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» 2013年07月09日 14時38分 公開

ネットにヤんだ人集まる「インターネットヤミ市」探訪 クラウドカレーにあえぎ声おみくじもカオスな熱狂

インターネットに「ヤミ」気味な人々が売買するリアルマーケット。そこで売られていたモノは?

[岡田智博,ねとらぼ]
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 インターネットに“ヤんだ”人々がリアルに集い、彼ら彼女らが持つ「インターネット」のリアルを売買するヤミのマーケット、「インターネットヤミ市」第2回が6月30日に開催された。あえぎ声付きのおみくじにクラウドカレー……ここに集うのは一風変わったモノばかりだ。

 主催者は「100年以上前」から続くと自称するインターネット上の秘密結社「IDPW」。場所は東京都新宿区内のとある倉庫だった。怪しいぞ……。恐る恐るヤミの世界を探訪してみよう。

人気のフードはクラウドからつくられたレシピのカレー

 倉庫らしい武骨なエレベーターで会場に上がる。扉が開くやいなや、奥から「インターネット最高!」のコーラスが聞こえてきた。往年の歌謡歌手、菅原やすのりさんが音頭を取って、このヤミ市の参加者たちが即興で作ったインターネット賛歌を「いい声」で唱和している。まさにヤミ市のステージである。

画像 入り口が怪しいぞ
画像 インターネット最高!

 一方では「インターネットカレー」なるメニューが開始2時間足らずで売り切れていた。これはミュージシャンでありデザイナー/プログラマーでもある竹田大純さんが、「インターネットの母の味」こと「クックパッド」に寄せられた膨大なレシピから「インドカレー」のクエリデータを抽出し、材料と製法の平均値を取って最も「インターネット」の味がするカレーを作り上げたもの。まさにクラウドの集合知によるカレーである。


画像画像 クラウドカレーはすぐに完売。インターネットに関連するロゴをカッティングして載せたおむすびもあった

 このように「インターネットヤミ市」にはそれぞれの人が「インターネット」だと思って持ち寄った「何か」が売られている。

あえぎ声も売ってます

 ヤミ市で特に注目を集めたのは「セクハラ神社」ショップだ。大根をさするとあえぐというエロチックデバイス「セクハラ・インタフェース」を手がける市原えつこさんが巫女さん姿で出店。QRコードを読み取るとあえぎ声で運勢を教えてくれるおみくじや、大いに擦られた大根を販売するオークションなど、オトナな「インターネット」の世界を販売していた。

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メディアアート「セクハラ・インタフェース」はインタラクティブに潜む日本人としての性的概念を研究した成果。詳細は市原さんの論文でどうぞ!

 なぜか、このヤミ市、このような明るいエロに突き進む売り物が多い。例えば、Tumblrでキーワード検索し、その場で自分だけのエロ本をつくって販売するサービスも好評だった。そのエロ本のサンプルのラインアップが「女子高生」だったり、「踊る」ドラマと映画でおなじみのアツい俳優が含まれていたりする点が「インターネット」の「ヤミ」をそそらせていた。

画像 エロ本も売ってた
画像 童貞証明グッズも販売。童貞証明書は500円なり

 ミュージシャン「やくしまるえつこ」などのWebディレクションを手掛けるドリタさんが制作出店していたのは「インターネットタトゥー」。某インターネットブラウザのサービスアイコンをタトゥーシールにして販売し、ヤミ市のお祭りっぽさを高めていた。一方、渋谷にあるクリエイター向けシェアハウス兼イベントスペース「渋家」は様々な“賑やかし”を展開。指からレーザーを放って目立てるパーティー向けアイテムを身につけた住人たちが会場内を闊歩(かっぽ)していた。イベントはネットクリエイティブ界隈の面白い人、エッヂが効いた人(=ヤンだ人)たちの交流の場となることで盛り上がっているようだ。

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インターネットが不自由になっている? ヤミ市に込める狙い

画像 千房けん輔さん

 インターネットヤミ市は、70近い出展者が思い思いのインターネットをリアルな場で展開する手作りの祭典だ。これらを手がけ運営するIDPWは、アートや広告といった表現の現場でインターネットをモチーフに活動しているグループで、テクノロジーとしてのインターネットではなく、自分たちのインターネットとは何かをゆるく探求する場として生まれた。IDPWの作品「どうでもいいね!」ボタンは昨年の文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門で新人賞に選ばれている。

 IDPWの千房けん輔さん(インターネットヤミ市の実行委員。auの「IS Parade」などユニークなネット広告を手がけるメディアアーティスト)によると、インターネットヤミ市を企画したきっかけは、とあるiPhoneアプリがAppleの審査に落とされた経験からだという。「本来自由の象徴だったインターネットが不自由になってきているのを感じる中で、では直接会ってインターネットでは出来ないことをしてしまおう」と考えた。

 電子工作やハッカソンなどテーマが絞られているイベントは、ものづくりが得意な人や高度にプログラミングできる人しか楽しめないが、インターネットは「何でもあり」の世界。「だからこそ、どんな表現でも、参加したい人が参加できる、祭りをしたかった。そうすることで『インターネット』的なものの切れ味を競い合う面白い祭りに出来たかと思います」(千房さん)

画像 カオスな会場

 第1回目は昨秋、千代田区の再開発で取り壊される東京電機大学の旧校舎で開催された。今回の会場は、町工場が生んだモビルスーツ「クラタス」プロジェクトの一員でもある、カイブツ社のオフィス。リアル倉庫かと思いきや、仕切られたクリエイティブな空間があるなど、やはりただ者ではない場所だった。

 このように、ヤんだ仲間とともにつくり出す「インターネット」のリアルなコミュニティが作るイベント――それがインターネットヤミ市。その場に居るだけでクセになるので、次回がはやくも気になる存在だ。


画像画像 botのように、うるさくまくしたてながら、リアルに宣伝をするインターネットおじさんがいた。白タイツが「インターネット」感を醸し出している。渋家のリーダーのひとりでもある(右) インターネット上のドット画像をスキャンして編み物にして販売する「インターネット織り」(左)

画像 自作開発した立体視システムをゴーグルで体験

著者紹介

岡田智博(@OKADATOMOHIRO)は、新しいクリエイティブを社会やビジネス、地域に生かすためのプロデューサーであり、メディアアートとデザインのキュレーター。一方で、ネットやクリエイティブから生まれる世界中の新たな動きを現場から硬軟あわせて紹介する記事を様々なメディアや政府等のリポートにあげている。自身が代表を務めるクリエイティブクラスターほか全国各地の機関やNPOの理事等を兼務、様々な人が新しく始められる「こと」づくりに跳び回っている。


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