「被災飯テロ」が元気と空腹をお届け 熊本の被災地で作った料理をネットに投稿する人たちが前向きでたくましい
「『被災者』ではなく『復旧者』になったら『被災飯テロ』も終わり」。なんて前向きで力強いハッシュタグなんだと話題に。
地震活動が続く熊本県では、今も被災者が避難生活を余儀なくされている。そんな中、Twitterで拡散するハッシュタグ「被災飯テロ」が、見る者に元気を、被災者にはポジティブになれる力を与え、そして皆のヨダレを誘うと話題だ。
「被災飯テロ」タグがついたツイートには、被災地の限られた食材を使い簡単で無駄なく効率的に調理された、そしてなによりおいしそうな料理の写真が並んでいる。写真だけなら普通の“飯テロ”と何ら変わりはない。“飯テロ”とは夜食テロや夕食テロとも呼ばれる、食欲をかき立てるおいしそうな料理や食べ物の画像をSNSやブログにアップして、見てしまった者を空腹感で悶えさせる行為のことを指す。
熊本県阿蘇市に在住の魔王Dark=Kochangさん(以下、Kochangさん/@dark_kochang)がこの「被災飯テロ」ハッシュタグをはじめて使用したのは17日のお昼すぎだった。電気が止まり冷蔵庫で解凍されてしまった七城豚肩ロースを焼いてローズマリーとタイムを添えたポークソテーの写真を投稿した。
Kochangさんは日頃から主に燻製(くんせい)食品を中心に食事時を狙って飯テロを仕掛ける常連だった。ニコニコ動画やYouTubeでも丁寧で親切な解説をモットーに、日夜手作り燻製を広めるべく活動している。Kochangさん自身も被災し、自宅がある地域に避難指示も出たこともあり、まだ被害が少なかった近くの実家に身を寄せている。自宅は基礎部分にひびが入り柱もゆがみ、家財道具も散乱したままだという。幸い家族は全員無事だったが、本震発生の16日は車に避難し夜を過ごした。
そんな時、「ごく普通の平常心で通常営業のつもり」で飯テロ写真を投稿した。ねとらぼの取材に対して「(被災しているからこそ)まさかの不意打ちみたいになるのでテロ効果は高いだろうという目論見はありました」とKochangさん。ダメになってしまう前に冷蔵庫の食材を回収し、計画をもって処理していこうと思ったという。
投稿はまたたく間に拡散し、同じく被災した人々の「被災飯」写真も次々とアップされた。東日本大震災や阪神・淡路大震災の経験者からも食事に関する情報が寄せられる流れも生まれ、togetterにもまとめられた。
電気やガス、水道が止まり今すぐそこで解凍されていく食材を前に調理しない手はない。Kochangさんによると、被災飯とは「天災などの被害で電気、ガス、水道、などのライフラインが全部、あるいは一部が止まった状況で作る食事のこと」で、基本アウトドア料理だが冷蔵庫が使用できない中で食材を足の早い順から計画的に消費していくことが重要とのこと。ちなみにインスタントやレトルトをそのまま食べるのは被災飯の概念から外すというこだわりだ。Twitterには被災飯で便利なものや料理の方法もまとめられている。
被災して何より困っているのは水の確保だとKochangさん。「調理する水だけじゃなく、洗い物する水も貴重なので、まず野菜を使うのがめんどくさくなります」とのこと。「洗うときに洗剤を使わない鉄のフライパンを使ったり、まな板と包丁を(洗う手間を考えなるべく)使いたくないので食材を丸ごと焼いて、出来上がりをフライパンの上で切ったり」と省略化を考えた。「火はカセットコンロや炭さえ備えとけば大した問題じゃなかった」と、日頃の準備が生きたようだ。保存食や水は常に用意しておきたい。
被災飯のオススメを聞いたところ、「基本的に肉を焼いてりゃなんとかなります。あと卵は常温でも2週間くらい腐らないので目玉焼きも鉄板です(生ではなくちゃんと火を通す)。保存がきく燻製肉と掛けあわせると……ほら! みんな大好きなベーコンエッグの出来上がり」と教えてくれた。
現在は流通もだいぶ回復し、普通に買い物ができるようになり食材には困らなくなりつつあるようだ。電気も復旧し、食材は再び冷凍されているという。「今は(ライフラインが)復旧した実家にいるので被災飯テロはしていません。避難指示が解除されて自宅に戻ったときにまたやると思いますが、その後は『被災者』ではなく『復旧者』になるので(「被災飯テロ」は)終わりですね」。
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普通のハンバーグのはずなのに、ドラマを感じる。 - 消費者庁がバーベキューにおける注意を喚起 食中毒や火傷の被害減少を目指す
食中毒・火傷に注意して楽しみましょう。
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