ネットにヤんだ人集まる「インターネットヤミ市」探訪 クラウドカレーにあえぎ声おみくじも:カオスな熱狂
インターネットに「ヤミ」気味な人々が売買するリアルマーケット。そこで売られていたモノは?
インターネットに“ヤんだ”人々がリアルに集い、彼ら彼女らが持つ「インターネット」のリアルを売買するヤミのマーケット、「インターネットヤミ市」第2回が6月30日に開催された。あえぎ声付きのおみくじにクラウドカレー……ここに集うのは一風変わったモノばかりだ。
主催者は「100年以上前」から続くと自称するインターネット上の秘密結社「IDPW」。場所は東京都新宿区内のとある倉庫だった。怪しいぞ……。恐る恐るヤミの世界を探訪してみよう。
人気のフードはクラウドからつくられたレシピのカレー
倉庫らしい武骨なエレベーターで会場に上がる。扉が開くやいなや、奥から「インターネット最高!」のコーラスが聞こえてきた。往年の歌謡歌手、菅原やすのりさんが音頭を取って、このヤミ市の参加者たちが即興で作ったインターネット賛歌を「いい声」で唱和している。まさにヤミ市のステージである。
一方では「インターネットカレー」なるメニューが開始2時間足らずで売り切れていた。これはミュージシャンでありデザイナー/プログラマーでもある竹田大純さんが、「インターネットの母の味」こと「クックパッド」に寄せられた膨大なレシピから「インドカレー」のクエリデータを抽出し、材料と製法の平均値を取って最も「インターネット」の味がするカレーを作り上げたもの。まさにクラウドの集合知によるカレーである。
このように「インターネットヤミ市」にはそれぞれの人が「インターネット」だと思って持ち寄った「何か」が売られている。
あえぎ声も売ってます
ヤミ市で特に注目を集めたのは「セクハラ神社」ショップだ。大根をさするとあえぐというエロチックデバイス「セクハラ・インタフェース」を手がける市原えつこさんが巫女さん姿で出店。QRコードを読み取るとあえぎ声で運勢を教えてくれるおみくじや、大いに擦られた大根を販売するオークションなど、オトナな「インターネット」の世界を販売していた。
なぜか、このヤミ市、このような明るいエロに突き進む売り物が多い。例えば、Tumblrでキーワード検索し、その場で自分だけのエロ本をつくって販売するサービスも好評だった。そのエロ本のサンプルのラインアップが「女子高生」だったり、「踊る」ドラマと映画でおなじみのアツい俳優が含まれていたりする点が「インターネット」の「ヤミ」をそそらせていた。
ミュージシャン「やくしまるえつこ」などのWebディレクションを手掛けるドリタさんが制作出店していたのは「インターネットタトゥー」。某インターネットブラウザのサービスアイコンをタトゥーシールにして販売し、ヤミ市のお祭りっぽさを高めていた。一方、渋谷にあるクリエイター向けシェアハウス兼イベントスペース「渋家」は様々な“賑やかし”を展開。指からレーザーを放って目立てるパーティー向けアイテムを身につけた住人たちが会場内を闊歩(かっぽ)していた。イベントはネットクリエイティブ界隈の面白い人、エッヂが効いた人(=ヤンだ人)たちの交流の場となることで盛り上がっているようだ。
インターネットが不自由になっている? ヤミ市に込める狙い
インターネットヤミ市は、70近い出展者が思い思いのインターネットをリアルな場で展開する手作りの祭典だ。これらを手がけ運営するIDPWは、アートや広告といった表現の現場でインターネットをモチーフに活動しているグループで、テクノロジーとしてのインターネットではなく、自分たちのインターネットとは何かをゆるく探求する場として生まれた。IDPWの作品「どうでもいいね!」ボタンは昨年の文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門で新人賞に選ばれている。
IDPWの千房けん輔さん(インターネットヤミ市の実行委員。auの「IS Parade」などユニークなネット広告を手がけるメディアアーティスト)によると、インターネットヤミ市を企画したきっかけは、とあるiPhoneアプリがAppleの審査に落とされた経験からだという。「本来自由の象徴だったインターネットが不自由になってきているのを感じる中で、では直接会ってインターネットでは出来ないことをしてしまおう」と考えた。
電子工作やハッカソンなどテーマが絞られているイベントは、ものづくりが得意な人や高度にプログラミングできる人しか楽しめないが、インターネットは「何でもあり」の世界。「だからこそ、どんな表現でも、参加したい人が参加できる、祭りをしたかった。そうすることで『インターネット』的なものの切れ味を競い合う面白い祭りに出来たかと思います」(千房さん)
第1回目は昨秋、千代田区の再開発で取り壊される東京電機大学の旧校舎で開催された。今回の会場は、町工場が生んだモビルスーツ「クラタス」プロジェクトの一員でもある、カイブツ社のオフィス。リアル倉庫かと思いきや、仕切られたクリエイティブな空間があるなど、やはりただ者ではない場所だった。
このように、ヤんだ仲間とともにつくり出す「インターネット」のリアルなコミュニティが作るイベント――それがインターネットヤミ市。その場に居るだけでクセになるので、次回がはやくも気になる存在だ。
著者紹介
岡田智博(@OKADATOMOHIRO)は、新しいクリエイティブを社会やビジネス、地域に生かすためのプロデューサーであり、メディアアートとデザインのキュレーター。一方で、ネットやクリエイティブから生まれる世界中の新たな動きを現場から硬軟あわせて紹介する記事を様々なメディアや政府等のリポートにあげている。自身が代表を務めるクリエイティブクラスターほか全国各地の機関やNPOの理事等を兼務、様々な人が新しく始められる「こと」づくりに跳び回っている。
関連記事
- 「男の娘の偽乳は本物のおっぱいなのか?」 ニコニコ学会で男の娘が脱いで証明
そして現れるスクール水着。 - 【職場閲覧注意】巨大てぃんこが街を練り歩く、川崎市の奇祭「かなまら祭」へ行ってきた
※あくまで神聖なお祭りです - 【日本三大奇祭】参加者がただひたすら悪態をつきまくる奇祭「悪態まつり」に潜入してきたぞばかやろー!
無言の天狗に飛び交う罵声。こ、この祭りは一体……! - ライスもルーもいちご尽くし……予約必須の「いちごカレー」を味わってきた
カレーにいちごだと……? そんな「カレー×いちご」なる不思議な共演があるという。純粋な好奇心と怖いもの見たさとがあいまって、名物の「いちごカレー」を食べてきた。 - 「Perfume」「クラタス」も受賞 第16回文化庁メディア芸術祭の作品展に一足早く潜入してきた!
受賞作品を楽しめるマンガライブラリー、上映会もすべて無料! - 生クラタスに動くゴミ箱――「Maker Faire Tokyo」はやっぱり“才能の無駄遣い”だらけだった
「Make Tokyo Meeting」あらため「Maker Faire Tokyo」が開催された。世界最大の「ものづくりの祭典」開場から、溢れる“才能の無駄遣い”をリポートする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
-
「玄関にでっかい亀梨居る」 亀梨和也がまさかの誤字に「なんかごめん」と謝罪 突然の本人登場に「これ笑ったw」「そりゃビックリする」
-
実家を探索中に発見した30年前のカーディガン、娘が着てみると…… 意外な結果に「昭和世代の服はガチモン」「おかあさん尊敬」
-
小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
-
沖縄の「廃墟ホテル」をリノベ中、ミステリアスな事態発生→壁を壊してみると……「ヒェッ」 めげない投稿者に「ポジティブですごい」と称賛
-
【今日の計算】「6×11÷3−2」を計算せよ
-
「北朝鮮のアニメーターが関与疑い」報じられたアニメ制作元がコメント 「事実関係を調査中」
-
「虎に翼」出演俳優、桜井ユキの結婚相手は誰? 2022年にドラマ共演者と結婚発表
-
【今日の計算】「2+13×2−6」を計算せよ
-
東京メトロ、東西線の一部期間終日運休を“まさかの方法”で告知 「これで知らなかったとは言えない」
- 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
- 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
- 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
- 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
- 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
- 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
- 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
- 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
- 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
- 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
- フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
- 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
- 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」