「タニシのように住環境を整えるよ」 → 新居に床暖やカラオケ環境を構築したソフトウェアエンジニアのDIYがプロ級
取材で聞けば聞くほどに濃密な話が。
「一緒に住むとタニシのように住環境を整えていくよ」――その宣言通り本格的なDIYを実行した井上恭輔さん(@kyoro353)と、はとねさん(@hatone)夫妻のエピソードがTwitterで話題です。何もなかった車庫に、引っ越し後半年足らずで床暖房・バーカウンター・カラオケ環境を完備。すみかの水質を浄化するヒメタニシのごとく環境改造をやりとげた井上さんに、詳しい話を聞いてみました。
サンフランシスコで新興企業「DeployGate」を営む井上さんは、「自由に改造していい」との許諾付きで友人宅の1階の居間と車庫を貸してもらえることに。それまではリモートベースの活動がメインでオフィスを構えていなかったため、住居兼オフィスとして利用することにしたそうです。
引っ越して2カ月目には車庫を床暖房付きの部屋にリフォームし、3カ月目には水道管を引いてバーカウンターを構築。5カ月目にはサラウンド音響とホームシアターを導入し、お店ばりのカラオケ環境を完成させました。しかもこの間に日本へ1カ月半ほど出張しており、実質的な施工期間は3カ月程度なのだとか。有能過ぎない?
「たいていのものはググれば作れる」……家も?
施工のスケールを考えると、井上さんが建築関係者と勘違いしかねないところですが、実はmixi出身のソフトウェアエンジニア。サンフランシスコで就職したはとねさんとの結婚を機に渡米したそうです。ちなみに奥さんも米メルカリに務める、エンジニア夫婦。
アメリカではクックパッドの新規事業に携わったのち、mixi時代に開発したサービス「DeployGate」(関連記事)の海外展開をサポートするために古巣へ復帰し現況へ。長年のエンジニア人生で「たいていのものはググれば作れる」と考えてきたので、家もネット検索で簡単に作れるだろうと安易に考えていたそうです。それでできてしまうところがすごい。
本格的にDIYを始めたのは1年前、ものづくり系ワークショップの受講権をはとねさんにプレゼントしてもらったことがきっかけ。木材加工や溶接などさまざまな講座で学び、その卒業制作的な意味合いで今回の施工に挑戦したそうです。
暖かく改造されたオフィスにネコちゃんも大満足
気候が日本人には厳しいうえに、もともとコンクリート打ちっぱなしの車庫でオフィスと言うには寒すぎる環境の改善が施工の第1目標。断熱材と床暖房を入れた空間を作るため、まずはWebベースの無料3D CADサービス「Autodesk HomeStyler」でオフィスを設計したそうです。まず出発点からして並じゃない。
DIYが盛んなアメリカでは日本と事情が異なり、ホームセンターに建築業者用・一般人用の区別はなく、誰でもプロユースの建材が手に入るのだとか。これを利用し、井上さんは木材200本・フローリング材300枚など、膨大な建材を購入。搬送するだけでも重労働となり、後悔しつつも作業にかかります。
各所にグラスファイバーの防音断熱材を入れ、壁がない場所はツーバイフォー工法で新造。アメリカでは600ボルト以下の電気工事を、商売にしない限りはライセンス不要で行えるそうで、電源まわりも自分で整えていきます(内容によっては適切な申請や許可が必要な場合があるそうです)。
その後も床にヒートワイヤを仕込み、配管してバーカウンターを作りと、さまざまな苦労を経て理想のオフィスを完成。床暖房は飼い猫たちも気に入り、熱線が入っている場所を探しては、いつもゴロンとお昼寝しているそうです。
次の目標は露天風呂! DIYは終わらない
DIYに興味のある人へのアドバイスを聞いたところ、「今まで絶対出来ないと思っていたことでも、実際にやってみると結構なんとかなるものです。『ググれば家くらい作れる』は、結論として正しかったと思っています」と井上さん。床がギシギシ鳴ろうとペンキがはみ出していようと、自分で施工すれば全てを愛せるのでオススメだと、ものづくりの楽しさを語っていました。
妻のはとねさんも一緒にものづくりをする毎日を楽しんでいるとのこと。夫婦そろってお風呂好きなのに、アメリカには肩までつかれる湯船がないのが不満で、次は露天風呂を作ろうと大きな目標を掲げています。
(沓澤真二)
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バントすら弾かれるもよう。
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