楳図かずおさん、ニコ生初降臨 「予備は5つ用意しておけ」――鬼才が明かすプロ魂まことちゃんハウスに潜入(2/2 ページ)

» 2012年07月25日 10時00分 公開
[ITmedia]
前のページへ 1|2       

予備は5つ用意しておけ! 楳図先生のプロ魂

 番組で読み上げられた質問をいくつか紹介しよう。例えば、「漂流教室」に出てくる「ただいま」など、印象的なせりふはどのように思いついたか?――という質問。楳図さんは「ひらめくときの根拠ってないんですよね。ほんとにひらめくしかなくて」と“天才ぶり”を見せつけつつ「漂流教室のような異常な世界で発する言葉は普通の日常的な言葉の方が(良い)。ギャップですよね」と狙いを丁寧に説明する。

 楳図さんいわく、漂流教室は「異次元に放り出される冒険の話」というより「勉強の話」。子どもたちに命をかけて必死の勉強をさせたいと思いから描いた作品で、タイトルの「教室」にもそういった思いが込められている。ファンにとっては改めて語る必要のないほどの有名作品だが、「勉強の話」という目線でもう1度読んでみると、新しい発見や面白さがあるかもしれない。

画像

 続いての質問は、「おろち」を描き終わった後の心境を教えてください――というもの。「漫画を描いているときは、このキャラでずーっといけるぞ! と思っているんですが、突然終わりが来てしまうんです。編集長が代わったりするとね……大人の事情でね……」と楳図さんは苦笑いしつつ、「人間の社会を勉強しつつ描いていた」とユーモアを交えながら振り返っていた。

 ちなみに楳図さんは常に漫画のアイデアの予備を“5つ”用意しているという。「おろち」を描いた当時は「アイデアを考えている暇もない」ほど忙しい時期だったが、それより前に「おそれ」という作品を描いた際に思いついて予備のアイデアとして温めていた、姉妹の話があったため、それをベースにして「スルスルと描けた」そうだ。

 「準備体制は絶対にいざというときに自分を救ってくれますので。僕はアイデアの世界でやっていますから、突然の依頼にも耐えるために、5つ準備しておく。3つあれば複数と言えるが、複数よりちょっと多いぞっというくらい持っていれば、パニックにならないですね。それに頼らないで考えようと頑張るんですけどね」と楳図さん。鬼才のプロ魂には脱帽だ。

「グワシ」のコツを伝授

画像 楳図さんの自宅に飾られていたグッズたち

 前述したように番組のなかでは、視聴者による楳図作品のせりふの人気投票も行われた。5つの候補からリアルタイムに投票&集計した結果、1位は「誰にも望まれずに生まれてきました」(「14歳」よりチキンジョージのせりふ)、2位は「いいか、ここにあるパンは全部おれのものだ」(「漂流教室」より関谷のせりふ)に。これらを楳図さん自ら情感たっぷりに読み上げ、視聴者を楽しませた。

 悪役である関谷(「漂流教室」)に話が及ぶと、楳図さんは昨今のいじめ問題にも言及。「恐怖と笑いについて質問されたとき、追っかける方はギャグ、追っかけられる方は恐怖と答えるのですが、いじめもその図式。追っかける方は楽しくて楽しくてしょうがないから、いじめる意図は始めからない。立場の違いがあって、そういう大くくりを認識しないと。片方から見ると分かりづらくなる」と話した。

 終盤には楳図さんが「クモが嫌い」と意外な一面を明かして「皆さんは怖いものはありますか?」と逆質問したり、「グワシのコツを教えて欲しい!」というお願いに応じたりと、視聴者との交流を深めた。楳図さんによれば、手の中指と小指の2本を曲げたグワシポーズは、小指から曲げて作るのがコツ。だが楳図さんも上手にできないらしく「あんまり見ないで下さい〜」と照れていた。

画像 グワシポーズが苦手な楳図先生

 8月には展示会「楳恐展」、9月にはライブを控え、多忙の楳図さん。9月3日には76歳の誕生日を迎える。最近はダンスに凝っているそうで、ライブではパワーアップした歌とダンスを披露するという。さらに今秋には「UMEZZ PERFECTION!」シリーズから漫画「14歳」が登場。最後には楳図さんが「アシスタントなし」で新たに描き下ろしたオールカラーの18ページが追加されているとのこと。こちらもファン必見だ。

画像 楳図邸の玄関フロアに並んでいた人形たち
画像 いっぱいありました
画像 お客さん用スリッパも赤と白だった
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. /nl/articles/2412/18/news145.jpg “月収4桁万円の社長夫人”ママモデル、月々の住宅ローン支払額が「収入えぐ」と驚異的! “2億円豪邸”のルームツアーに驚きの声も「凄いしか言えない」
  3. /nl/articles/2412/16/news079.jpg “プラスチックのスプーン”を切ってどんどんつなげていくと…… 完成した“まさかのもの”が「傑作」と200万再生【海外】
  4. /nl/articles/2412/17/news060.jpg 100均のファスナーに直接毛糸を編み入れたら…… 完成した“かわいすぎる便利アイテム”に「初心者でもできました!」「娘のために作ってみます」
  5. /nl/articles/2412/17/news197.jpg 「巨大なマジンガーZがお出迎え」 “5階建て15億円”のニコラスケイジの新居 “31歳年下の日本人妻”が世界初公開
  6. /nl/articles/2412/17/news078.jpg 鮮魚コーナーで半額だった「ウチワエビ」を水槽に入れてみた結果 → 想像を超える光景に反響「見たことない!」「すげえ」
  7. /nl/articles/2412/18/news059.jpg 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開【大谷翔平激動の2024年 「妻の登場」話題呼ぶ】
  8. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  9. /nl/articles/2411/25/news189.jpg 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
  10. /nl/articles/2412/18/news056.jpg 日本人ならなぜか読めちゃう“四角形”に脳がバグりそう…… 「なんで読めるん?」と1000万表示
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」