BUZZNEWSが記事の盗用で謝罪、和解金支払いへ バイラルメディアを追い詰めたライターの執念と戦略ヨッピーさんインタビュー(2/2 ページ)

» 2014年10月28日 20時03分 公開
[池谷勇人,ねとらぼ]
前のページへ 1|2       

「訴えても割に合わない」という現状

―― 9月ごろにヨッピーさんからお話を聞いたときには「本気で訴えようと思ってる」って言ってましたよね。今回「和解」という形になったのは?

ヨッピー 一番大きかったのは、相手がまだ若かったということと、改善のあとが見られたということです。今ではTwitterで画像を使っていいか聞いているようですし、謝罪文も出すと約束してくれました。

―― 裁判コストの問題もあった?

ヨッピー そうですね、以前僕も調べて記事にしたことがあったんですが(まとめサイトの画像盗用にはどう対処すべき!? その道のプロに聞いた)、結局のところ、裁判に持ち込んでもメリットがほとんどないんですよ。まず第一に時間の問題。最低でも半年から1年、相手が控訴したりすればもっとかかる。それに費用の問題。僕の場合は友達の弁護士にお願いするつもりだったんですが、それでも100万円単位のお金がかかると言われました。


画像 画像盗用について調べたヨッピーさんの記事「まとめサイトの画像盗用にはどう対処すべき!? その道のプロに聞いた

―― それで勝ったとして、どれくらいのお金がもらえるものなんでしょう。

ヨッピー 一概には言えませんが、そもそも画像や記事の盗用って「被害額」の算出が難しいんです。

―― 確かに、画像をパクられたとしても、それでどれくらいの被害が生じたのか具体的には出せないですよね。

ヨッピー そうなんです、あと「精神的苦痛を受けた」などで上乗せするケースもよくあるそうなんですが、これも実際にケガをしたとかでないかぎりは安い。結局、訴えても割に合わないんですよね。今回は同じような被害者を集めて和解を持ちかけましたが、1人で訴訟したらたぶん、勝っても負けても赤字だと思います。

―― なるほど……。



「ゴミなんですか?」「はいゴミです」が一番腹立った

―― 気になったのが、和解条件にあった「各権利侵害については一定の金額を被害者に支払うこと」ですが、具体的な額はどれくらいに?

ヨッピー まだ具体的な金額については話し合っている最中です。あと実はBUZZNEWS側からの和解条件として「金額の公表は避けてほしい」というのがありまして……。

―― 確かに、バイラルメディア側としては「これくらい取れるんだ」という前例は作りたくないでしょうね。

ヨッピー まあ、「あいつこんなにもらったのか」って見られるのもイヤですしね。とりあえず僕がもらう分については、何か無駄なことに使って記事に還元するつもりでいます。

―― 今後こうしたネットの著作権のあり方について、ヨッピーさんはどうするのがいいと思いますか?

ヨッピー バランスだと思います。ゴリゴリガチガチに守れ守れって言うのも息苦しいじゃないですか。かといって今みたいにユルすぎるのも良くない。もうちょっとネジは巻いてほしい。

―― なるほど。

ヨッピー 今回ちょっと代理戦争みたいな感じはありましたね。僕自身は当初そこまで怒ってなかったんですが、調べていくうちにどんどん腹が立ってきて。こんなに悪質なのがなんでのうのうとのさばっているんだと。

―― そうだったんですか。

ヨッピー イベントで、あるバイラルメディア運営会社社長が「(バイラルメディアって)ゴミなんですか?」って聞かれて「はいゴミです」とか答えてるんですよ。あれが一番腹立った。

―― (笑)。



「和解金支払い」という大きな一歩

 ヨッピーさんの記事が掲載されたのは10月28日の午後。BUZZNEWSも同日夜にサイトを更新し、トップページに「一部報道について」という謝罪文を掲載しています。

 ヨッピーさんは記事内で、こうしたネットメディアの現状について「メディア間での競争が激化するにあたってどうしてもPV至上主義になってしまい、メディアとしてのモラルの優先順位が下がっている」と分析。これを踏まえ、「1:メディア間で著作権の取り扱いに関して協定を作る」「2:元ネタにはリスペクトを」「3:権利侵害については各運営が厳正に対処」という3点を今後の課題として提案しています。

 今回は訴訟にまでは至らず和解という形になりましたが、しかし「割に合わないから泣き寝入りするしかなかった」という現状で、一定の和解金支払いを確約させたのは大きな一歩と言えそうです。


池谷勇人


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」