花粉症対策に! 花粉に詳しくなれる企画展「花粉と花粉症の科学」に行ってきた
花粉を知り、花粉症を知れば、100戦あやうからず。
花粉症の季節、到来ですね。ここからゴールデンウイーク頃まで花粉症と戦わなきゃなんて考えている方も多いことでしょう。そんな人は、ぜひこの企画展を訪れてはいかがでしょうか。花粉のアレコレを知ることで、花粉に対する知識が深まり、花粉と仲良くなれてしまうかもしれませんよ。
場所は東京・上野にある国立科学博物館。ここで花粉問題対策事業者協議会との共催による企画展「花粉と花粉症の科学」が3月20日まで開催されています。
館内は「日本館」と「地球館」に分かれ、お目当ての企画展示室は「日本館」の1階です。
展示室に入るやいなや、目の前にドーンと立ちはだかる森林のパネル。さらに足元には、花から花粉が飛び、時折ハチが飛んでいく映像が映し出されています。なんだか、くしゃみが出てきそうです。
そんな歓迎に始まる、この展示はどんな花粉の世界を教えてくれるのでしょうか。ドキドキしながら進むと、まずは「花粉の誕生」コーナー。確かに花粉はどうやって生まれたのか、疑問ですよね。展示によると、植物は進化の過程で水中から陸上へ進出。水中を泳いで受精していたのですが、裸子植物からは花粉を飛ばして受粉するようになりました。この乾燥に強い花粉が誕生したことで、水を必要とせず、またより遠くの個体に受精できるようになったのです。
そして、植物や花粉はそれ自体で運動できないため、風や動物、水などに花粉を運ばせるといったさまざまな花粉様式を持つようになっていきます。それに呼応するかのように植物の構造も進化するのです。進化というものは、すごいですね。あらためて、感心してしまいました。
そして、驚いたことに花粉は栄養価が高いそう! 学校給食で含まれる栄養素がほとんどバランスよく入っているそうです。
驚きはまだ続きます。花粉は化石になり、年代順に地層に堆積します。その花粉化石を分析することで、当時の植生や植物種の分布、気候の移り変わりまで知ることができるのです。さらに驚いたことに、花粉は生薬として利用されてきたというのです。特にガマの花粉。神話「因幡の白兎」でも、ウサギがガマの穂綿にくるまって傷をいやしたとされる話は有名ですよね。
花粉は食品にも利用されています。害のあるものではなかったのですね。どうしても花粉症のイメージがつきまとい、良からぬものとして分類してきた筆者の考えをあらためてくれました。
さて、いよいよ花粉症の話題へとコーナーが展開します。すると、くしゃみのような大きな音が何度も聞こえてきました。音のする方へ行くと、世界の花粉症マップからくしゃみが聞こえていたのです! 花粉症は世界中であるということなんですね。
日本で花粉症の症例が報告されたのは1961年。このときはブタクサでしたが、その3年後にはスギ花粉についての論文が発表されました。スギによる花粉症を患っている方、多いですよね。まさに今が旬の症例です。そのスギ花粉ですが、よくテレビで花粉の予報を放送しています。この花粉予報って、どう測っているんだろうと思いませんか? そんな疑問が、このコーナー展示を見ると一目瞭然なんです。
併せて、花粉症対策についても展示されています。まずは生成段階での対策。スギの少花粉品種や無花粉品種の開発、カビきのこの仲間を使って飛散拡散を防ぐ開発などが行われています。花粉が作られていく段階で対策を講じられているとはうれしい限りです。
花粉にさらされているときや家の中での対策、つまり個人でできる対策についての展示もありました。既にみなさんも数々の花粉対策をしていることでしょう。やはり花粉を体内や室内に入れないことが重要とのこと。展示されていたポイントをまとめてみました。
- マスクやメガネは隙間ができないように装着する
- コートなどのアウター衣類は花粉がついても落ちやすい生地などを着る
- 家に入る前に花粉を落とす
- 室内に入れないために窓を閉める、洗濯物を外に干さない
とはいっても、どうしても花粉は室内に入ってくるもの。花粉は窓際や出入り口付近の床上にたまり、人が動くたびに空中に舞い上がります。さらに乾燥していると舞い上がり率も高くなるそうです。そこで、対策としては下記のようなことが推奨されています。
- 花粉を捕まえる構造を持ったカーテンを使うなどして窓からの侵入を防ぐ
- 小まめに掃除機をかける
- 空気清浄機をかける
- 加湿器などで湿度を60%以上に保つ
空気清浄機が花粉を吸い込み部屋をクリーンにしていく映像が流れていました。メーカーなどの性能にもよると思いますが、驚くほどキレイになるんですね。
そもそも花粉症はどうして発症するのでしょうか? そんな問いにも分かりやすい図解がありました。つまり、異物を外に排出しようとする免疫細胞の働きなのですね。それが過剰になるほど、花粉症の症状がひどいというわけです。なるほど〜と思わず声をあげたくなりますよ。
この免疫細胞の働きをもっと的確に働かせるのに役立つのが乳酸菌だそうです。そういえば花粉症にはヨーグルトが効く、と聞いたことがあります。乳酸菌があると免疫細胞が花粉に直接攻撃し、くしゃみなどの症例を抑える傾向があるということなのです。しかし、全ての乳酸菌が効果を出すとは限らないそうです。でも、積極的に摂取したいですよね。
また、お米を食べることで花粉症とサヨナラできる、なんていうステキなバイオ技術も開発されているようです。科学技術は日々進化しているんですね。
花粉と聞くと思わずしかめっ面になりますが、花粉のアレコレを知ることでほどよい関係を築けるかもしれません。そんな夢を抱かせる企画展でした。花粉症を患っている方、そうでない方も花粉の知識を取り入れてみてはいかがでしょうか。
(茂木宏美/LOCOMO&COMO)
関連記事
悲報、関東・九州で花粉シーズン突入 「花粉に敏感な人に症状が出始めるレベル」に
まだの地域でも早めの花粉対策を!ネットを席巻した鼻うがい薬の女優・白木あゆみさんに直撃インタビュー 「(使ってみて)最初はドキドキしました」
撮影時の様子などを聞きました。ファン搭載の充電式花粉ブロッカー「呼吸らくちんマスク」が発売 花粉やPM2.5微粒子をブロック
ファンで息苦しさを解消。やばい……まじヤバイ…… 魚粉を注文したらめっちゃ大量の「花粉」が届いた→正体が判明
花粉とは……!?みんな大好き“花粉”がガチャになったよ! 「花粉マスコットストラップ」が新発売
ぶえーっくしょいっ!(追記)来春の花粉飛散量予想で全国平均は平年の1.2倍に 2016年比で4.3倍、西日本を中心に大量飛散
全国的に“表年”傾向です。上野の美術館・博物館の共通入場券「UENO WELCOME PASSPORT」が国立西洋美術館の世界遺産登録記念デザインに
国立西洋美術館、東京国立博物館などに利用期間中、各1回入場できます。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
昨日の総合アクセスTOP10
お水を飲みたいカラスさんがとった行動とは……? 人間に“ある方法”でお願いするカラスが賢くてかわいい
トンボの目の前で指をグルグル回したら……衝撃の展開が!! まさかのラストを描いた体験漫画に驚きの声
猫「は、恥ずかしいニャ〜!」 黒歴史を思い出した猫ちゃんのポーズが人間そっくり
【なんて読む?】今日の難読漢字「颯と」
Windowsの「ごみ箱」を作業フォルダにしてる人がいる? 意外な使い方がネットで話題に
なんて恐ろしい 遊び方を守らないと股間が大変なことになりそうなすべり台
【漫画】「すこしくらい反応してくれてもいいじゃん…」 家主に気付かれない座敷わらしがとにかくかわいいい
でっかいワンコが子猫を優しく抱き寄せて…… ママのような愛情を注ぐ姿に心があたたまる
「別に高望みしてない」のにフラれ続きの男のタイプとは? 思わぬ答えが飛び出す漫画に「最高尊い」「それは高望みだよ」の声
口裂け女 VS 赤マント 女子高生の命をめぐる都市伝説の縄張り争い漫画がカオス
先週の総合アクセスTOP10
- 鳥取砂丘から古い「ファンタグレープ」の空き缶が出土 → 情報を募った結果とても貴重なものと判明 ファンタ公式も反応
- 「モンストのせいで彼氏と別れました」→ 運営からの回答が“神対応”と反響 思いやりに満ちた言葉に「強く生きようと思う」と前向きに
- 「この抜き型、何ですか……?」 家で見つけた“謎のディズニーグッズ”にさまざまな推察、そして意外な正体が判明
- 人間に助けを求めてきた母犬、外を探すと…… びしょ濡れになったうまれたての子犬たちを保護
- 幼なじみと5年ぶりに再会したら…… 陸上選手から人間ではない何かに変わっていく姿を見てしまう漫画が切ない
- ブルボンの“公式擬人化”ついにラスト「ホワイトロリータ」公開 イメージ通り過ぎて満点のデザイン
- 「幸せな風景すぎて涙出ました」 じいちゃんの台車に乗って散歩するワンコのほのぼのとした関係に癒やされる
- 「遺伝ってすごい」「足長っ!」 仲村トオルの“美人娘”ミオがデビュー、両親譲りのスタイルに驚きの声
- 猫「飼い主、大丈夫か……?」 毎日の“お風呂の見守り”を欠かさない3匹の猫ちゃんたちがかわいい
- 天才科学者2人が最強最高のロボを作成するが…… 高性能過ぎて2人の秘密がバラされちゃう漫画に頬が緩む
先月の総合アクセスTOP10
- 「訃報」「愛猫」「手風琴」って読める? 常用漢字表に掲載されている“難読漢字”
- 安達祐実、グレー髪への“勘違い指摘”に「白髪は悲しくないですよ」と切り返し 加齢の考え方が称賛を呼ぶ
- 「これは妙案」「明日の朝はこれ」 “レジ袋1枚”でできるフロントガラス解氷テクに目からウロコ
- 嫌がらせ急ブレーキで追突 トラクターの進路を妨害した「あおり運転」ベンツ、ぶつけられたと運転手がブチギレ
- “東大王”鈴木光が『CanCam』デビュー “美しすぎる東大生”の新たな一面
- 柴犬たちが追いかけっこしていたら…… ワンコの“突然の裏切り”に「声出して笑った」「4コマみたい」の声
- 元「うたのおにいさん」今井ゆうぞうさんが脳内出血で急逝 生前最後のブログには“目の異常な充血”
- 「虚無僧」「言質」「古刹」って読める? 常用漢字表に掲載されている“難読漢字”
- 保護した子ネコに「寂しくないように」とあげたヌイグルミ お留守番後に見せた子ネコの姿に涙が出る
- 「えっ!? おきゃくさまっ!」 スターバックスでやけに長いレシートに遭遇 店員さんのテンションがすごかったエッセイ漫画