ソニー、デジタル録画双眼鏡 DEV-3で往く! 東京映像ハンティングツアー:散歩するガジェット(4/4 ページ)
田町駅付近にて、レインボーブリッジをゲット!
さて陽も落ちたので、ツアーもいよいよ終盤です。夜景を撮りに、JR田町駅から徒歩にてレインボーブリッジへ向かいました。
デジカメでもそうですが、暗いシーンの撮影は手ブレ補正があっても難しいものです。ブレもそうですが、そもそもオートフォーカスのピントが合いにくいもの。さらには感度いかんでは、ノイズ感のあるざらりとした画になってしまいます。
そういった光学系機器にとって過酷な環境下で、DEV-3のF値1.8〜3.4のレンズとオートフォーカス、手ブレ補正などなどはどのような力を発揮してくれるのでありましょうか。
DEV-3には「薄暗い場所で明るくカラーで撮影する」という、“Low Lux”モードもあるのですが、今回は薄暗いというよりも完全に夜間撮影だというのと、「とりあえず初期設定のまま気軽に撮る」というのがコンセプトだったので使用しませんでした。
番外編、天体&子供をゲット!
ひと通り撮影は終わって番外編です。本来ならば12倍という倍率、望遠鏡ではなく双眼鏡ということもあって月を撮影したかった、というより何度かトライしたのですが曇っていて月ではなく雲が撮れてしまったため惑星を対象にすることにしました。
そして、ホームビデオっぽく使ったらどうなるかということで夜間の室内で子供を撮影してみました。普通は撮影対象としないし、至近距離なので双眼鏡の意味がないでしょうが、そこはツッコミなしです。
撮ってみて分かった、DEV-3のエンジョイ方法
今回、限られた期間であったもののDEV-3と付き合ってみて、双眼鏡だけに移動する物体を追いながら撮影するのが一番楽しいし、後で映像を確認していても楽しいと感じました。
さらに、予想外に音を良く録ることができるのも楽しめた点。乗り物の走行音や楽器の音だけでなく、歩道を歩く女性のハイヒールの音など、日常の何気ない音にも実はいろいろな情報が含まれていて、記憶を呼び覚ましてくれるということを再発見できました。
ただし、あまりに感度が良すぎてズームレンズの作動音をひろってしまっている場合がありました。動物の姿だけでなく、鳴き声なども一緒に狙いたい場合は極力ズームはしないようにするのが無難でしょう。
撮影してみての注意点は、暗い場所の撮影ではピントが合いにくく、明るい場所で白い物が飛びやすい(設定を変えることで、ある程度の補正は可能)というデジカメでもよくあることと、ファインダーでは小さな物体を識別することが難しいということです。
カワウの撮影で顕著ですが、ズームインしている状態で対象物のカワウをロストして、ズームアウトして発見してもカワウが離れていってしまうと、ファインダー内では点になってしまい見落としてしまいました。
さらに、ある一定以上の高い位置にある物を撮影する場合、脇が開いてしまい安定せず、手ブレ補正機能が補い切れないブレが生じてしまうことも。また、動きのある物を追っていて、上半身のひねりだけで追い切れずに足を踏みかえる際にもブレることが多かったです。
ただし、これはビデオカメラやズーム機能を持つデジカメも同じことで、それらに比較すればDEV-3はズームイン&ズームアウトが任意のスピードでスムーズにでき、オートフォーカスの追従性も良好なためアドバンテージがあるともいえるでしょう。
さてここで「とてもエンジョイできる楽しいガジェットでした!」で締めくくりたいところですが、コストと重量に触れておきたいと思います。
腕力も資金もあり、自分でどんどん使い方を工夫する読者諸兄姉には、「どうぞどうぞ非常におもしろいガジェットです。存分に楽しんでください」とオススメします。ただ、現在(2011年12月)のソニーストアでの価格が12万8000円と高額になっています。これは他の光学機器、ビデオカメラや一眼レフデジカメの価格が下がってきていることもあり、リーズナブルとは言い難い価格帯です。
動物の研究者ならば他にない価値を見出し、確実なリターンがありそうが、一般的なユーザーで野鳥も撮影したいし子供の運動会の撮影もしたいというのであれば望むべきもありません。便利すぎる昨今のデジカメや家電製品感覚で買ってみるとなると、「とりあえず実際の製品を観て触れて、撮影サンプルをよく吟味してみてください」と言わざるをえません。1000グラムオーバーの重量も、筆者はホールド性が良いので思ったより負担にはならなかったのですが、ネックストラップを付けたとしても長時間使用するのは厳しいと感じる方もいることでしょう。
でも、これがデジタル録画双眼鏡第1弾の製品ですから、きっと「さすがソニー!」とうならせてくれる、価格も重量もダウンした、さらに高画質の改良版を発売してくれるのではないかと期待しています。せっかくの魅力的なガジェットなのですから、一部のユーザーだけのガジェットにしておくのはもったいないというものです。新機軸の製品でここまでの完成度に仕上げてきたというのは、さすが様々な光学機器を開発してきたメーカーと言わざるをえません。
最後に1週間程度という限られた期間の試用につき、習熟できたとは言い難い状況下での撮影でしたが、操作が分からなくなって撮影に入ることができないとか、撮ったはずのシーンが撮れていなかったということは1度もありませんでした。
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