「タニシのように住環境を整えるよ」 → 新居に床暖やカラオケ環境を構築したソフトウェアエンジニアのDIYがプロ級

取材で聞けば聞くほどに濃密な話が。

» 2017年08月23日 20時40分 公開
[沓澤真二ねとらぼ]

 「一緒に住むとタニシのように住環境を整えていくよ」――その宣言通り本格的なDIYを実行した井上恭輔さん(@kyoro353)と、はとねさん(@hatone)夫妻のエピソードがTwitterで話題です。何もなかった車庫に、引っ越し後半年足らずで床暖房・バーカウンター・カラオケ環境を完備。すみかの水質を浄化するヒメタニシのごとく環境改造をやりとげた井上さんに、詳しい話を聞いてみました。


カラオケ 大画面でカラオケ! プラットフォームはJOYSOUNDだそうです

 サンフランシスコで新興企業「DeployGate」を営む井上さんは、「自由に改造していい」との許諾付きで友人宅の1階の居間と車庫を貸してもらえることに。それまではリモートベースの活動がメインでオフィスを構えていなかったため、住居兼オフィスとして利用することにしたそうです。


公式ブログ 施工のいきさつは同社の公式ブログに詳しく記されています

 引っ越して2カ月目には車庫を床暖房付きの部屋にリフォームし、3カ月目には水道管を引いてバーカウンターを構築。5カ月目にはサラウンド音響とホームシアターを導入し、お店ばりのカラオケ環境を完成させました。しかもこの間に日本へ1カ月半ほど出張しており、実質的な施工期間は3カ月程度なのだとか。有能過ぎない?


施工風景 プロばりの施工風景

バー オフィスにバーカウンターがあるとかうらやましい

「たいていのものはググれば作れる」……家も?

 施工のスケールを考えると、井上さんが建築関係者と勘違いしかねないところですが、実はmixi出身のソフトウェアエンジニア。サンフランシスコで就職したはとねさんとの結婚を機に渡米したそうです。ちなみに奥さんも米メルカリに務める、エンジニア夫婦。

 アメリカではクックパッドの新規事業に携わったのち、mixi時代に開発したサービス「DeployGate」(関連記事)の海外展開をサポートするために古巣へ復帰し現況へ。長年のエンジニア人生で「たいていのものはググれば作れる」と考えてきたので、家もネット検索で簡単に作れるだろうと安易に考えていたそうです。それでできてしまうところがすごい。


 本格的にDIYを始めたのは1年前、ものづくり系ワークショップの受講権をはとねさんにプレゼントしてもらったことがきっかけ。木材加工や溶接などさまざまな講座で学び、その卒業制作的な意味合いで今回の施工に挑戦したそうです。

暖かく改造されたオフィスにネコちゃんも大満足

 気候が日本人には厳しいうえに、もともとコンクリート打ちっぱなしの車庫でオフィスと言うには寒すぎる環境の改善が施工の第1目標。断熱材と床暖房を入れた空間を作るため、まずはWebベースの無料3D CADサービス「Autodesk HomeStyler」でオフィスを設計したそうです。まず出発点からして並じゃない。


設計図 設計データはAutodesk HomeStyler上で公開されています

 DIYが盛んなアメリカでは日本と事情が異なり、ホームセンターに建築業者用・一般人用の区別はなく、誰でもプロユースの建材が手に入るのだとか。これを利用し、井上さんは木材200本・フローリング材300枚など、膨大な建材を購入。搬送するだけでも重労働となり、後悔しつつも作業にかかります。


仕入れ バンをレンタルして建材を買い付け。奥さんと家主夫婦の協力で大量搬送

 各所にグラスファイバーの防音断熱材を入れ、壁がない場所はツーバイフォー工法で新造。アメリカでは600ボルト以下の電気工事を、商売にしない限りはライセンス不要で行えるそうで、電源まわりも自分で整えていきます(内容によっては適切な申請や許可が必要な場合があるそうです)。


断熱材 壁や床に断熱材を仕込んでいく

電気工事 電気工事の最中には何度も感電したそうです。法的に許されているからといって、簡単なわけではない

 その後も床にヒートワイヤを仕込み、配管してバーカウンターを作りと、さまざまな苦労を経て理想のオフィスを完成。床暖房は飼い猫たちも気に入り、熱線が入っている場所を探しては、いつもゴロンとお昼寝しているそうです。


ヒートワイヤ 床にヒートワイヤを張り巡らし……

バー バーカウンターを設け……

完成 いろいろな苦労を経て、おしゃれなオフィスが完成! 就職してみたい!

ねこ 床暖房の完成度に、ネコちゃんもご満悦

次の目標は露天風呂! DIYは終わらない

 DIYに興味のある人へのアドバイスを聞いたところ、「今まで絶対出来ないと思っていたことでも、実際にやってみると結構なんとかなるものです。『ググれば家くらい作れる』は、結論として正しかったと思っています」と井上さん。床がギシギシ鳴ろうとペンキがはみ出していようと、自分で施工すれば全てを愛せるのでオススメだと、ものづくりの楽しさを語っていました。

 妻のはとねさんも一緒にものづくりをする毎日を楽しんでいるとのこと。夫婦そろってお風呂好きなのに、アメリカには肩までつかれる湯船がないのが不満で、次は露天風呂を作ろうと大きな目標を掲げています。


画像提供:井上恭輔さん(@kyoro353)/はとねさん(@hatone

(沓澤真二)


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  2. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/25/news043.jpg 娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
  5. /nl/articles/2404/25/news129.jpg プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
  6. /nl/articles/2404/24/news018.jpg 1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
  7. /nl/articles/2404/24/news017.jpg メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
  8. /nl/articles/2404/23/news185.jpg 子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
  9. /nl/articles/2401/18/news015.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  10. /nl/articles/2404/22/news124.jpg ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」