夢は「日本語教師兼アニソン歌手」!? キュートなタイ人・びーむちゃんに注目!
海外でのアニメ人気はとどまることを知らず「外国人アニヲタ」や「外国人コスプレイヤー」の数も急増中。なかでも、タイ人のびーむちゃんは日本のアニソンライブなどに出演し、一部のアニメ好きの中で密かに人気を集めているという。単なるアニメ好き外国人ではない彼女の魅力に迫った。
日本への関心、きっかけはタイ語版の「ドラえもん」
現在、世界各国で日本発のアニメやアニメソング(アニソン)が人気を集め、「外国人アニヲタ」や「外国人コスプレイヤー」などが増えているのはご存知の人も多いはず。そして彼らの中には、好きなアニメをきっかけに、日本という国や日本語にも興味を持つ人も少なくない。
そんな中でひそかに注目を集めているのがタイ人の「びーむちゃん」(23)。
アニメが大好きでコスプレ姿もとってもキュートなびーむちゃんだが、彼女は単なる外国人コスプレイヤーではない。タイで開かれたアニソンカラオケ大会で優勝したほか、タイ代表として日本のさまざまなアニソンライブに出場した経験を持つなど、アニソンの歌い手としての実力も兼ね備える。それだけでなく、幼いころから勉強している日本語はペラペラ。日本の大学にも留学し、日本語の研究にも励んでいるというから驚きだ。
びーむちゃんが日本に興味を持ったきっかけはなんと「ドラえもん」。「小学生の頃に読んでいたタイ語版の『ドラえもん』で紹介されていた日本語のあいさつや言葉が面白いと思ったのがきっかけ。それを自分でメモをとりながら独学で日本語の勉強していました」と話す。
そのうち「ドラえもんを日本語でも読めるようになりたい」と思うようになった彼女は、中学生のときに家庭教師のもとで本格的に日本語の勉強をスタート。「でも日本語はとても難しくて、初めて受検した日本語能力試験も不合格。もうやめようと思った」
そんな彼女に転機が訪れたのは15歳のとき。京都・二条城で開催されたミュージックフェスティバルにタイ代表として参加するために初来日したことが彼女の日本語への思いを大きく変えたという。「地下鉄に初めて乗ったり、100円ショップで買い物したり、本当に楽しかった。なにより自分が勉強してきた日本語が日本人に通じたことが嬉しくて、もっと勉強しようと思った」とそのときの思いを語る。
現在は都内で留学中、夢はタイで日本語学校を作ること
タイの大学に通っていた3年前には交換留学生として東京都内の大学へ留学。その後、タイに戻ったびーむちゃんは「自分の好きなことにチャレンジしたい」と以前から興味があったという日本語のカラオケ大会へ出演し、見事優勝。タイのアニソンのカラオケ大会でも優勝した彼女は、タイ各地だけでなくラオスやミャンマーといった近隣諸国でのライブ出演にとどまらず、昨年11月には鳥取で開かれた国際アニソンコンテストにタイ代表として参加するなど、日本各地のライブにも多数出演するようになった。
昨年からは「もっとお客さんに喜んでもらいたい」とコスプレにもチャレンジ。タイにはアニメ好きな人やコスプレイヤーが多いだけでなく、バンコクにはメイド喫茶もあり、毎週のようにコスプレイベントも開催されているのだとか。お気に入りは小学生の時に見ていた「セーラームーン」や「魔法騎士レイアース」のコスプレ。「衣装は自分で作るのが苦手なのでママに作ってもらっています(笑)」とのこと。
コスプレだけでなく、最近までハマっていたアニメは「さくら荘のペットな彼女」、好きなアニソンは「God knows…」、好きなアニソン歌手は水樹奈々とMay’n……と、日本人に負けないくらいアニメ好きなびーむちゃんは、今年の春から再び都内の大学に留学している。先日は「秋葉原よりも好き」という池袋に行って「執事喫茶」も初体験するなど、すっかり日本での生活を満喫している彼女。「日本は便利で安全でいい国」と話す一方で、「英語で話しかけると逃げる日本人が多いのがちょっと残念。日本語が分からない外国人は暮らしにくいかも」という印象も語る。
そんなびーむちゃんの目標は「タイで自分の日本語学校を作ること」。その一歩として、現在「Beam Sensei(びーむ先生)」と称し、日本に興味を持っているタイ人に日本での経験をFacebookで日々発信するほか、ソーシャルネットワークラジオプログラムを使って日本語やタイ語を1日1語紹介するといった活動も行う。「徐々にファンが増えてきて、最近では1000人くらいの人が毎日聞いてくれている」とうれしそうに話す。
大学では「タイ人の日本語学習者の語彙習得の研究」をしていて、10月には大学院の試験も控えているが、「日本のアニソンライブにももっと出演したいし、今までやったことがないコスプレにもチャレンジしたい」と話すびーむちゃん。「日本語教師」兼「アニソン歌手」――彼女なら両方実現できちゃうかも!
取材・文 / 大井あゆみ
編集協力 / 岡徳之
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