あなたにも参入可能!? サイドビジネスで始めるキャラクタービジネス 実践編大日本技研に聞く(1/6 ページ)

ワンフェスから見た版権許諾の可能性とは。そしてそれを利用する心構えとは……。アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」のドミネーターの立体化も再現してもらいました。

» 2012年10月26日 11時02分 公開
[種子島健吉,ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 前編では、大日本技研の代表取締役である田中誠二氏が、どのようにガレージキットを生業として起業するにいたったかをうかがいました。後編ではもしかしたらあなたも参入できるかもしれないキャラクタービジネスの実態と、それに密接に関わり、模型・フィギュアの世界で重要な存在である「ワンダーフェスティバル」というイベントの歴史と役割、そして当日版権の取得を含めた参加方法について聞きます。

「ワンフェス」とは何か?

―― 前編では、ガレージキットメーカー「大日本技研」設立の課程が分かったところで、後編は代表取締役の田中さんも毎回出展されている「ワンダーフェスティバル」についてです。「ワンフェス」は、模型の世界では重要な役割を果たしているということですが、そもそもどういったイベントなのでしょうか?

田中氏 「ワンフェス」は、チョコエッグなどで有名な海洋堂さんが主催する、模型系展示即売会です。コミックマーケットの模型版、もっとくだけていえば、自分で作った模型「ガレージキット」を売るフリーマーケットのようなものということになります。

画像 プロ、アマ問わず、制作したキットを持ち寄って展示、販売することができる「ワンダーフェスティバル」。こちらは筆者も取材に行った「ワンダーフェスティバル2012[夏]」の様子

ガレージキットとは何か?

―― そういえば今まで「ガレージキット」「ガレキ」と何気なく口にしていましたが、プラモデルともフィギュアとも違うのでしょうか?

田中氏 一言でいってしまうと「個人レベルで作成したプラモデル」になるでしょうか。プラモデルなので完成した物が入っているのではなく、適当な大きさに分解されたパーツと大まかな組み立て説明書が入っています。ですから、購入者は入っている部品を自分で組み立てる必要があるんですね。パーツは、アイボリーやフレッシュ(肌色)など一色で成型されていますので、色塗りも自分でする必要があります。

―― それは……めんどくさ、じゃなくて手間がかかるというか、それなりの技術が必要そうですね。

田中氏 組み立て大好き、塗装も大好きな、模型製作が趣味の人向けなんですよ。フルスクラッチと呼ばれる、プラモデルの改造などではなくて、造形材料を使って0から立体物作る手法があるのですが、そのフルスクラッチした模型を仲間内に少数頒布(はんぷ)したというのが、そもそもガレージキットの始まりですから。

プラモとガレキの違い

―― ガレージキットを組み立てるのも大変そうですが、ガレージキットを製造するのもやっぱり大変なんでしょうか?

田中氏 大変かどうかは個人の主観が入りますから……。プラモデルの作り方と比較してみましょうか。一般に販売されているプラモデルは、「金型(かながた)」を使い、「射出成型機」を使って成型されています。金型は文字通り、金属製の型で、金属の塊を彫って作ります。まあ、鯛焼きの型を想像してもらえれば良いでしょう。この金型を射出成型機にセットして、素材になるプラスチックを溶かして金型に圧入します。鯛焼きにあたるプラスチックが冷えて固まったら、型から外せば、プラモデルの完成です。

 さて、ガレージキットを作るときにこれを個人がやろうとすると、やればできないことはないかもしれないけれど、お金がかかり過ぎます。金型の作製は、専門の業者に依頼するのですが、これが高い。形状と大きさによって、かなり差がありますが、100万円単位の費用を覚悟しておいたほうが良いでしょう。成型に使う射出成型機も、工場で使うような機械ですから、1台1000万円ぐらいしますし。

 だから、昔は立体物を個人レベルで量産する手段がなかったんですね。しかし、今から30年ほど前に、歯科技工等に使う、型取り用のシリコーンゴムと樹脂を使って立体物をコピーする方法が、模型の世界に導入されたんです。ポタージュ状のシリコーンゴム原液に硬化剤を加えると、数時間でゴム状に硬化します。これをフルスクラッチしたパーツの周囲に付けて硬化させると、型を作ることができます。その型に、2液を混ぜると数分で硬化するポリウレタン樹脂を注げば、元のパーツと同じ形ができあがります。この注型作業を繰り返せば、何個も同じパーツを複製することができるんです。この手法の優れたところは特殊な機械が必要なく、安上がりなことです。物にもよりますが、だいたい材料費2、3万円で複製できてしまいますね。

画像 これが実際に田中氏が使用している模型用のシリコーンゴムとレジンキャスト(ポリウレタン樹脂)。専門店で購入しているのかと思いきや、ヨドバシカメラで購入しているのだそうだ

※すべての画像は大日本技研、あるいは版権元に当記事で使用するための許可を得て掲載しています。転載はご遠慮ください。
       1|2|3|4|5|6 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  2. /nl/articles/2412/10/news133.jpg 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  3. /nl/articles/2412/12/news089.jpg フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. /nl/articles/2412/14/news081.jpg 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  5. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  6. /nl/articles/2412/15/news002.jpg 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  7. /nl/articles/2412/14/news038.jpg 「釣れすぎ注意」 消波ブロック際に“カツオを巻いた仕掛け”を落としたら…… 驚きの結果に「これはオモロい!!」「こんなにとは」
  8. /nl/articles/2412/14/news063.jpg 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  9. /nl/articles/2412/14/news002.jpg 【今日の難読漢字】「男衾」←何と読む?
  10. /nl/articles/2412/15/news024.jpg おじいちゃん「昔はモテた」→孫は信じていなかったが…… “今では想像できない”当時の姿が140万再生「映画スターのよう」【米】
先週の総合アクセスTOP10
  1. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  4. 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  5. 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  6. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  7. 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  8. 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  9. コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  10. 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」