「プラレス3四郎」の神矢みのる先生とロボットプロレス主宰ミステル・タマオ総統の「プラレスvsロボレス対談」が実現!!(3/4 ページ)

» 2012年04月13日 16時33分 公開
[種子島健吉,ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

ロボットを描くときに大事なこと

―― マンガ、ロボットプロレス、さらにはAKB48でもキャラクター性が大事というのが分かりましたが、それ以外で大事にされていることはありますか?

神矢氏 マンガを描くときに大事にしているのは、「半歩先に行く」ということですね。SFまで行ってしまわない、「今よりほんのちょっと先のリアル」を描くという感じです。「プラレス3四郎」でも、飛行したり、ビームやミサイルを発射したりということはしないよう、現実感は壊さないようにしていました。現実の、日常の日本の風景から浮かないようにマンガなりのリアリティは考えていたんですね。でも、やっぱり、ちょっと半歩以上行ってしまっていたのかなあ。当時注目されていたプラモデル、パソコン、プロレスをすべてミックスするという原作者、牛先生のコンセプトは実現できたと思っているのですが……。「機動戦士ガンダム」や「装甲騎兵ボトムズ」のメカデザインを担当された大河原さんも「放送中は人気がなかった作品が、放送終了が決まると『惜しい』とか『素晴らしい作品なのに』というファンの声が続々届くようになった。終わってしまう前に応援してくれたら」という主旨の発言をしてらっしゃると思うのですが、やはり、1歩も2歩も先に行ってしまうと連載時やアニメ放送時に人気が出ず、ブームが後からやって来て「あのときすぐ売れていれば!」ということになってしまうんです。後から振り返れば、「先取りしすぎだったね」ということなんでしょうが。

 牛先生といえば、「3四郎」というのは牛先生のネーミングなんです。たしか、3四郎が柔道家の家に生まれている設定なので、姿三四郎をもじって命名したということだったと思います。そこで、ただそのまま「三四郎」にせず「三」を算用数字の「3」にして「3四郎」にすることで古臭いイメージを払拭しているところが、牛先生らしい……。うんと古いものと新しいものの融合や、まったく異なる要素のアイディアを組み合わせることで、従来にない斬新な作品を生み出す手法が天才的なんです。初めて「プラレス3四郎」の原稿を読んだときは、完成度の高さに思わずため息をついてしまったのを今でも覚えています。

 それで「3四郎」からだいたい20年ぶりに、続編にあたる「プラレスラーVAN」を描いたわけですが、このときはもうずいぶんロボット関連の技術も進んでいて、ROBO-ONEも開催されていました。でも、ROBO-ONEに審査員として招待されたりする中で、参考にする部分はあったのですが直接的にマンガとの接点はなかったんですね。それで次に描くことになった「アクト・オン!」では、今あるロボット関連の技術そのままを描こうと思って学園ものにしました。最近、子供のオモチャでもなんでも出来合いのものをお金で買ってきてしまうという風潮がある気がします。それに対してそうじゃないんだ、人によってはプラモデルかもしれない、ミニ四駆かもしれない、ラジコンカーかもしれないけども、自分で工夫して自分の労力をかけていろいろやってみてうまくいったときの喜びとか、そういったものがあるんだというのを伝えたかったんですね。それで作品を描くときに、ロボットプロレスに参加されている皆さんにも取材させていただいたんです。そういったことからも、ロボットプロレスを応援したいと思っているんですね。

画像 チャンピオンREDで連載された「プラレスラーVAN」。このイラストは、コミック4巻の表紙カバーに使用されたものだ。原作は「プラレス3四郎」と同じく牛次郎氏が担当。主人公の伴雄二が、プラレスラー明王丸を操って強敵たちと闘う。物語の後半では「プラレス3四郎」のキャラクターたちも登場する
(C)牛次郎/神矢みのる(秋田書店)

画像 FlexComix Webで連載された「アクト・オン!」。このイラストはコミック2巻の表紙カバーに使用されたものだ。プラレスが題材ではなく、機工部に所属する高校生たちが、ROBO-ONE優勝を目指すという、より現実に近い学園ものになっている
(C)2007 Minoru Kmiya

タマオ総統 アマチュアロボットビルダーのバイブル的作品連載に、そんなご苦労があったとは……。もしかしたら、それは子供は残酷ということも関係しているかもしれない。ロボットプロレスでもちょっと演出に中だるみがあったりすると、すぐ飽きて帰ってしまう。かと思えば、大技が決まると「わっ!!」となってリングに張り付かんばかりになる。子供の反応は正直というか、遠慮がないので、お祭りなど観客に子供が多そうなイベントに参加する場合は、通常の「できんのか!」に比べて、語りなどを減らしたアクション重視の演出にして絶えず「動くものを見せる」ようにしている。そうすることで、最後まで飽きずに声援を送ってもらえるのだ。

 そういえばワルーvsワン美の試合で、ワン美が観客に向かってパフォーマンスしている背後からワルーが技を仕掛けに行ったところ、子供たちから「後ろ! 後ろ!!」と声がかかったという、演出した我々が驚くほどの効果が得られたことがあったな。それからナガレゴールドvsサアガの試合で、サアガにナガレゴールドがひたすら投げられ続けたとき、投げられても投げられても立ち上がり相手に立ち向かって行く姿は、悲壮感すら漂わせていた。その後、ナガレゴールドの人気が上がったのは、やはり人間、弱いほうに肩入れしたくなるという心理が現れているのだと思うな。

2010年11月3日に埼玉県草加市で開催された「できんのか! 7」第4試合、ワルーvsワン美。ワン美が子供たちに向けてパフォーマンスしている背後から、ワルーがジャーマンスープレックスを狙うシーンで、感情移入した子供たちから思わず「後ろ! 後ろ!!」という声が上がっている


2011年11月3日に埼玉県草加市で開催された「できんのか! 9」決勝戦、ナガレゴールドvsサアガ。「サアガの投げ技フェスティバル!」と実況されるほど、サアガの投げ技がナガレゴールドに炸裂。サアガの投げはロボットによっては一撃で行動不能にしてしまう破壊力を秘めているので、実はナガレゴールドの投げに合わせた操縦と計算された受け身もすごい


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  2. /nl/articles/2411/20/news049.jpg 高校生の時に出会った2人→つらい闘病生活を経て、10年後…… 山あり谷ありを乗り越えた“現在の姿”が話題
  3. /nl/articles/2411/20/news222.jpg ディズニーシーのお菓子が「異様に美味しい」→実は……“驚愕の事実”に9.6万いいね 「納得した」「これはガチ」
  4. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  5. /nl/articles/2411/20/news054.jpg 「防音室を買ったVTuberの末路」 本格的な防音室を導入したら居住空間がとんでもないことになった新人VTuberにその後を聞いた
  6. /nl/articles/2411/20/news050.jpg プロが教える「PCをオフにする時はシャットダウンとスリープ、どっちがいいの?」 理想の選択肢は意外にも…… 「有益な情報ありがとう」「感動しました
  7. /nl/articles/2411/21/news083.jpg 間寛平、33年間乗り続ける“希少な国産愛車”を披露 大の車好きで「スカイラインGT-R R34」も所有
  8. /nl/articles/2411/21/news085.jpg 「もしかしてネタバレ?」 “timeleszオーディション”候補者がテレビ局を退社 ディズニーの“船長”としても話題
  9. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
  10. /nl/articles/2411/21/news018.jpg グルーミングが出来ない生まれたての子猫、とんでもない体勢になり…… 想像以上のへたくそっぷりに「どこにも届いてないww」「反則級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた