手品の種明かしはどこまで許されるのか? Web時代の「ネタバレ」と守られない「アイデアの価値」(1/3 ページ)

古くて新しい、そしておそらくは「終わりのない」問題。

» 2017年12月15日 11時00分 公開
[Beeねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 手品に興味がなくても、たまたま見たテレビ番組で手品をしていたり、会社や学校の関係者から手品を見せられたり、という経験は多くのひとがしていると思います。そんなとき、「この手品、どういう種なんだろう?」と思ったり、「その手品の種、教えてよ」と言ったりする、という経験も、同様にしているのではないでしょうか。



 手品にとって、種は命のようなものです。種の分かっている手品は、既に手品ではありません。

 手品を見る側の「種を知りたい」という欲求と、手品をする側の「種は明かせない」という意識は、手品という芸能にとって、1つのジレンマとして常に問題になってきました。

 この記事ではそのジレンマ、種明かしの問題について解説します。

ライター:Bee

アラフォーの手品愛好家。手品道具や手品資料を買うのが趣味だが、手品を演じるのはそれほど好きではない。手品歴大体15年。

Twitter:@small_magician

ブログ:Small Magician MINI


手品の種を見破ればタダ!

 先日も、こういうレストランのニュースがありました。

 この記事に対して、アマチュアの手品人(手品をするひとのことです)界隈では、あまり好意的には受け入れられていないように感じられました。わたし自身、「品がない」と思いました。というよりも、嫌悪感に近いものを感じました。

 おそらく、この「マジックレストラン」の顧客と(アマチュア)手品人は別の客層で、つまりわたしがどう感じようと何を言おうと、当該レストランの方は何の痛痒も感じないと思います。それに、こういった演出を「面白い」と感じる非手品人は相当数いるであろう、ということも理解はできます。

 それよりも興味深いのは、わたし自身がこういった演出に「品がない」と感じたことです。この感覚はあくまでも個人的なものではありますが、この感覚を共有するひとも一定数いるであろう、という気がします。

 というのも、この「品のなさ」はつまるところ、「手品の種は秘するべきものである」という、手品人のポリシーに反するものであるからです。そのため、1人の手品人として、「見破ればタダ」という演出に忌避感を禁じ得ないのです。

 そして、この「手品の種は秘するべきものである」、つまり「種明かしをしてはいけない」という問題は古くて新しい問題として、常に手品人の前に立ちはだかってきたのでした。

種明かし推奨派の弁明

 手品人が種明かしをするときには、多く「手品界の発展のため」という大義名分を掲げます。

 例えば、「古い手品ばかりを誰もが演じるため、これを一般に暴露することで演じられなくする。そうすれば、新しい手品が作られるだろう」というものです。

 しかしながら、古典落語やクラシック音楽が繰り返し演じられるのと同様に、名作と呼ばれる手品の価値が、時間の経過とともに損なわれることはありません。また、そういった名作をもとにした新たな作品が生まれることも少なくありません。ですから、古い手品の種を明かすことは、新しい手品を殺すのと同義です。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. /nl/articles/2412/15/news011.jpg 「懐かしい」 ハードオフで“30年前のPC”を購入→Windows 95をインストールしたら“驚きの結果”に!
  4. /nl/articles/2412/16/news107.jpg 「靴下屋」運営のタビオ、SNSアカウント炎上を受け「不適切投稿に関するお詫び」発表 「破れないストッキング」についてのやりとりが発端
  5. /nl/articles/2412/15/news035.jpg 餓死寸前でうなり声を上げていた野犬を保護→“6年後の姿”が大きな話題に! さらに2年後の現在を飼い主に聞いた
  6. /nl/articles/2412/15/news002.jpg 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  7. /nl/articles/2412/10/news133.jpg 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  8. /nl/articles/2312/15/news032.jpg 放置された池でレアな魚を狙っていた親子に、想定外の事態 目にしたショッキングな光景に悲しむ声が続々
  9. /nl/articles/2412/15/news028.jpg 脱北した女性たちが初めて“日本のお寿司”を食べたら…… 胸がつまる現実に考えさせられる 「泣いてしまった」「心打たれました」
  10. /nl/articles/2412/16/news023.jpg 父「若いころはモテた」→息子は半信半疑だったが…… 当時の“間違いなく大人気の姿”に40万いいね「いい年の取り方」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  4. 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  5. 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  6. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  7. 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  8. 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  9. コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  10. 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」