マイナス20度で寝られるか!? 日本一寒い北海道陸別町の人間耐寒テストに挑む:極寒を味わい尽くせ!(2/2 ページ)
しばれ花火の後は、勇敢なチャレンジャーが全国から集結して開催される「人間耐寒テスト」が始まる。一晩、会場に設置されているバルーンマンションの中で過ごすというものだ。今年は過去最多のおよそ350人が参加した。正直なところ、わざわざ極寒の地で一夜を明かそうと思うなんて、筆者を含め物好きな参加者たちだ、などと考えていたのだが、実際に一晩寝てみると、リピーターが続出するくらいの人気がある理由が分かった気がする。
1つのバルーンマンションにつき定員は3人ほど。大人の男性3人が横になると少し狭く感じるくらいの広さである。床には発泡スチロール製の薄いシートしか敷かれていない。これだけでは明らかに寒すぎるため、段ボールを敷き、上から銀色の断熱用シートを重ねて対応してみた。
寝袋は必須。冬用のしっかりしたものをおすすめする。筆者は夏用の寝袋を2枚重ねにして使用したが、すぐに足先や腰、指先などが冷えて痛くなってしまった。この世界には、過度な防寒など存在しない。考えうるかぎりの対策を尽くすべきだ。準備段階から試されている、これが人間耐寒テスト。
町に住み、毎年しばれフェスティバルを運営している人々に聞いてみると、「あんな冷え切ったところで熟睡できるはずがない、無理っしょ」とのこと。実際、耐寒テストの時間中、参加者は仲間同士でバーベキューしながら飲んでいたり、命の火で暖をとったりしていた。これが最高に楽しい。私もちゃっかりおじゃまして、北海道の鮭とばやホタテなどを炭火で焼いて食しながら、おいしいお酒を楽しんだ。外気の冷たさは、温かい食事と会話があれば案外カバーできてしまうものである。午前3時ごろに私はバルーンマンションに戻ったが、外ではまだ楽しそうな声が聞えていた。夜通し、火を絶やさず過ごす人もいるという。
バルーンマンションで寝られたのは、トータルで2時間ほど。足先や背中にホッカイロを貼ってみたものの、かなわない。体の端々から痛みを伴う冷えが来る。寝袋を頭の方まですっぽりとかぶり、膝を曲げて身を縮め横向きの姿勢になり、なんとかウトウトできる程度であった。
2日目。午前7時。ステージ前でラジオ体操をする。ここまでたどり着ければ人間耐寒テストもあとわずか。寒さでガチガチになった体を動かしたのち、認定証授与式へ向かう。ここで認定証を受け取り、耐寒テスト終了! 実はこの時、完全に足が冷え切ってしまい非常に痛く、気持ちの余裕は全くなし。でも、それ以上にやり終えた達成感があった。
人間耐寒テスト参加者は、別会場で朝食と朝風呂が提供される。シャンプーや洗顔料、化粧水等は自分で持参しなければならないのだが、あらゆるアイテムがことごとく凍っており、使うのに一苦労。風呂桶で湯せんにかけないといけない状態になってしまった。これもまた、いい思い出だ。
昼間の会場は昨夜と違い、元気いっぱいな雰囲気。乗馬体験やスノーモービル、スノーラリーやラフティングなどのコーナーも設置された。電機連合によるショーや大抽選会など、最後まで盛り上がるイベントが続いた。日が出ているうちは気温もそこまで下がらず、防寒対策をぬかりなくしていれば過ごしやすい。そりに子どもを乗せて歩く親子連れの姿も多かった。
イベント開催中の最低気温はマイナス20.7度。肌が痛いくらいの寒さを感じる時間帯もあったが、それ以上に温かい気持ちになれるフェスティバルであった。カラダひんやり、ココロあったか。この内外のギャップがやみつきになりそうである。また必ず参加したい。
鉢須祐子 プロフィール
1982年生まれ。大学卒業後、証券会社・銀行で営業職を経験。FP資格を取得後、コンサルティングの力を磨くためにFP事務所で働く。その後、自分らしく生きるために2009年、独立。フリーランスのFP・ライターとして活動中。セミナー講師、雑誌・Webメディア掲載多数。専門分野は家計管理・ライフプラン。個人顧客の家計相談では、数字上の問題点を解決するだけではなく、人生設計におけるお金の不安を解消し、生きたい道を進めるようサポートすることに全力をかけている。ライター業では、人生設計に必要なお金の情報はもちろん、生き方に関する話題を幅広く執筆している。
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