京浜東北線の車窓からみえるタイヤだらけの謎の公園は一体何なの?
昭和44年からある古い公園。タイヤだけでなく、乗り物や機械の廃物を集めた「ガラクタ公園」がそのベースになっている。
JR京浜東北線で川崎から蒲田へと向かう途中、窓外を流れる住宅街の中に妙なものを発見した。いくつかの黒いオブジェのようなものと、地面に散らばる無数の黒い物体……。目に飛び込んできたのは「タイヤ公園」の文字が書かれている看板。もしや、あの無数の黒い物体は全てタイヤ? 一体どんな公園なのだろうか。
公園はJR蒲田駅から南へ線路沿いの道を歩いて、およそ15分ほどの場所にあった。看板を確認すると、「タイヤ公園」の文字の下に「西六郷公園」と書いてある。西六郷とはここの地名なので、“タイヤ公園”という名は愛称なのだろう。
園内をのぞくと、やはり無数のタイヤが散乱していた。その中を子どもたちが走り回っている。中へ踏み入ると、さきほど電車の中からみえたオブジェの正体がすぐに明らかになった。
近くでみるとかなり大きい。恐竜のような、モンスターのような。
タイヤが積み重ねられ恐竜のような造形で、背びれもタイヤでできている。長いしっぽの部分では2つに割ったタイヤの間を歩けるようになっている。単なるオブジェというわけではなく、遊具としても使えるようだ。他にも園内には、ロボットやロケットなど、タイヤでできたオブジェが並んでいた。
確認できただけでも、「ブリヂストン」「グッドイヤー」「ファイアストーン」「横浜ゴム」「ミシュラン」「東洋タイヤ」などさまざまなメーカーのタイヤがあった。
子どもたちは、そんなタイヤの上に乗ったり飛んだり跳ねたり、そして中に隠れたり。転がしたり、お尻に敷いてすべり台から滑ったり、上手に扱って楽しそうに遊び回っている。自分が子どもだったら、こんな公園があれば毎日が楽しかったろうと思えた。
木陰のベンチに座って子どもたちを見守っている若い父親がいたので、この公園によく訪れるのかを聞いてみた。「子どもが来たがるのでよく連れてきますよ」と答えてくれた父親は、彼が幼いころから遊んでいたなじみ深い公園なんだとか。ということは、少なくとも約20年前くらい前からこの公園があったことになる。また、孫とともに遊びに来ているというおばあさんによると、やはり彼女が子育てしていたころからタイヤはあったという。いつからタイヤがあるのだろう? この公園の成り立ちに興味がわいた。
後日あらためて大田区役所に問い合わせてみたところ、この公園が開園したのは1969年(昭和44年)3月31日。造園される以前は、大田区が子どもたちの創造性をのばすべく、実際の乗り物や機械の廃物を集めた「ガラクタ公園」が開園されたが、園内に置かれた古タイヤが子どもたちの格好の遊び道具となったのを見て、タイヤを主体とした公園をもっと広い場所に新設する計画が立ちあがり、「タイヤ公園」ができたんだとか。なんと園内には約3000本もの古タイヤがあるとのこと。区が造園に先立ち呼びかけを行い、大手建設会社や自動車修理工場、航空会社などの協力があってタイヤを集めたそうだ。
タイヤの怪獣とロボットは開園した当時からあったという。改修工事が実施された1987年(昭和62年)に、高さ8メートルの大怪獣やタイヤロケットを設置。当時はオブジェの上に登ることができたようだが、現在は安全上の問題で禁止されているとのこと。開園当初はアメリカやオーストラリアなど、海外でも紹介されるほど話題の公園だったという。また古タイヤを利用していることから、エコの観点でみても他にはない先駆的な存在だったようだ。
電車から見るだけでは、異様な場所としか思えなかったこの公園。しかし調べてみれば、およそ半世紀もの長い歴史を持ち、その間ずっと子どもたちの遊び場として存在していることが分かった。また二世代、三世代とこの地域に暮らす人々の生活に刻まれた場所であることも知ることができた。
最後に、開園当時の貴重な写真をお借りすることができたので、筆者が撮影したものと見比べていただきたい。
(伊佐治龍/LOCOMO&COMO)
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