「牛乳は超危険!」って本当? Google検索最上位に出てくる記事を検証してみた
「牛乳」と検索してびっくり。
「牛乳」とGoogle検索すると、「牛乳は超危険!」と主張する記事が一番上にヒットすると話題です。この内容は本当なのか、ひとつひとつ検証してみました。
牛乳といえば健康に良いというイメージが強いですが、しばしば「むしろ体に悪い」という意見も耳にします。体に悪いとする意見(「牛乳有害説」「アンチミルク」と言ったりします)には一見信憑性がありそうなものから、陰謀論じみた眉唾なものまでいろいろです。この一番上にヒットする記事はどうなのでしょうか。
検索で最上位に表示されていたのは、サイゾーが運営するネット媒体「ビジネスジャーナル」の記事。当該記事の主張は、記事のタイトルにもある牛乳が「がん」「糖尿病」「脳梗塞」「心筋梗塞」を引き起こす可能性が高いというものです。これらの主張の妥当性について、個別に見ていきましょう。
牛乳を飲むとがんになる?
ビジネスジャーナルによると牛乳ががんを引き起こすのは、効率の良い搾乳のため常に妊娠状態にあるのが最大の要因。妊娠中の哺乳類は胎児を守るためエストロゲンなどの女性ホルモンの値が高くなり、これが牛乳の中に混じり、乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がんなどを引き起こす可能性が高くなると主張しています。これは本当なのでしょうか。
食品安全委員会の調査によると、確かに市販の牛乳から微量のエストロン(エストロゲンの一種)が計測されています。ではこれはガンを引き起こすほどの数値なのでしょうか。
この数値に対し、業界団体の「Jミルク」が参考になるデータを公開しています。Jミルクによると、牛乳500mlに含まれるエストロンをエストラジオール(これもエストロゲンの一種)に換算すると、血中濃度の上昇量は11.9pg/mL。男性の正常範囲が20〜60pg/ml、女性の基準値の範囲が10〜366pg/mlであることを考慮すると、女性ホルモンは「まったく心配するレベルの量ではありません」と結論づけています。
ただし近年の「世界がん研究基金(WCRF)」による研究では、牛乳が前立腺がんのリスクを上昇させる可能性があるとの報告もされています。またその一方で、牛乳には大腸がんのリスクを低減する可能性が高いことも分かってきており、国立がん研究センターはメリットとデメリットを考慮して「総合的な判断が必要」であると呼びかけています。
牛乳は「糖尿病」「脳梗塞」「心筋梗塞」を引き起こす?
牛乳が「糖尿病」「脳梗塞」「心筋梗塞」を引き起こすという主張についてはどうでしょうか。ビジネスジャーナルの記事では牛乳の問題点として、牛乳に含まれる脂肪の主体が飽和脂肪酸である点を上げています。飽和脂肪酸を過剰に摂取すると、血液の粘度が上がり、血液循環が悪くなる。これにより、脳梗塞や心筋梗塞が引き起こされ、さらに血中コレステロールや中性脂肪酸が増えて糖尿病や肥満といった生活習慣病につながるリスクを指摘しています。事実なら飲むのを躊躇してしまうところですが、これは本当なのでしょうか。
Jミルクは牛乳の脂肪の働きについて、「一見、飽和脂肪酸が多い」としつつも、炭素数が12以下の短・中鎖の脂肪酸が多い点を指摘しています。短・中鎖の脂肪酸は体に吸収されやすく、燃焼もされやすいのが特徴で、これは「血液循環を悪化させる」というビジネスジャーナル記事の前提を揺るがすものです。
さらに複数のコホート研究で牛乳・乳製品摂取と循環器疾患死亡と糖尿病リスクについて統計的な有意差は無い、あるいはリスクを低下させる傾向があるとの結果が出ています。
見比べて、科学的な裏付けのある情報を
ねとらぼ編集部では、日本大学ミルク科学研究室の教員にも話を聞きました。教員は牛乳の脂肪が血液循環に悪影響を与えるという意見に対し「それを言い出すと牛乳脂肪以外も含め、脂肪が全て危ないことになってしまいます。多くの食品を否定することになるのではないでしょうか」と指摘。また牛乳に含まれる女性ホルモンががんを引き起こすかもしれない点については「証明するためには50年スパンの疫学的調査や、大人数を動員した上で食事制限を行い、統計学的な集計が不可欠ですが、とても難しいでしょう」と、慎重に考えていく必要性を強調しました。
またJミルクに対しても「牛乳有害説」について、これまでどのような対応をしてきたのか聞きました。Jミルクの広報担当者は「そうした(牛乳有害説的な)意見が目立つようになってきたのは10年ほど前から。ある外科医の先生が牛乳は体に悪いとするベストセラー本を出して、その際は公開質問状という形でやりとりをしたこともありました。ただし基本的には発信者に対して直接反論をするというよりも、『こういうウワサがあるけど、実際の所どうなの?』という形で、サイト上で情報発信を続けています。大学の先生にも監修いただきながら、科学的なエビデンスに基いたコンテンツとして出しているので、そういう裏付けのある情報を元に判断してもらいたいです」と話していました。
Googleなどの検索エンジンでは、必ずしも正確な情報を最初に提示してくれるとは限りません。「エストロゲン」「飽和脂肪酸」といった聞き慣れない専門用語が並ぶといかにもそれっぽく思えて納得してしまいそうになります。しかしそんなときこそ本当に信用できる内容なのか、複数の情報源を参考にしながら判断していくことが必要になります。
関連記事
- 「後からくる辛さ」と「ツンとくる辛さ」は何が違うの? → 調べてみたら辛さはそもそも“味”じゃなかった
意外と難しい味覚の世界。 - 猫にアロマオイルが危険なのはなぜ? 動物病院に聞いてみた
進化の過程に原因が……? - 最も効く「乗り物酔い対策」はどれか? 「前を見る」「ガムをかむ」「歌を歌う」医師に根拠を聞いてみた
乗り物酔いを防ぐための民間療法。どれが本当に効果があるのか医師に聞いてみました。 - 「※個人の感想です」は広告表示における免罪符になるのか? 9割が気付かない“極小文字”の注意書き 消費者庁の見解は
消費者庁が考え方を発表。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
-
「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
-
もう別人じゃん! miwa、大胆イメチェンで面影ゼロに「まさかのこんな色になってるとは」「だれー!?」
-
「ぶち抜きたいです」 辻希美、懇願拒否された13歳長男が“荒くれ反抗”……息子の室内破壊に嫌悪あらわ「言葉が出ない」
-
異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
-
「キュウリが冷凍できるとは76年も生きて来て知らんかったなあ」 野菜ソムリエプロが教える冷凍&活用アイデアが328万再生
-
「虎に翼」、壮絶過去演じた16歳俳優に注目の声「違国日記の子か!」 「ブラッシュアップライフ」にも出演
-
築36年物件の暗くてボロいトイレをリメイク→ぐーんと垢抜け! 驚きのビフォアフに「すごいですね!」「天才」の声
-
【今日の計算】「13+8×2−11」を計算せよ
-
辻希美&杉浦太陽、15歳迎えた長女のレアな“顔出しショット”でお祝い 最近は「恋バナ」で盛り上がることも
- 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
- 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
- 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
- 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
- “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
- 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
- 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
- お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
- 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
- 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
- フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
- 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
- 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」