「人の手のぬくもり」も伝える、リアルすぎる「遠隔握手用ロボットハンド」
もしも遠隔地の人と、声や映像だけでなく「人のぬくもり」まで伝えることができたら――。このロボットハンドがあれば、遠隔地の人をもっと身近に感じられる?
スカイプやメッセンジャーによるビデオ会議では、声や映像は届けることはできても、人のぬくもりまで伝えることはできない。ではもし、遠隔地の相手と握手ができるロボットハンドがあったら――。
「インタラクション2012」に出展されていた「握力・体温・感触を伝える遠隔握手用ロボットハンド」(大阪大学・和田侑也さんらによる研究)は、そんな発想から生まれたデバイスだ。ビデオ会議などでは、対面時に比べて相手の「存在感」が希薄になりがちだが、それをロボットハンドによる「遠隔握手」で補強できないか、という試みだ。
普通のロボットハンドと違うのは、ただ単に「握る」というアクションだけでなく、人の手の「温かさ」や「やわらかさ」にこだわって作られている点。機械の骨組みをスポンジとシリコンゴムで覆い、さらにフィルムヒーターを仕込むことで「温かさ」と「やわらかさ」を再現した。被験者にはビデオ会議で相手としばらく話した後、このロボットハンドと握手をしてもらう。これで相手が目の前にいるような感覚が得られれば成功だ。
筆者も会場で試してみたが、確かに通常のビデオ会議よりも生々しさは伝わってくる。しかし一方で、ロボットハンドの感触がリアルすぎて「気持ち悪い」の方が先立ってしまった。通常のロボットハンドよりも人間の手に近いのは確かなのだが、それが余計に不気味に思えてしまう。会場で尋ねてみたら「いわゆる“不気味の谷”と同じような効果が発生してしまっているのかもしれません」とのことだった。
実験でも「会話相手と握手をした感覚」については平均評価5.9(9段階評価)と「まあそう思う」程度だったという。「触覚」による遠隔コミュニケーションという点に着目したのは面白いが、まだまだクリアしなければならない課題は多いようだ。
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