あなたはオカルトを信じますか? FGO玉藻の前の(ある意味)聖地「殺生石」に巡礼してきた:ねとらぼおでかけ部
聖地(?)でガチャ。
聖地巡礼――それは、“推し”の生きた証を感じる旅。「玉藻の前」に縁あるスポットに巡礼してきました。
玉藻の前とは、平安時代末期に鳥羽上皇の寵愛を受けたと言い伝えられる絶世の美女。その正体は九尾の狐(妖狐)であり、陰陽師・安倍泰成に見破られて京の都から逃げ出し、那須野で息絶えたとされています。
そんな玉藻の前は、古今東西さまざまな作品に登場しています。累計1300万ダウンロードを突破した人気スマホゲーム「Fate/Grand Order(FGO)」も玉藻の前が“参戦”する作品の1つ。「Fate」シリーズでの彼女は、イラストレーター・ワダアルコさんのデザインと声優・斎藤千和さんボイスで、腹黒で策略家でありつつも一途でけなげという一筋縄ではいかないキャラクターとして人気を集めています。FGOでは最高レアリティの☆5として実装、期間限定で水着姿も披露しました。
さて、死した九尾の狐はその身を人々や動物の命を奪う毒石に変化させ、那須の人々から「殺生石」と恐れられました。その後、名僧がその石を破壊しましたが、3つに割れたうちの1つはまだ那須の地に残った……という伝説が有名です。
その残った石こそ、栃木県那須郡の「日光国立公園」内にある史跡「殺生石」。つまり殺生石を見に行けば、玉藻の前の聖地……というか遺体安置所……? に巡礼できるというわけです。
行ってきました那須湯本
東京から那須は意外と近い。那須塩原駅まで向かい(新幹線なら1時間ほど、在来線なら3時間ほど)、さらにバスに揺られること約1時間。那須湯本温泉のバス停に到着しました。殺生石はバス停から10〜20分ほど歩いたところにあります。
国立公園の入り口から遊歩道を通っていく道と、そばの那須温泉(なすゆぜん)神社の中を通っていく道の2つがありますが、せっかくなので神社の中を通って行くことに。霧雨の中をズンズン歩いていくと、突然幻想的な光景が広がってビビりました。さらに進むと殺生石に到着!
殺生石の付近は有毒な火山性ガスがたえず噴出しています。そもそも伝説の中で多くの人の命を奪ったのは、「毒石」の毒ではなく、火山性ガスでしょう。それは分かってはいても、荒涼とした雰囲気に「こ、これが玉藻……」と息をのみました。
「聖地」でやるべきことは
突然ですがみなさん、「ガチャ」を回していますか? 私は日常生活がハチャメチャにならない程度に回しています。ガチャを回す際、さまざまなスマホゲームの“ガチャあるある”である「こうすれば高レアが出る」というオカルトを試したことがある人は少なくないでしょう。
「運がいい人にタップしてもらう」「特定の時間に回す」「欲しいキャラにゆかりのあるキャラを『お気に入り』に登録してから回す」――などなど枚挙に暇がありません。FGOでも多種多様なオカルトガチャ必勝法が提唱されていますが、中でも根強いのが「触媒」という考え方。
「Fate」シリーズにはもともと、英霊(日本史、世界史、伝説の中の偉人たち)を呼び寄せるため、その人と縁のあるアイテム(触媒)を用意して召喚するという習わしが作中に存在しています。それをスマホでの召喚でも実行するというわけです。
殺生石とは、つまり玉藻の前本人。触媒にするのにこれ以上適したものはないのでは!? 折よく観光したタイミングで、限定☆5水着バージョン玉藻の前がガチャにピックアップされていました。ここで、回せば、もしや……(ゴクリ)。
まあそんなこと言ってもしょせんオカルトですよ
とはいえ、ガチャ必勝法なんてしょせんオカルト。欲しいキャラを引くまでお金をつぎ込み続ければ必勝ですし、途中で諦めたら必敗です。今持っている石の分だけガチャを回し、ドブ(目当てのものを手に入れられずに石をドブに捨てるような気持ちになるという意味)ったら潔く撤退しようと心に決めていました。1回目単発ガチャ……来ず!
まあそうですよね〜と2回目ガチャ。来ず! 殺生石に相対しながらウロウロしているアラサーはやや怪しかったかもしれませんが、ボランティアの男性が「あっちにQRコードでの案内があるので、よければどうぞ」と教えてくれました。「ありがとうございます〜」とお礼を言いつつ無意識にタップを繰り返していたら、視界の端で画面がピカッと虹色に光りました。んっ!?
FGOではガチャ画面が虹色に光る演出が発生すると、高レアサーヴァントが確定で排出されることになっています。ま、まさか……。
「ぱんぱかぱーん! 浜辺と聞いて即参上、誰が呼んだかハネムーン!」(CV:斎藤千和)
……マジで来ました、☆5玉藻の前(水着バージョン)! 正直にいうと移動時間でわりと疲労していたのですが、最高の結果に一気に疲れが吹っ飛びました。
まあ当たり前ですがガチャというのは運でしかありません。ほとんどのガチャ必勝法はバイアスがかかっており、再現性はありません。でもこうして引いてしまうと、オカルトを信じたくなってしまう。ちなみに同行していた友人は30連が見事にドブっていました。はい、ガチャってそんなものですね。
ボランティアの男性が話していて興味深かったのは「玉藻の前はいまだに生き物の命を奪っているんですよ」というエピソード。殺生石のそばではしばしば、野良猫や野良タヌキが死んでいるのだとか(ガスの影響でほとんど腐敗しないので、目をこらせば岩陰の遺体を見ることができました)。国立公園のためボランティアの方々は埋葬などができず、環境省の対応を待つしかないそうです。玉藻の前はゲームの中でも現実世界でも、まだまだ強い力を発揮しているのかもしれませんね。
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