「戦場の一瞬を閉じ込めたキューブ」が美しい 軍艦の激しい防空戦が手のひらのうえでよみがえる
煙や航跡は練り消しで表現。レジンを型に流し込んで固めては、模型や素材を入れる作業をくり返して作った苦心の作。
透明な直方体の中に、軍艦が飛行機を迎撃する様子が生き生きと――そんな戦場ジオラマが、「美しくかっこいい」「見ていて飽きない」と、Twitterで好評を博しています。「戦場を閉じ込めたキューブ」のタイトル通り、まるで戦場の一瞬を切り取って封じ込めたみたい。
カメラマンや映像ディレクター、模型演出をしている島田拓身(@ngshimada)さんが、フジミ模型の製品を使用して製作。「1/3000 集める軍艦シリーズ」の陽炎型駆逐艦をメインに、1辺5センチ程度の直方体へ収めています。動画で見ると、爆発の煙や船が立てる泡までていねいに再現されているのがよく分かります。
どうやって作ったのかと質問も多かったところ、島田さんはメイキング動画を公開。まずは閉じ込める模型を作り、レイアウトを仮組みします。この先は手直しができない作業が続くので、飛行機をどう飛ばすかなど、紙を使って立体的なラフを作り入念に確認。
模型を固める素材には、紫外線を浴びると固まるUVレジンを使用。青い染料で染めて型枠に薄く流し込み、UVライトで硬化して海の層を作ります。
次に泡や雲の素材となる練り消しを用意。片栗粉を練り込んで質感をボソボソとさせ、再現度を高めています。これを海の層へ盛って魚雷の進んだ跡を表現すると、再びレジンを薄く流し込んで固めます。
その後は海面の爆発を練り消しで表現したり、艦船模型を配置したりしては、レジンを入れて固めることを繰り返す島田さん。航跡はラッカー塗料で描き込み、爆発の黒煙は鉛筆の芯を粉にして混ぜた練り消しで再現しと、工夫しながら10以上にも及ぶレジンの層を積み上げました。
型から抜いたあと、気泡をレジンで埋めて再び硬化させ、表面を磨いて完成。戦場が手のひらに収まる、不思議な作品に仕上がりました。レジンで空間全体を固めているため、真ちゅう線などに頼らず航空機を固定できる点も、素晴らしいアイデアだと賞賛されています。
(沓澤真二)
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