『この世界の片隅に』にハマった75歳の母、初めて同人誌を制作 Twitterで大反響 「自分とすずさんを重ねた」
制作した母親と、子のボマーンさんに取材しました。
2016年公開のアニメ映画によって、すっかりメジャーな人気作となった漫画『この世界の片隅に』(作者:こうの史代)。この作品に75歳の母親がハマりすぎた結果、1年近く登場キャラの模写を続け、とうとう人生初の同人コピー誌を作ってしまったというエピソードが、Twitterで3万回リツイートされるなど大きな反響を呼んでいます。投稿した漫画家のボマーンさん(@bomarn)に詳細を取材しました。
『この世界の片隅に』は「戦争と広島」をテーマに、1944年に広島県呉市広町の家へお嫁に行った主人公・すずの暮らしを描いた作品。同人誌の作者・くんくん(ペンネーム)さんは、1942年から5歳になるまで呉市広町で生まれ育った経歴を持つ75歳です。我が子のボマーンさんが連載していた『漫画アクション』に再録されていた同作をたまたま読んで、自分の生まれ故郷である呉市広町の話であることに興味が沸き、単行本をそろえました。その後もアニメ映画版を3回も見てしまうなど、作品にずっぽりハマります。
そのうち同時期に呉にいた自分とすずさんを重ね合わせ、「とにかく何か描きたい」と1年ほど前から毎日ひたすら漫画版のキャラを鉛筆で模写するように。ボマーンさんに編集・製本を手伝ってもらう形で、3月にとうとう初の同人コピー誌「すずさんと私」を完成させました。なんというバイタリティの高さ……!
何も見ずにキャラを一から描くのは難しいということで、中身は基本的に原作の模写を時系列に並べたもの。しかし「神戸港のクルーズに行ったときにすずさんも呼んであげたかった」ということで、すずさんの背景が現代の神戸港になっている一枚や、夫と3人で食事しながら会話している一枚が差し込まれており、「自分の日常には、すずさんがいる」という気持ちをイラストで具現化しているのがわかります。
3月23日にボマーンさんが同人誌の写真をTwitterで公開し、「模写ゆえに他人に渡しもしないけど、これこそ同人誌っていうものの基本の姿なんじゃないか……と思ってしまった」とツイートしたところ、「中身をもっと読みたい」「ほしい」と話題になり多くのリクエストが寄せられました。
「いくつになっても情熱が持てることが素晴らしい」「作品への愛を形に表す力に年齢は関係ないのだと、お母様から元気を頂きました」とくんくんさんの熱意に心打たれたという声、「お母様とボマーンさんがお素敵」など母の同人制作を手伝う関係性に感動したという声など、さまざまに称賛を受けています。
好きな作品への思いを同人誌という形にして、どのような感想を抱いているのか――くんくんさんに質問したところ、「好きなこと、新しいことを始めるのは5歳でも80歳でも最初の一歩は同じだと思うので、なんの抵抗もなかったです。逆になぜこんなに話題になっているのか、よくわかりません(笑)」とのこと。
作品で特に印象深かった場面は、「やはり晴美さんが亡くなって、すずさんの手が失われたシーンでしょうか」。作中の呉の風景については当時2〜3歳だったためほとんど記憶になかったそうですが、「原爆が落ちたときに兄が近所の川で遊んでいて、水が突然ぬるくなって気味が悪くなり川から急いで上がった……という話を鑑賞しながら思い出しました」と振り返ります。
「戦後の生活は厳しかったものの、現在こうして生活していられる幸せをつくづく感じます。作者のこうの史代先生が『この漫画を描き終えられたのは奇跡』と書かれていましたが、私が75才でこの漫画と出会えたことがまた奇跡だと思います」(同人誌のあとがきより)
ボマーンさんは母親の様子について、「母はすずさんが好きすぎて、生活のあらゆるシーンですずさんと一緒に居るような気がして、本当はそれらを全部描きたいんだそうです。同人活動の原点ってこういう気持ちだったんだなあ、と教えられた気分です(笑)」とうれしそうでした。
写真提供:ボマーンさん(@bomarn)
(黒木貴啓)
関連記事
- 72歳のおじいちゃんが作ったLINEスタンプが大ヒット 本人に制作の秘密を聞いてみた
売上はなんと「現役収入の5倍」に。 - 被災地から88歳おばあちゃんがラッパーデビュー 空襲に震災、波乱万丈の人生をリリックに
「サランラップなら知ってっけど……」米寿でまさかのラップ初挑戦。 - 好きな文具を手描きで100ページ紹介 小6が自由研究で作った「文房具図鑑」、内容すごすぎて書籍化される
イラストと文章で文房具を1点1点紹介……商品として成立するのも納得の図鑑! - 戦時中は八九式中戦車の整備や清掃を担当 「ガルパンおじいさん」からの手紙にウサギさんチーム感涙
好きなキャラは、亡くなった奥さんの若いころに似ているという山郷あゆみ。 - 平均年齢73歳のeスポチーム「シルバースナイパーズ」がかっこいい 腕前は未熟ながら古参兵の風格
「ティーンスレイヤー」の二つ名がかっこいい。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
「クレオパトラみたい」と言われ傷ついた55歳女性→カット&パーマで大変身! 「本当にびっくり」「素敵なマダムに」
-
伝説の不倫ドラマ「金曜日の妻たちへ」放送から41年、キャストの現在→75歳近影が「とても見えません」と話題
-
余りがちなクリアファイル、“じゃないほう”の使い方で食器棚がまさかのスッキリ 「目からウロコ」「思いつかなかった!」と反響
-
七五三で刀を持っていた少年→20年後には…… “まさかの進化”に「好きなもの突き進んでかっこいい!」
-
野良猫が窓越しに「保護してください」と圧をかけ続け…… ひしひし感じる強い意志と表情に「かわいすぎるw」「視線がすごい」
-
「あのお客さんに幸あれっ!」 小銭の出し方が完璧な“神客”にレジ店員感激 会計がスムーズになる配慮が参考になる
-
「こういうの好き」 割れたコップの破片を並べたら…… “まさかの発想”で息を飲むアート作品に 「すごいセンス良い」「前向きな考え」
-
50代女性「モンチッチみたいにしてほしい」→美容師がプロのワザを見せ…… 別人級の変身に「めっちゃお洒落」「すごい!」
-
「これが免許証の写真???」 コスプレイヤーが公開した“信じられない”免許証が話題 コスプレ姿との比較に「両方とも可愛いすぎる」
-
大型犬が18年間、ドアを開け続けた結果……そうはならんやろな驚きの末路に「どうしたらこんな風になるのよ」の声
- ネットで大絶賛「ブラウニー」にカビ発生 業務スーパーに7万箱出荷…… 運営会社が謝罪
- 「全く動けません」清水良太郎がフェスで救急搬送 事故動画で原因が明らかに「独りパイルドライバー」「これは本当に危ない!!」
- トラックがあおり運転し車線をふさいで停車…… SNSで拡散の動画、運転手の所属会社が謝罪
- 「ヤヴァすぎる!!」黒木啓司、超高級外車の納車を報告 新車価格は5000万円超 2023年にはフェラーリを2台購入
- そうはならんやろ “ドクロの絵”を芸術的に描いたら…… “まさかのオチ”に「傑作」の声【海外】
- 「ウソだろ?」 ハードオフに3万円で売っていた“衝撃の商品”に思わず二度見 「ヤバいことになってる」
- 「結局こういう弁当が一番旨い」 夫が妻に作った弁当に「最強すぎる!」「絶対美味しいビジュアル」
- “メンバー全員の契約違反”をライブ後に発表 異例の脱退騒動背景を公式が釈明「繋がり行為などではなく」
- 「言われる感覚全く分からない」 宮崎麗果、“第5子抱いた服装”に非難飛び……夫・黒木啓司は「俺が言われてるのかな?」
- 大沢たかお、広大プールを独り泳ぐ“バキバキ姿”が絵になり過ぎ 盛り上がる筋肉の上半身に「50代とは思えない」「彫刻みたい」
- “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
- 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
- 友人に「100円でもいらない」と酷評されたビーズ作家、再会して言われたのは…… 批判を糧にした作品が「もはや芸術品」と490万再生
- 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
- 「ま、まじか!!」 68歳島田紳助、驚きの最新姿 上地雄輔が2ショット公開 「確実に若返ってる」とネット衝撃
- 荒れ放題の庭を、3年間ひたすら草刈りし続けたら…… 感動のビフォーアフターに「劇的に変わってる」「素晴らしい」
- 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
- 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
- 「エグいもん売られてた」 ホビーオフに1万1000円で売られていた“まさかの商品”に「めちゃくちゃ欲しい」
- 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声