扇風機に挑む電動うちわ、防御力が高すぎる花粉症対策グッズ 斜め上の発想力でニッチを突き進むサンコーレアモノショップの世界(2/2 ページ)
花粉症対策用のアイテム自体は他にも出しているんですが、「普通のマスクだけだと不十分」と悩んでいる人もいるんですよね。口、鼻に加えて、目まで保護するために専用のメガネをかけたりとか。
この「USB花粉ブロッカー」なら頭部全体がカバーでき、髪に花粉が付着するのも防止できます。また、USBファンでマスク内部に空気の流れを作ることで、顔が蒸れたり、視界がくもったりしにくい配慮もしています。
―― このマスクもそうなんですが、サンコーさんの商品ってUSBケーブルから給電するものが多いですよね。何か理由があるんですか?
これは電源周りの規格が、国や地域によって異なるためです。輸入した製品を国内で使えるように作り直すと、その分コストがかかってしまいますが、国際規格のUSBを利用すれば作り直す必要がなくなり、より低価格で提供できます。
それで電力消費が小さい場合は、USB給電を採用することが多くなっているんです。外付けのモバイルバッテリーがあれば、場所を選ばず使えるというメリットもありますし。
コミケで使える「どこでも座れるリュック2」
―― 「USB花粉ブロッカー」以外には、どんなニッチな需要に応えた商品があるんですか?
「どこでも座れるリュック2」はコミケ需要で人気が出ました。背中に当たる部分にイスの足が収納されていて、広げたらすぐに座れるというアイテムです。
―― リュックに「座る」機能を付けるって斬新ですね!
ありがとうございます。でも、イスとしても使えるリュック自体は他社からも出ていまして。当社製品ならではの工夫点は、イスの足をリュック内部に収納できるようにして、背中にゴツゴツ当たらないように対策しているところですね。
ニッチなアイテムを独自進化させた「ヘッドホンなクーラー」
また、防暑、防寒系でもコミケで使える商品を出しています。
扇風機の中には、ひもで首にかけられる携帯タイプが存在するのですが、ブラブラと揺れやすく思った通りに風が来ないという欠点があります。何とかうまく固定する方法はないものか……と開発したのが、この「ヘッドホンなクーラー」。身に着けると、首にかけたヘッドフォンのような見た目になります。
―― U字型をした本体の両端に小さな扇風機が2つ付いていて、確かにヘッドフォンの耳あて部分っぽく見えますね。
実際にかけていただけば分かるんですが、この形状は歩行中でも位置が変わりにくいんです。あと、扇風機の向きが調節できるので、冷やしたい場所を的確に冷やせます。
―― なるほど、ちゃんと合理的な理由があって、このデザインを採用しているわけですね。それにしても、そもそもあまりメジャーではない首掛け扇風機をアレンジして、さらに変わった商品に仕上げてしまうとは……!
頑張りすぎちゃった珍商品たち
うちわで高級扇風機に挑んだ「USB電動静音うちわ」
―― 他社が着目しないような企画商品が多いですが、それで失敗してしまうことはないんですか? 言ってみれば、あえて定石を避け続けているわけじゃないですか。
そうですねえ……。うちわを自動であおいでくれる「USB電動静音うちわ」というシリーズがあるのですが、2代目を開発するとき「バルミューダと戦うぞ!」と張り切っちゃって。
―― バルミューダって、自然に近い風を実現した高級扇風機「GreenFan」を大ヒットさせたあのメーカーのことですよね。同製品をきっかけに、他社からも高価格帯の扇風機が出るようになったとか。
ええ、そのバルミューダに負けるな、頑張れとあれこれ改良して約6000円で売り出したんですが、今は1980円くらいになっています。
―― レビューを見ると「エアコンが苦手なので気になっていた」「扇風機よりも風が優しい」と評価する声もあるのですが……攻めすぎたのかもしれませんね。
親指型スタイラス 指のび〜る
また、「親指型スタイラス 指のび〜る」はデザイン面で頑張りすぎなければ、もっと売れたかもしれない商品。スマホが大きくて片手だとちょっと操作しにくいときに、指先にはめて長さを延長するというものです。
―― ありますよね、戻るボタンなどがギリギリ押せないサイズのスマホって。
アイデア自体は悪くなかったと思うのですが……なぜか指そっくりのデザインにしてしまいました。
―― うーん、ちょっとホラーなアイテムにも見えてしまうような……。
サンコーグッズの中で、最も意外な商品は?
―― 予想外な商品ばかりですが、その中でも特に意外といわれる商品はなんですか?
実は当社、工業用内視鏡などの販売も行っています。気付きにくいかもしれませんが、通販サイトトップページにも「法人、事業者向け」とメニューを用意しています。
―― え、真面目なものも扱っていたんですか!?
ええ。そんな風によく「サンコーなのに普通」と驚かれます。
―― 冷静に考えると、一般的なご家庭ではまず使わない工業用内視鏡に対して「普通」って反応するのもちょっとおかしいんですけどね。不思議な商品に慣れると、そういう感覚になってしまうのかも……?
「なんだこれ!」と思いながら見ていると、不思議と欲しくなってくるサンコーグッズ。今回は自社企画商品をメインに取り上げましたが、輸入製品でも「食器がくるくる回転する洗浄ブラシ」「国内大手メーカーの1/4の価格で購入できる液晶タブレット」など、ひねりのあるものを販売しているそうです。
しかし、サンコーレアモノショップは商品の入れ替わりが早く、あっという間に売り切れてしまうことも。「あの商品が次に入荷されるのはいつ?」という問い合わせがよくあるものの、あまり先の入荷予定まで決めておらず、社内の人間でも分からない場合が多いそうです。掘り出し物を逃したくない場合は、新商品情報が投稿されている同社のTwitter、Facebookをフォローしておくのがオススメだとか。
(マッハ・キショ松)
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