「パーソナルモビリティ」とは? 多分、ぼくらが20〜30年後くらいにお世話になっている乗りもの(1/3 ページ)

自動運転の技術は社会をどう良くしていくのでしょう。「パーソナルモビリティ」と呼ばれていた乗りものが、意外と分かりやすく私たちの近未来と社会の在り方を提案していました。

» 2017年11月15日 09時00分 公開
[太田百合子ねとらぼ]

 完全自動運転が実現した近未来のクルマ社会は、私たちの生活をどう良くしていくのでしょう。「東京モーターショー2017」では、そんな近未来のクルマ社会の在り方に対して、「(自動運転が実現したときの)車内空間と移動時間をいかに快適にするか」の提案が、「○○モビリティ」という言葉とともにたくさん示されました。

 こうした近未来のクルマに混じり、「パーソナルモビリティ」と呼ばれるカテゴリーの乗りものも多く展示されました。今回の東京モーターショーで展示されたパーソナルモビリティ(自分専用の移動手段)とは、2017年現在のモノでは自転車、あるいは車いすや電動カートが相当します。大枠では「座れるキャリーカート」もそうなのかもしれません。

 日本が向かう超高齢化社会に対して、「社会として、これからなくてはならないもの」の提案。だからこそ「これは未来の、ぼくらの足なのかもしれない」と想像しやすい現実的なものと感じたのでしょう。思わず足を止め、試乗する来場者も多く見られました。

追従するキャリーにもなる変身可能なパーソナルモビリティ──アイシン「ILY-Ai」

 アイシングループのブースに展示されていた「ILY-Ai」は、4つのモードに切り替えられる機構を備えた電動パーソナルモビリティです。

「ILY-Ai」は前面に搭載するセンサーによって、前を歩く人の動きに合わせて自動追従できます

 ILY-Aiは、座って乗る「ビークルモード」、立って乗る「スクーターモード」、荷物を乗せられる「カートモード」、歩く人の後ろを追従する「キャリーモード」に変化する機能を備え、乗る人の体調や出歩く状況などによって利用スタイルを変えられる特長を備えました。

 特に「キャリーモード」がポイントだそうです。車体に荷物を乗せて歩き出せば、勝手についてきてくれます。一定の間隔を保ったまま追従し、信号などで止まれば一緒に止まり、歩き出せば一緒に動きます。もちろん、一緒に歩くパートナーやほかのILY-Aiを検知し、隊列を組んで追従することもできるそうです。2020年のリリースを目指しています。

AutoMobili-D ILY-Ai プレゼンテーション(YouTube/Aisin Seiki)

乗る人の“感情”を読み取って自動走行──「TOYOTA CONCEPT-愛i WALK」

 トヨタ自動車の「TOYOTA CONCEPT-愛i WALK」は、立ったまま、ローラースルーGOGOのように乗るスタイルのパーソナルモビリティです。

photo TOYOTA CONCEPT-愛i WALK

 CONCEPT-愛i WALKは、AIが乗った人の感情を読み取り、乗りもの自身がパートナーとなって移動をサポートするコンセプトカー「TOYOTA CONCEPT-愛i」シリーズの1つです(関連記事)。四輪車型のほかのシリーズと同様に、パーソナル型のCONCEPT-愛i WALKは、特に小型で小回りがきき、周囲の状況を把握しながら安全に自動走行する機能を備えています。

動画が取得できませんでした
TOYOTA CONCEPT-愛i WALK(YouTube/toyotajpchannel)

 まずはショッピングモールや空港などの移動距離がある広大な場所や、観光地などにおけるレンタル/シェアリングサービスとしての活用からはじめて、そこから個人向けへの拡充が計画されています。

 確かに「こういう乗りもので補助してくれる」と分かっているならば、余計な心配をして遠慮したり、出掛ける意欲を削いだりはしません。むしろ積極的に出歩きたくなります。「これが当たり前」になる社会、実現の時期はかなり近いのかもしれませんね。

2人乗車が可能な小型車タイプの自動運転コンセプトカー「TOYOTA Concept-愛i RIDE」

移動を楽しく快適にする──電動車いす「WHILL」の多彩な魅力

 スタイリッシュで楽しそうなデザインの電動車いす「WHILL」も注目されていました。

photo 電動車いす「WHILL」

 WHILLは、ベンチャーのWHILL社(関連記事)が開発している新世代の車いすです。思わず乗ってみたくなるデザインだけでなく、独自開発したというタイヤとステアリング機構によって、小回りが利き、思うようにスイスイと移動できるように工夫されています。最新型の「Model C」ではハイエンドモデルの「Model A」から軽量化を実現し、価格が半分以下の約45万円に抑えられました。

 WHILLは、2つの前輪で異なる2軸の回転を実現する機構を備えます。前向きの回転と同時に横向きの回転も発生させる独特な仕組みのタイヤ「オムニホイール」によって、くるりとその場で回転できるくらいの小回り性能(回転半径は約76センチ)を実現します。一般的な電動車いすに対して、約半分の回転半径で済むそうです。また、タイヤの切れ角に相当するスペースも必要なくなるので、足元のスペースを広く確保できるメリットもあります。

photo

 東京モーターショーではこのModel Cの派生版として、パナソニックと共同開発している通信機能を搭載するロボット車いす「WHILL NEXT」も出展されました。センサーと車両制御技術によって、自律移動、自動停止、隊列走行を行うための技術検証が完成間近にあるそうです。

動画が取得できませんでした
ロボット電動車いす『WHILL NEXT』と交通案内サイネージ(YouTube/Channel Panasonic - Official)

 このほかにも、早稲田大学およびNTTと共同で、乗る人の「技能」に加えて、「心理状況」の面でも支援する新世代走行システムの開発が進んでいます。乗っている人の走行状況や利用時間、慣れなどの身体的情報から、心理状況(不安など)を示す瞳孔の開き具合などの情報も分析して、「その時、その人個人に寄り添った運転支援」を行うことを目指しているそうです。

photo センサーを備えて自律移動も可能になる「WHILL NEXT」
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」