「プラレス3四郎」の神矢みのる先生とロボットプロレス主宰ミステル・タマオ総統の「プラレスvsロボレス対談」が実現!!(4/4 ページ)
マンガ、ロボットプロレスそれぞれの展望
―― マンガの世界、ロボットプロレスの世界と違いはありますが、今後の展望、これからの目標を教えていただけないでしょうか。
神矢氏 「3四郎」を描いているときは、まさかこんなに早く、ここまでロボットが動くようになるとは思っていなかったので、いまのロボットプロレスには正直ちょっとビックリしています。私としては、いまロボットプロレスが実現していることを念頭に、それを凌駕するようなものを描いて行かなければならないと思います。でも、ロボレスラーたちのパフォーマンスが一般的な読者に認知されているかというと必ずしもそうではない。だから、ロボットプロレスを下敷きに、スケールアップした物語を描いてしまうと説得力を欠いてしまうかもしれない。さじ加減が難しいところですね。そういうことを考えながら、子供たち、あるいはお父さんがたにも一緒に読んでもらえるような、半歩先のリアルな未来を描きたいと思っています。
タマオ総統 まず映像コンテンツとして良いものを仕上げたいというのがある。もちろんライブのイベントも大事だが、どうしても拠点とする関東地方の開催が多くなってしまう。映像をインターネットで見られるようにすれば、もっと多くの人に見てもらうことができる。今でもやっていないわけではないが、YouTubeにもっと映像コンテンツをアップしたいと思っている。多少、無理矢理な演出をしてでも楽しんで見てもらえるようなものをだ。お子さんだけでなく、プロレス好きな人なら、必ず楽しんでもらえるのではないかなと思っている。
それからトップシークレットなのだが、「流血48」というプロジェクトを秘密裏に進めている。これは流血仮面のボディがKHR-3HVという市販されているロボットキットだということを活用したもので、流血仮面の衣装を日本中の、否、世界中のKHR-3HVオーナーに無償で貸し出し、モーションプログラムも複製提供するプロジェクトだ。流血仮面となったKHR-3HVと、そのオーナーが各地のロボットイベントに参加する。そうすることで、ロボットが参加できるイベントは毎月どこかで開催されているから、規模の大小はあれ毎月どこかのイベントに流血仮面が登場することになる。つまり、様々なイベントで流血仮面の露出を増やし、「会いに行けるロボット」を実現するという高尚なミッションなのだ。
現在、衣装は数着の用意があるのだが、今のところ貸し出しの予定はない。KHR-3HVのオーナーさんは多いのだが、かなりの高確率で改造してしまっているので、衣装が合わず流血仮面に変身できないことが多いという、まことに残念な結果となってしまっている。志ある無改造なKHR-3HVのオーナーさんには、ぜひとも「できんのか!」公式ホームページに記載しているメールアドレスからコンタクトしていただきたいものだな。特に格闘技経験者やプロレスファンは大歓迎だ。
(神矢氏に対して)今回は対談を承諾いただきありがとうございました。私はマンガ家の神矢みのるはもちろんのこと、ロボットアーティストとしての神矢みのるに対してもリスペクトしています。実は先生の制作されたロボットを拝見したことがあるのですが、見た目も動きも素晴らしいものでした。ロボットビルダーの中でも、自身でアルミ板を切り出し、自身で設計加工し、モーションプログラムも自身で組み上げるところまでできる人はなかなかいないものです。今後とも神矢先生のアドバイスをいただきながら、子供たち、観客を楽しませることができるロボットエンターテインメントの世界を表現したいと思っていますので、よろしくお願いします。
―― しかし、タマオ総統。神矢先生の前だとずいぶんしおらしいですね……。
タマオ総統 当たり前だ! 神矢先生は、日本のホビーロボットシーンでは神様のようなお方だぞ。ロボットビルダーにもリスペクトしている者が多い。今回は存外にロボットプロレスを評価していただいていることが分かり、非常に感激しているとともに身が引き締まる思いだ。これからもより多くの人に楽しんでもらえるよう「できんのか!」は日本だけでなく、世界に向けても発信していく。4月下旬にも、サンフランシスコで開催されるイベント、ROBOGAMESでロボットプロレスを開催してくるので、今後の展開に期待してもらいたい! ROBOGAMESには、先日、ITmediaで紹介されたキングカイザーの丸氏も参加しブースを盛り上げてくれる予定だ。
―― 神矢先生、最後にロボットプロレス「できんのか!」にエールを送っていただきたいというのと、実は先生もロボット制作経験がおありということですが、ロボットを操縦するのとマンガでロボットを描くのとどちらが難しいですか?
神矢氏 それはもうマンガで描くほうが簡単ですね(笑)。ロボットのコントロールは難しいです。それにロボットプロレスになると、ただ動かすのとはまったく違ってくるんですよ。まったくシナリオ通りのお芝居というのではないので……。実際、見ていると同じ対戦カードでも試合するごとに全部違う試合になります。その日の会場の状況、ロボットのお互いのコンディション、観客の反応などなど、その場の空気に合わせて選手がお互いにアドリブを効かせたり、瞬時に状況に対応して試合を作り上げている。それを実現しているのが「できんのか!」に参戦している、日本のトップレベルともいうべきロボットビルダーの方々なんですね。ロボットプロレスは彼らのロボット制作技術と操縦能力があればこそ成り立つ、非常に高度なパフォーマンスなんです。そのあたりが、私がロボットプロレスにいちばん魅力を感じているところです。インターネットで見ることができる映像がもっと増えるというのはうれしいですね。私も楽しみにしています。ロボットプロレス「できんのか!」は、マンガと同じぐらいエンタテインメントしていると思いますので、見たことがない方はぜひ一度、観戦してみてください。
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