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» 2017年01月30日 21時40分 公開

「金になるから増えている」「企業運営のサイトもかなりある」 元管理人が明かす「まとめサイト乱立」の背景

「進撃の巨人まとめ」「スーパーマリオラン速報」といったサイトはどのようにして作られているのか。「小規模まとめサイト」の運営実態について、元まとめサイト運営者に聞きました。

[ねとらぼ]

 DeNAの「WELQ問題」や、DMM.comの「はちま起稿運営問題」など、ネット上では昨年(2016年)秋ごろから、まとめサイト(キュレーションサイト)をめぐるニュースが相次ぎました。騒動以降、編集部にもまとめサイトについて多数の情報が寄せられましたが、その中にこんなものがありました。


「今回話題になっているサイトと面識があるわけではありませんが、過去に2ちゃんねるまとめサイトを運営していたことがあり、まとめサイトの仕組みや、なぜ今こんなにも多くのまとめサイトが乱立しているかについてはお話しできます――」


 話を聞いたところ、この情報提供者(仮にAさんとします)がサイトを運営していたのは3〜4年前。自分で運営していた期間は短いものの、身近にまとめサイト管理人がおり、その人からさまざまな運営ノウハウを教わったとのことでした。情報の中にはやや古いものもありますが、元管理人から直接話が聞けるのは貴重と考え、編集部はAさんに接触。詳しくお話をうかがいました。


まとめサイト元管理人インタビュー WELQ問題で謝罪する、DeNA代表取締役社長兼CEO・守安功氏ら(関連記事


病気で仕事できず、自宅でできるビジネスを探していた

―― まず、Aさんがまとめサイト運営をはじめた経緯から教えてください。

Aさん もともとまとめサイトに興味があったのですが、当時病気で通常の仕事ができなかった時期があり、ネットを使ってできるビジネスを探していた、というのがきっかけです。

―― どんなサイトを運営されていたんですか。

Aさん 爬虫類専門のまとめサイトです。もともと動物が好きだったので、まずは練習にと思い、興味のあるものから始めようと思いました。ただ、自分の場合は副業で続けるには厳しかったこともあって、半年ほどでやめてしまいました。

―― かなりニッチなジャンルですね。

Aさん 今ってどんなに小さなジャンルでも、絶対に何かしらのまとめサイトがあるんですよ。例えばアニメ系のまとめサイトだったら、昔は「アニメ全般」を広く扱っていましたが、今は「進撃の巨人まとめ」とか「ユーリ速報」とか、作品単位でまとめサイトが乱立していますよね。

―― 確かに、少し前に「スーパーマリオラン」について調べようと思ったら、まだ配信前なのにもう10個以上まとめサイトができていて驚いたことがありました。

Aさん 私の場合は個人運営でしたが、こういうサイトはほとんどが営利目的で、組織的に運営されているものです。こういう「小規模まとめサイト」がなぜ成立しているのか、なぜこんなにも乱立しているのかなどもお話しできると思います。


まとめサイト元管理人インタビューまとめサイト元管理人インタビュー 例えばまだ配信されていない「ファイアーエムブレムヒーローズ」でも、かなりの数のまとめサイトが既に立ち上がっている


慣れれば10分くらいで記事を書けるようになる

―― 運営はどのようにされていましたか。

Aさん まず立ち上げからですが、自分はライブドアブログを使いました。ライブドアブログの場合、ブログ側でまとめサイト用のツールやテンプレートを用意してくれているので、作るのは非常に簡単です。

―― ライブドアブログを使っているまとめサイトは多いですね。


まとめサイト元管理人インタビュー ライブドアブログの場合、まとめサイト用のデザインテンプレートがあらかじめ用意されている

Aさん 記事の更新も、基本的には2ちゃんねるから転載してくるだけなので簡単です。慣れれば10分くらいで1本の記事を作れるようになります。2ちゃんねる本体は今は転載禁止になっていますが、2ちゃんねるのログを保存している「ログ速」や、ひろゆきが新しく作った「2ch.sc」からなら転載してもOKという解釈でした。あとは転載OKをうたっている「おーぷん2ちゃんねる」などですね。

―― 注意していた点などはありましたか。

Aさん 転載元のスレッドURLは必ず表記するようにしていました。これは引用元の明記というだけでなく、「うちはあくまで転載しただけ」――つまり「内容に責任は持ちません」という責任回避の意味もあります。


まとめサイト元管理人インタビュー 転載元のURLは「元スレ」などの形で表記されていることが多い(画像は「痛いニュース」より)


重要なのは「いかにアンテナサイトに載せてもらうか」

―― どのようにしてアクセスを集めていましたか。

Aさん まず、更新頻度は最低でも1日4〜5本。それから最大のポイントは「アンテナサイト」です。アンテナサイトがアクセスを仕切ってると言ってもいいくらい。


まとめサイト元管理人インタビュー アンテナサイトの一例(画像は「ファイアーエムブレムヒーローズまとめアンテナ」)

―― よくサイトの上とか下に貼ってある、いろんなまとめサイトの見出しだけがずらっと並んでいるアレですよね。

Aさん そうです。で、クリックすると個別のアンテナサイトに飛ばされて、その中からさっきの見出しを探して……という。

―― あれってそんなに大事なものだったんですか。読む側としては邪魔だなあ、というのが率直な感想でした。

Aさん あれが大事なんです。とにかく大小さまざまなアンテナサイトにリンク依頼を出して、どれだけリンクしてもらえるかがポイントです。


まとめサイト元管理人インタビュー
まとめサイト元管理人インタビュー アンテナへのリンクはサイトの上下に埋め込まれていることが多い

―― それは、申請すればすぐに載るものなんですか。

Aさん アンテナにもいろいろあって、大手だと掲載するのにお金がかかるケースもあります。最初は弱小アンテナにしか載らなかったりしますが、何かで一発当てると大手アンテナにも拾ってもらえたりしますね。

―― 大手に載ると、やっぱりそれなりに流入があるんですか。

Aさん それもありますし、被リンクを増やすことでページランクを上げる(※)効果もあります。こっちの方が大きい。

※一般的に、他のサイトから多くリンクされているページほど検索エンジンの評価が高くなり、検索上位に表示されやすいと言われている

―― ああ、なるほど、SEO(検索エンジン最適化)対策の意味が大きいんですね。

Aさん だからみんなアンテナを貼りまくるんですよ。逆に言えば、今は個人がどれだけいい記事を書いても、まとめサイト同士がアンテナでつながってリンクを送り合っている以上、それがまとめサイトより検索で上位に来ることはまずありません。


まとめサイト元管理人インタビュー 「スーパーマリオラン 攻略」で検索すると、上位3つはすべてまとめサイト

―― うちもよくまとめサイトに記事を転載されて、検索するとそっちの方が上位に来たりします。

Aさん WELQが問題になった時、キュレーションサイトが行っていたSEO対策が話題になりましたが、まとめサイトも似たようなことはやっています。余談ですけど、療養中に医療情報を調べようと思って検索したらWELQばかり出てきてうんざりしたことがありました。

―― 不確かな情報が検索上位に来てしまうのは厄介ですね。

Aさん 「偽ニュースサイト」が今世界的な問題になっていますが、それの日本版とも言えますね。日本の場合あそこまで露骨なウソはないけど、1の事実を9とか10とかに拡大解釈して、叩きやすい方向に膨らませたりするのは日常茶飯事です。ネットユーザーが喜ぶのって、やっぱり明るいニュースより不幸な話題なんですよ。

―― いかにマウントを取るか、みたいな側面はありますね。

Aさん 例えば「○○(アニメ作品名)信者がまたやらかした!」みたい記事ってよくありますよね。私の知人にまさにそのアニメの関係者がいるのですが、裏では関連会社はかなり怒っていると聞きました。



ノウハウさえあれば稼ぐのは簡単、だから乱立する

―― お金の話についてもお聞きしたいのですが、単刀直入に、まとめサイトって儲かるんですか?

Aさん お金になるからこれだけ増えているんだと思います。

―― 先ほどおっしゃっていた「進撃の巨人ちゃんねる」のような「特化型」でもやっていけるものなんでしょうか。

Aさん 1つのアニメしか扱わないようなサイトの場合、テレビ放送が終わったらほぼ終了ですね。ほとんどのところは、終わったら次の作品に行きます。大手のアンテナに載りさえすればそれで4〜5万アクセスは稼げるので、やり方さえ分かっていれば、3カ月で終わっても全然元は取れます。

―― アルバイトを雇ったり、クラウドソーシングなどを使って書かせているところもありますよね。原稿料は大体いくらくらいですか。

Aさん 自分が運営していた頃は、沖縄に求人を出すというのが鉄板でした。最低賃金が安く、ネットさえあればいいので直接会う必要もない。当時の最低賃金が700円ちょっとくらいだったかな、それで1時間に1本書いてもらっても、十分元はとれます。

―― 今ならクラウドソーシングを使えばもっと安く済みそうですね。


まとめサイト元管理人インタビュー WELQ騒動以降減ったとは言え、まだまだまとめサイト関連の求人は多い

Aさん 今はクラウドソーシングを使っているところがほとんどでしょうね。物書きをやりたがる人は多いので、相場よりものすごく低い原稿料でも書いてしまう人はいます。そういう「書きたい欲」を利用しているとも言えます。

―― 主な収入源は。

Aさん 広告とアフィリエイトです。1記事でどれくらい利益が出るかはピンキリですが、記事内容や商品によっては青天井です。

―― 1記事あたりどれくらいのページビューがあれば元がとれますか。

Aさん 中小サイトでも1記事5000PVくらいを安定して取れればやっていけると思います。これくらいならノウハウさえあれば比較的簡単にクリアできるし、だからこそまとめサイトが乱立しているんです。


まとめサイト元管理人インタビュー あるまとめサイト関連の求人を見てみたところ、1記事あたりの単価はわずか100円だった


企業運営サイト、見分ける方法は「更新頻度」

―― まとめサイトのほとんどが匿名で運営されていますが、これについてはどう思いますか。

Aさん あれは訴えられにくくするための「法律逃れ」の意味もあるし、あとは「税金逃れ」の側面もあると思います。多分ちゃんと納税していないところはめちゃくちゃ多いでしょうね。納税していたとしても、過少申告している可能性はかなり高いと思います。

―― やはり名前を出して運営するのは難しい?

Aさん トラブルにあった時が怖い。ネット民が本気を出すと何でも特定されてしまいますし、いかんせん恨みを買いやすい商売なので、名前バレはみんな恐れています。

―― 企業や組織が運営しているサイトもやはり多いのでしょうか。

Aさん 個人サイトもまだまだありますが、企業運営のサイトもかなりあります。見分ける方法としては更新頻度でしょうね。1日中休みなく更新しているようなサイトはほぼ企業運営だと思っていいでしょう。

―― 初期のまとめサイトは個人ブログからの延長で運営されているものが多かったと思うのですが、企業が参入しはじめたのはいつごろからなのでしょうか。

Aさん 3〜4年前くらいからだと思います。スマホ普及がかなり進んだのと、大手が2ちゃんねるから転載禁止をくらったり、ひろゆきがカムフラージュ広告問題でまとめサイトに警告したり(関連記事)、あのあたりでやめた個人サイトが多かったと聞いています。あとは運営側にノウハウが溜まってきた。




無断転載には「直接お金を請求するのが一番有効」

―― もしも無断転載などの被害にあった場合はどうするのが良いと思いますか。

Aさん サイトに直接言うというのがまず1つ。ただ、これは消して終わりという場合がほとんどです。あとは親元であるライブドアに苦情を入れるという方法もありますが、ライブドアからすればまとめサイトは金のなる木ですから、これもやはり「消させます」で終わってしまうことが多いと思います。それでは結局泣き寝入りになってしまう。

―― うちもよくメールなどで苦情を入れていますが、その時は対応してもらえても、少しするとまた平気で全文転載していたりします。

Aさん 大手企業が本気で訴えたら潰すことはできると思いますが、裁判となると手間やコストが大きすぎてとても労力に見合わないですよね。まとめサイト側もそれを分かっていて、裁判なんてできるわけがないと高をくくっているんです。

―― なるほど。

Aさん ただ、最近だと直接、画像や文章の使用料を請求している人がいますよね。実はあれが一番有効です。

―― あれはやっぱり有効なんですか。

Aさん もちろん内容証明を送るとか、ある程度本気さを見せる必要はあるでしょう。信頼のおける、インターネットなどに詳しい弁護士に依頼すればやってくれますし、もっと簡単にやりたければ、地方の無料法律相談に行ってもいいと思います。

―― 個人でもできるものなんですね。

Aさん 漫画家やイラストレーター、小説家の先生方が、まとめサイトに歪曲されて紹介されたことで鬱になったという話も聞きました。試してみる価値はあると思いますね。


まとめサイト元管理人インタビュー 対まとめサイト用の「損害賠償&削除要請マニュアル」を掲載し、大きな話題を読んだ「アサヒカメラ 2017年2月号」(関連記事


ねとらぼでは引き続き「まとめサイト」についての情報を募集しています。もし情報をお持ちの方は、ねとらぼのTwitter(@itm_nlab)までお寄せください。リプライだと差し支えがある場合はDMでも大丈夫です。情報源についても秘匿いたします。




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