「論文」と「レポート」は何が違う? どう書き始めればいい?

「人に読まれる文章」とは。

» 2017年05月07日 11時00分 公開
[QuizKnockねとらぼ]

 春も半ば、時折汗ばむ陽気もまざるようになり、夏が顔をのぞかせる時期になりました。みなさんそれぞれ、新しい環境にも慣れてきた頃かと思います。

 特に、大学生にとって春の風物詩といえば「大学デビュー」です。痛い! 恥ずかしい! というイメージを持たれがちな大学デビューですが、「スタートダッシュ」と言い換えればずいぶんと素晴らしいものです。長い目で見れば、序盤からちんたら歩いてるよりよほど良いんじゃないでしょうか。

 そう、大学デビューしたもののイマイチ女子から避けられているキミも、大学デビューしそこねた末脚型のキミも、一刻も早く最高のスタートを切るべきです。もちろん、大学生でないアナタも大丈夫。さあ今から準備しましょう。

 ……そう、論文を書く準備を。

そもそも論文って何よ

 大学生が、卒業に際して「卒業論文」を書くことは、みなさんもご存じかと思います。でもでも、「論文」って、よく考えると何? どんなもの? と思ったことはありませんか?

 もしかしたら、当の大学生も、「問題! 論文とは何?」と聞かれると、はっきりとは答えられないかもしれません。

 実は、大学に入っても「論文とはどのようなものか」を教えてくれる機会はあまりありません。もしかしたら、現行の日本の教育制度下では、それは求められていないのかもしれません。

 だからこそ、いま「論文」について知ることができれば、あなたは一歩抜け出すことができます。大人数の中に埋もれないためにも、ここでアドバンテージをゲットしましょう! 目指せ、知的な大学デビュー!

 そこで今回は、「大学学問のバイブル」ともいえる名著『新版 論文の教室 レポートから卒論まで』(戸田山和久)の内容に沿う形で、「論文とは何か」をご紹介します。単に論文だけではなく、上手で説得的な文章を書くヒントが埋まっているはず。「論文なんて書く予定ないよ!」という皆さんも、そう言わずにちょいと読んでいってください。

そもそも論文とは? レポートとの違いとは?

 そもそも論文とは「学問的な研究の成果を発表する文書」のことです。

 皆さんの中にも、レポートという形で研究なりをまとめたことがある人は多いと思います。そのようなレポートを書くとき、まずどんな文章で書き始めますか?

 「そもそも私がなぜこのテーマを選んだのかというと……」

 「まず、○○という言葉の意味を広辞苑で調べてみた。すると……」

 これら皆さんにも見覚えのある書き出しは、論文においてはNGです。

 大仰な言い方をすれば、「論文は、学問の発展に寄与するための研究報告」なのです。ゆえに、本人の個人的な心情などは不要。従って、研究のきっかけなどは書かないのが普通です(もちろん、高名な学者が遊びゴコロを忍ばせることはあります)。

 また、これからより深く知ろうというテーマについて、辞書を持ち出すのは的外れなこと。もちろん、辞書を使って論文を読むのは歓迎されますが、字引に書いてあるような通り一遍の内容を論文に書く必要はありません。

 では、論文ではどうやって書き出して、何を続ければよいのでしょうか。

 論文の構成は、ざっくり「問題提起→先人の研究結果→それを受けた研究の報告」となります。ここから外れないことが、良い論文の第一歩といえます。そして、書き出しからいきなり本題へ。何の気取りも文学的センスもなく、「○○は、元来××のように考えられてきた。しかし……」のような感じでOK。素直にこの雰囲気を守ったまま、淡々と報告がたどるべきルートを通過していくことになります。

 さて、書き出しについては分かりましたが、「論文」と「レポート」の最大の違いはどのような点なのでしょうか。

 もちろん「レポート」という言葉に明確な定義はないのですが、ここでは授業の課題として提出が求められるような、まとまった文章のことと考えてください。学術雑誌に載るようなカンタンな報告はここでは除外します。

 論文は、基本的に自分で課題を設定し、似たテーマの研究を洗い出し、その上で自分のオリジナルな発見・考察を述べることが求められています。

 これに対しレポートは、ある程度方向性が決められた上で、その内容について調べて報告し、場合によっては自分の意見を付加する、という調べ学習的な要素が強いといえます。

 つまり、レポートは既存の知識をまとめたものであり、論文は未知の情報を発見したことを報告するものである、といえるのです。「未知の情報を報告する」ことこそが論文の存在意義であり、そのオリジナリティーと正確性が論文の評価を決めます。

 そして、完成した論文は無数にある学術系の雑誌に投稿されます。審査を通ると、無事雑誌掲載、発表という形になります。ここで論文としては完結です。ニュースにおいて「○○大学の研究チームによりますと〜」というフレーズが流れた場合は、大抵がどこかに発表された論文に由来する情報なのです。

 さてさて、論文、ひいては大学の学問がどんな感じのものか、少しだけ分かっていただけたでしょうか。

 「学者は発見とか証明とかしてて実力主義っぽいところがあるのに、書き出しとか細かいところにみみっちい」なんて思われたでしょうか? いやいや、基礎こそが大切。 学生レベルでも、「他人に読まれる」ことを前提とした文章を書くことは、今後にも役に立つ大事な練習になるはず。その点で、研究の道に進まない人にとっても卒業論文は意義深いものだといえるでしょう。

 もし、ニュースで新しい学問的発見が登場したら、「地味で細かい作業の果てにこの成果があるんだなぁ」と思いをはせてみてください。

関連キーワード

論文 | 大学 | 学生 | 卒論 | 研究者 | 教育 | 科学誌


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. /nl/articles/2404/21/news005.jpg 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  3. /nl/articles/2404/22/news028.jpg 0歳双子を19時15分に寝かせ続けたママ→1年後…… メリットだらけの挑戦記録に「偉い&すごい!」「寝る子は育つ、その通りですね」
  4. /nl/articles/2404/21/news013.jpg 【今日の計算】「101×99」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/16/news027.jpg 中古軽自動車をキャンピングカー仕様にして日本一周するカップル 車内で料理中、思わぬアクシデントが…… その後の姿に「すごい」「尊敬します」
  6. /nl/articles/2404/22/news122.jpg 「あの頃の橋本環奈すぎる」21歳の無名アイドル、幼少期ショット公開で再びどよめき「凄い完成してる」「美少女の片鱗が見えすぎてる」
  7. /nl/articles/2404/22/news026.jpg ご機嫌でルンルンステップを踏む柴犬、それをパパがまねすると…… ルンルンはひとりで楽しみたい派の塩対応に「めっちゃ可愛い」と100万表示
  8. /nl/articles/2308/31/news023.jpg 庭の草刈り中に小さな卵を発見、孵化させてみたら…… 命の誕生の記録に「すごい可愛い!」「すてきな家族」
  9. /nl/articles/2404/21/news029.jpg 飼い主を引っかいてしまった黒猫“自分の犯した過ち”に気が付いて…… いつもと違う行動に「反省してるのが分かる〜!」と190万再生
  10. /nl/articles/2404/22/news020.jpg 「飼い主ビビる」猫たちに猫草をあげたら……“ちがうもの”を食う1匹の姿が182万表示! 予想外の展開に「ちょっww」「狂気を見た」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」