ニュース
» 2013年07月16日 12時38分 公開

ニコニコ町会議が青春の1ページ 岩手県洋野町に地元の中高生集結、5000人が来場達増知事もやってきた

人気ドラマ「あまちゃん」のロケ地としても知られる人口1万8000人の町に5000人が集結。大雨のハプニングにも負けず盛り上がった。

[宮本真希,ねとらぼ]

 ニコニコ超会議の出張版「ニコニコ町会議」が7月14日、岩手県洋野町で開かれた。人口1万8000人の町に集まった来場者の数は5000人。その多くが中高生だった。超会議の場合は男性の方がやや多かったが、今回の町会議は客の7〜8割が女性。出演者がステージなどでパフォーマンスするたびに黄色い歓声が響いた。

 この場所が開催地に選ばれたのは地元の女子高生アリサさんが運営側に送った推薦文がきっかけだった。さらに達増拓也・岩手県知事が「岩手でやって欲しい」とツイートしたことも強い後押しとなり実現した。ニコニコ町会議で青春の1ページを刻む若者たち、その表情を追った。

画像 会場の隣にビーチが広がる

特徴は出演者との近さ、泣き崩れる女の子も

 ニコニコ町会議は超会議に来られない地方のユーザーのために「ニコニコ側から出向いちゃおう」(ニワンゴ杉本誠司社長)と企画されたイベントだ。昨年始まり今年は洋野町のほか全国7カ所で開催する。観光庁の後援も受けていて町おこしにニコニコが一役買っている。

画像

 当日はステージでのど自慢やライブが行われる一方で、広場では踊ってみたのレッスン、テントの中ではゲーム実況……という風に出し物が同時進行し、それぞれの場所にそれぞれのファンが1日中張り付いていた。熱い視線の先にいるのは歌い手のぽこたさん、ゲーム実況の「M.S.S Project」などニコ動の人気者たちだ。

画像 出演者はやまだひさしさん(MC)、百花繚乱さん(MC)、ドグマ風見さん(MC)、仮面ライアー217さん(MC)、ぽこたさん(歌い手)、みうめさん(踊り手)、めろちんさん(踊り手)、M.S.S Project(ゲーム実況)のFB777さん/KIKKUN-MK-IIさん/あろまほっとさん/eoheohさん、雪さん(絵師)、モロさん(生主)、大道芸人うー(ワークショップ)さん、F2鈴川絢子(ニコニコカー神社)さん

 超会議と違って会場がコンパクトなため、出演者との距離はかなり近い。1メートル先に憧れの人がいる! そんな感動で思わず泣きだしてしまう女の子も1人や2人ではなかった。出演者も来場者に気軽に話しかけたり、写真撮影やサインに応じたりと町会議ならではの“距離感”を意識しているように見えた。

 ウニで有名な洋野町は、最近では人気ドラマ「あまちゃん」のロケ地としても知られている。町会議の会場から500メートルほど離れた場所で同時開催されていた「たねいちウニ祭り」はあまちゃん効果もあって大盛況。昨年の来場者1万2000人を大きく上回り、今年は過去最高の2万人が訪れたそうだ。


画像画像 たねいちウニ祭りはウニ丼1時間待ちの盛況ぶり

 町会議の客の多くは、ウニ祭りではなく町会議だけを目当てにやってきた人たちだ。開場4時間前の朝8時から並んでいたという先頭グループは地元の中学2年生。「歌ってみたや踊ってみたが大好き」と照れながら語ってくれた。ぽこたさんのステージでも1番前を陣取り、両手を顔の前でギュッと握りしめて真剣に聞き入る様子が印象的だった。

画像 ぽこたさんのステージは泣き崩れる女の子も

 午後1時すぎに始まったゲーム実況のテントでは常時100人以上の女の子が人垣を作りM.S.S Projectの掛け合いを楽しんだ。プレイしていたタイトルの1つがマインクラフト。その中でウニっぽい黒い物体が出来上がっていく。海に面した会場で景色や本物のウニに目もくれず、ひたすらゲームの中の“ウニ”で盛り上がる……ちょっと不思議な光景が広がっていた。

画像 ゲーム実況の人だかりがすごい
画像 超会議で人気だった踊ってみたはここでも大人気です

 その隣では大道芸人うーさんによるワークショップが開かれ、小さな子どもにも人気だった。バルーンアートに挑戦していた中学2年生は新聞で町会議のことを知り、両親を説得して一家5人でやってきたと言う。ニコニコ動画そのものはあまり見ないが、歌い手のCDはたくさん持っていて学校の教室でもよく聞いているのだそうだ。

画像 ワークショップには小さな子どもも
画像 絵師の雪さんは来場者の似顔絵を描いていた
画像 MCの合間にたこ焼きをふるまう百花繚乱さん
画像 南部もぐりの格好をした洋野町のキャラクターが地元をアピール

町会議を洋野町に呼んだ女子高生アリサさん

画像 アリサさん

 この場所に町会議を呼ぶきっかけを作ったアリサさんは高校1年生。洋野町から1時間かけて青森県八戸市の高校に通っている。通学時間はもっぱらスマートフォンでニコ動を視聴。「受験勉強中はニコ動を見られなくて辛かった」「最近プレミアム会員になっちゃいました」と彼女の言葉の端々からニコ動好きが伝わってくる。

 開催地は、ユーザーの推薦や自治体からの応募があった400以上の市町村から地域ごとのバランスなどを考慮した上で決定している。アリサさんが応募した理由は洋野町を知ってほしいという地元愛から。「おじいちゃんはウニを採っているんです。ここ(会場の種市海浜公園)にはウニの栽培センターもあって津波で壊れたけど今は新しくなったんですよ」。

 アリサさんはこの日、達増知事らとともにテープカットして開会を宣言したり、幼馴染と一緒にステージで歌って踊ったりと大活躍だった。歌い終わった後は「緊張して何も覚えてません。足が震えたけど、気持ちよかった!」とこの日1番の笑顔。「ニコ動をきっかけにできた友だちもいるし、ニコ動は私を楽しい気持ちにさせてくれる」――アリサさんにとってニコ動は青春そのものという感じだ。

画像 ドワンゴの夏野剛取締役、達増知事らとテープカットするアリサさん
画像 幼馴染と一緒に歌ってみたステージにも上がった

 地元を盛り上げたいという思いで町会議に参加していたのはアリサさんだけではない。ボランティアスタッフの粒さんは本業が町役場の職員。ニコ動はβの頃から登録していて今回は個人で参加した。「今年はボーナスステージみたいなもの。これからも若者たちが喜ぶイベントを企画できるよう、ヒントを得て帰りたい」と早くも来年以降を見据えていた。

画像 洋野町役場に務める粒さん(後列左)は「町規模人狼」のボランティアスタッフをしていた

 今回の町会議は昼間晴天に恵まれたが、最後に急な大雨が降り、スタッフや来場者がずぶ濡れになってしまった。それでも途中で帰ってしまう人は少なく、締めの盆踊りも雨の中で決行された。来場者の多くが“ただのお客さん”としてではなく「町会議を作り上げ盛り上げるのは自分たちだ」という意識で参加していたからかもしれない。

 ニコ動のプレミアム会員だという達増知事は「洋野町のきれいな海と山、おいしいウニ、田舎の良さをネットを通じて知ってほしい」と話す。ニコ動を「社会的なメディアとして優れている」と評価しており「地域振興に活用していく」と意気込む。

画像 ニコニコカー神社で拝む達増知事。ニコ動ではボカロ曲などを聞いているそう。「ハレ晴レユカイ」を踊ったこともあると明かしてくれた

 次の町会議は7月27日、香川県琴平町のこんぴら夏祭りにあわせて開催される。今回同様に多くの出し物がニコニコ生放送で中継される予定だ。若いニコ動ファンの“青春”と地元を愛する気持ちが詰まったイベントの様子をのぞいてみてはいかがだろうか。

画像 ラストに大雨が降ってきた
画像 ずぶ濡れになりながらも最後まで楽しむ皆さん
画像

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2312/08/news148.jpg DAIGOの姉・影木栄貴、ノーメイク姿の姉弟ショットで美形ファミリーぶり際立つ 「目元瓜二つ」「すっぴんでも綺麗」
  2. /nl/articles/2312/07/news024.jpg 生まれて間もなく捨てられていた保護子猫が“真っ白なエビフライ”に おなかいっぱい食べられるおうちで過ごす姿に心あたたまる
  3. /nl/articles/2312/08/news124.jpg 元・成宮寛貴ら、豪華メンバー飲み会に“元芸能人”が偶然登場 衝撃の身なりに「都内でこの格好ヤバっ」
  4. /nl/articles/2312/08/news109.jpg 小木博明の妻、52歳のサプライズ誕生日会に「負荷などありましたが嬉しくて」 “母”ら豪華メンバー集結に「みなさんいい笑顔」「ハッピーで最高」
  5. /nl/articles/2312/08/news023.jpg 赤いアロワナ(紅龍)を買ったら色が変化、「もしかして騙された?」と思ったら…… 劇的に変化した理由が興味深い
  6. /nl/articles/2312/05/news021.jpg 柴犬が見つけた瀕死の子猫、最後の力で立ち上がり…… 優しさが救った小さな命が600万再生「感動と感謝です」
  7. /nl/articles/2312/08/news026.jpg 子猫を保護して2週間、最初は警戒していた先住犬たちも…… みんなで団子寝する仲睦まじい姿に「なんて幸せな光景」「愛にあふれてる」
  8. /nl/articles/2312/08/news141.jpg 「感心しまくりでたーくさんGET」 神田うの、“初ZARA”での爆買いに感動「リーズナブルでビックリ」
  9. /nl/articles/2312/08/news147.jpg 寺田心、最新の“細マッチョ”姿に驚きの声が集まる 「体が逆三角形」「筋肉系になっていたとは」
  10. /nl/articles/2312/08/news017.jpg 柴犬、飼い主の「行ってくるね」にジワジワと表情がくもっていき……? 豊かな感情のゆれ動きに「切ない……」「押し寄せてる」
先週の総合アクセスTOP10
  1. オール巨人、30年モノな“伝説の1台”に自負「ここまでキレイな車はない」 国産愛車の雄姿に称賛の声「気品がある」「凄くエレガント」
  2. 「明らかに写真と違う」 東京クリスマスマーケットのフードメニューが物議…… 購入者は落胆「悲しかった」
  3. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  4. 田中みな実、“共演した姉”の存在に反響「居るとは聞いていたけど」「激似やなぁ」 すらっとしたたたずまいに「品のあるお方」
  5. 藤本美貴、“全然かわいくない値段”のテスラにグレードアップ スマホ一つでの注文に「震えちゃ〜う!」
  6. マックで「プレーンなバーガーください」と頼んだら……? 出てきた“予想外の一品”に驚き「知らなかった」
  7. 伊藤沙莉、“激痩せ報道”の真相暴露→広瀬アリスの株が上がってしまう 「辱めったらない」告白に「アリスちゃん、ええ人や〜」
  8. 「あなたは日本人?」突然送られてきた不審なLINE、“まさかの撃退方法”に反響 「センス良い」「返しが秀逸」
  9. “鬼ダイエット”で激やせの「Perfume」あ〜ちゃん、念願の姿に「着れる日が来るなんて」と大喜び
  10. 900万再生のワンコに「電車で笑ってしまった」「つられてめちゃくちゃ笑っちゃうw」 “突然魔王になった犬”に腹を抱える人続出
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「酷すぎる」「不快」 SMAPを連想させるジャンバリ.TVのCMに賛否両論
  2. 会話できる子猫に飼い主が「飲み会行っていい?」と聞くと…… まさかの返しに大反響「ぜったい人間語分かってる」
  3. 実は2台持ち! 伊藤かずえ、シーマじゃない“もう一台の愛車”に驚きの声「知りませんでした」 1年点検時に本人「全然違う光景」
  4. 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  5. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. 西城秀樹さんの20歳長男、「デビュー直前」ショットが注目の的 “めちゃくちゃカッコいい”声と姿が「お父さんの若い頃そっくり」「秀樹が喋ってるみたい」
  7. “危険なもの”が体に巻き付いた野良猫、保護を試みると……? 思わずため息が出る結末に「助けようとしてくれてありがとう」【米】
  8. 「やばい電車で見てしまった」「おなか痛い、爆笑です」 カメがまさかの乗り物で猫を追いかける姿が予想外の面白さ
  9. おつまみの貝ひもを食べてたら…… まさかのお宝発見に「良いことありそう」「すごーい!」の声
  10. 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」