって、マッサージを始める。すると、聞こえてきたのは女性の喘ぎ声のそれに近いものだった。マッサージとはいえ、対象は「嫁」である。要するに、女体を揉むゲームには変わらないわけで、多数の参加者にはある意味期待通りだっただろう。ちなみにこのマッサージ実演は「へたくそ」と嫁に一蹴され、終了した。愛の表現は難しい。
この「ラブプレス++ 〜俺の嫁にマッサージ〜」を神奈川工科大学のブースで展示したところ「こ、これは……! と悶絶された方」、「ニヤニヤして立ち去った方」、「質感にもっとこだわりを!」、「iPhoneで通勤・通学時に遊びたい!」、「声優のよいプロモーションになるのでは」など、様々な意見が得られたようだ。
審査員の長 健太氏は「これ、どう扱えばいいんだろうと悩まされていたのですが、プレゼンでもっとどうすればよいか解らなくなりました。しかし、最初のプレゼンとしては非常に楽しいものになったと思います」とのコメント。愛の表現をこのような形でゲーム化した「ラブプレス++ 〜俺の嫁にマッサージ〜」に、筆者はいろんな意味で「Sense of wonder」を感じることが出来た。なおこちらの作品は現在βバージョンがリリースされている。興味のある方は、是非「愛の表現」としてのマッサージを試してみてはいかがだろうか。
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